« 今日の月は…月齢12.1 | トップページ | 東京の風景から 53~神田明神 »

2015年1月 4日 (日)

試作品で小ゑん・喜多八

夕方から試作品で、その前に神田明神にお参り。
14時半に到着で、十分に早く出たつもりだったのだけど、
参拝客の大行列は一時間待ちで、後の予定を考えると
冷や冷やものだった。黒門町まで歩いて、無事に到着。


20150104

試作品の前は黒門亭で、落語協会の正月飾り。

柳家小ゑん:下町せんべい
柳家喜多八:にせ金
柳家小ゑん:鉄千早
柳家喜多八:火事息子

喜多八師匠が夕方、浅草演芸ホールの初席に出演中で
今回も小ゑん師匠から。お馴染みの「下町せんべい」。
CDも出ていて、よく聞いて、大好きなのだが、この噺は、
昭和の新作で、小ゑん師匠がアレンジを加えているのだろう。
下町マニアの少年ということで、小ゑん師匠のオタクものだが、
江戸っ子の煎餅職人とのやり取りは、落語ファンならたまらない。
憧れの江戸・東京ネタがたくさん入っているが、その粋な世界を
オタク的な発想で捉えるとその情景は実に面白くて、共感もあり、
見事に小ゑんワールドで描き出されている。本当に素晴らしい。
続いて喜多八師匠は「にせ金」。二日のバレ噺の会で演ったという。
以前の試作品で、この噺について、お喋りしていたのを覚えているが、
若い頃に雲助師匠に習ったって。一応、道具屋さんの噺なのだけど、
扱うものが疝気で腫れた巨大な「金」だという…バレ噺というより
ブラックなネタである。「にせ金」と題名を知っていれば、偽なので、
安心していられるけれど、知らなかったら、どんな気持ちで聞くことか…
特に男性にとっては、ゾッとする部分があって、恐ろしい展開である。
でもこの道具屋さん、捕まってしまい、その罪状が偽金作りだと…
そのオチはよく出来ているな…なんてことも思うのだが、いかが?
仲入り後の小ゑん師匠は「鉄千早」。存在は知っていたのだが、
はじめて聞けた。これはうれしい。「千早ふる」の新解釈ということ。
知ったかぶりの人というのは、質問されたときには、咄嗟のことで、
どぎまぎしているのだけど、その知ったかぶりをはじめた途端に
絶好調になるという…ここでもそうだし、本来の「千早ふる」でも
やはりそうなのだが、そこが今回は鉄道ネタなのである。
鹿児島本線の千早駅と近鉄生駒線の竜田川駅が登場して、
それで謎解きがはじまっていく。師匠の緻密さは天下一品で
本当によく出来ている。でもこの鉄道マニアの知識は、誰でも
出来るわけではないのだから、すると勿体ないって思ってしまう。
そんな完成度である。「新千早ふる」であり、「鉄千早」なのだ。
今日のトリは喜多八師匠の「火事息子」。臥煙になった若旦那も
今はヤクザな男だが、元は質屋の御曹司、いい育ちなのであり、
品のある雰囲気を、どこかに残していてほしいのである。
父親(旦那)は、建前上、勘当した息子を拒絶しながらも
その喜びは外に出さないまでも内に複雑な思いがあって、
一方の母親は、息子の久々の帰宅が、うれしくてたまらない。
その三人の描写に関して、喜多八師匠の描き出す人物像が、
私にはぴったりに感じられて、すると「火事息子」という噺は、
実に感動的なのである。そしてこの父親像を創りだすのに…
番頭さんと定吉との蔵の目塗りの場面があって、伏線であり、
本当によく出来た噺だな…って。火事見舞いに他所の息子さんが、
風邪で伏せっている父親の代理で参りましたと…それによって、
家出をした息子のことを思い出しているところへ…その当人が
現れるのだから、劇的な展開であり、これは出来すぎの名場面か。
一見、抜けている番頭さんが、こうした見事な采配を揮うので、
立派だし、よく状況が見えていると…本当に素敵な噺である。
今年の最初の試作品は、こんな四席であった。楽しい日曜日。

|

« 今日の月は…月齢12.1 | トップページ | 東京の風景から 53~神田明神 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/121598/60926151

この記事へのトラックバック一覧です: 試作品で小ゑん・喜多八:

« 今日の月は…月齢12.1 | トップページ | 東京の風景から 53~神田明神 »