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2015年4月12日 (日)

黒門亭で三壽・紫文・三之助

山手線の神田~秋葉原で、電柱が倒れた?のか、
京浜東北線もストップで、しかし上野東京ラインの開通で
上野まで一気に行けるようになって、無事に黒門町へ。
上野駅の不忍口から歩いたのだが、10分ぐらいであった。
しかしこの鉄道の影響で…なんとお客はたったの10人。
贅沢なこと。お目当ては、三之助さんの「一人酒盛」。

第1部
柳家小かじ:二人旅
林家まめ平:大師の杵
柳家三壽:素人義太夫
柳家紫文:粋曲~長谷川平蔵
柳家三之助:一人酒盛

今日は、前座さんは二人で、圭花さんと小かじさんだったが、
第1部の開口一番は、小かじさんの「二人旅」。うれしい噺。
やはり旅の風景は何ともいいなと…なぞかけが出てくるが、
「東海道中膝栗毛」の弥次さん、喜多さんのやりとりである。
落語に取り入れられているな…って、こういうところは好き。
まめ平さんが「大師の杵」だ。すごくいい!明るく楽しい。
ひとつ思ったのは、こういった地噺を若手の噺家さんが演ると
漫談のお喋りになってしまうな…って。でも三平一門だし、
これは芸風か?伝統?ということもあって、演者によって、
毎回、話題の進行が違って聞こえてくる気もするのだけど、
地噺のいいところであり、このオチ「それは臼(ウソ)だ」って、
なぜか、私はすごく好きである。本当は、今日、ここに来る前に
川崎大師にお参りして、教わってきた…と演るところなのだが、
京浜東北線が不通で行けませんでした…という機転は面白い。
三壽師匠が「素人義太夫」で、というか、途中までは「寝床」だと
確信して聞いていたのだが、長屋の衆が頭のところに集まって、
これからどうするか?決死の覚悟で義太夫を聞きに行くかを
協議している。そこで語られる八年前の悲劇。真面目な番頭で
甚兵衛さんが、旦那の義太夫を差しで聞かされていたのだが、
我慢の限界で、蔵に逃げ込み、しかし旦那は蔵の窓に梯子を掛け、
義太夫を語り込んで、蔵の中で渦を巻いた…という。ここで切ると
「寝床」は出てこないので、「素人義太夫」となり、今回のサゲは、
その翌日、失踪した番頭さんは、気がふれてしまい、探してみると
イスラム国の兵士に参加していた…というオチ。ちょっとブラック。
三壽師匠の「素人義太夫」…というか、「寝床」だけど、よかった!
この旦那の仕上がり具合、イメージだが、我が儘で、気が短く、
すべて自分の都合のいいように…というところが、ぴったりだ!
義太夫が傷だけど、それ以外は、実にいい旦那…という評判、
のめり込むとどうしようもないけれど、普段は懐が深いという、
こういうところのキャラは、若い噺家さんには出せないところ。
しかし実は、おかみさんが坊ちゃんを連れて、御実家にお帰り…
というところを聞くと、この旦那はそんなに歳を召していないのだ。
本当は、若い噺家さんが、暴走気味にいきいき演じていれば、
それでいいのかも。どちらにしても「寝床」はよくできた噺である。
仲入り後は紫文さんで、このガラガラの少人数で聞いていると
つい座敷を借り切っているような気分で、何とも幸せな気分に。
紫文さんもいっていたけれど、お客さんと遊んでいる感じ…って、
まさにそんな気分だ。今日の贅沢感は、ズバリ!ここでの時間。
トリは三之助さんの「一人酒盛」である。こちらも実によかった。
マクラで…明治・大正以降、人々が時間の感覚を手に入れ、
時間で動き、時間に操られて生きている…といった話だったが、
こういう話は、何ともいいな!って、私は、三之助さんは好みだ。
「一人酒盛」は、よく覚えているのだけど、もう、かなり以前に
小里ん師匠で聞いて以来で、あんまりチャンスがないのだが、
私はこの噺、好きなのである。熊さんが美味い酒を飲みながら、
少々理屈っぽかったり、留さんが不器用でかわいそうすぎる…
というので、その辺が嫌い!という人もいるかもしれないが、
その辺が憎々しげに追及されていないと魅力は出ないので
三之助さんは丁寧にじっくり描き込まれていたな…とお見事!
ちょっと寄り目になってくるような…酔っ払いの場面って、
三之助さんはすごく上手いと思うのだが、この噺の場合には、
その傍らに素面でイライラしている留さんがいるのであって、
鮮やかな対比も見せ場であり、絵としても実に豊かであった。
大満足の第1部であり、私は久々にご機嫌である。楽しかった。

20150412

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