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2015年4月18日 (土)

黒門亭で小燕枝・小ゑん・柳朝

今日は顔付けがよくって、久々に通しで聞いてきた。
以前は当たり前のように通しで聞いていたのだが、
この二年ほど、東京歩きと組み合わせるようになって、
もうずいぶん通しでは聞いていなかったので、すると…
とんでもなく疲れる。それに集中力が続かない。
困ったものだ。ちょっと情けない。訓練が足りない!

第1部
橘家かな文:真田小僧
林家はな平:松竹梅
隅田川馬石:王子の狐
入船亭扇好:持参金
柳亭小燕枝:三人旅(通し)

今回も前座さんは二人で、かな文さんと朝太郎さん。
かな文さんははじめて聞いたが、子供の表現がかわいくて、
すると江戸っ子の父親との対比がくっきりして、いい感じだ。
子供が按摩さんの声色を真似ようとするところは面白かった。
はな平さんは、噺に入ると少々顔芸も入って…表情豊かであり、
落語に出てくる毎度の愚か者キャラが、ますます憎めなくなって、
愛おしく思えてきてしまうところが実にいい。「亡者になった」で
すっかりしくじってしまうのだが、酔いもまわった客相手の余興で
それなりにウケていた…とお店の番頭さんがかばってくれる展開。
馬石さんが「王子の狐」である。噺にも出てくる…初午以外のときで
普段の王子稲荷はひっそりだと、私も少し前に行ってきたので
その風景を思い出しながら聞いたら、これが楽しかったのだ。
ぜひお勧めである。王子稲荷へ向かう道中は、当時はそれこそ
狐もいたであろう長閑な風景だったと思うのだが、訪ねてみると
「王子の狐」の情景と重なって、実に楽しい。王子に行っていると
この噺は数倍面白くなる。ぜひ王子にお参りして、「王子の狐」を!
扇好さんが夫婦の縁ということだったのだが、なんと「持参金」で
最もブラックな展開であった。ひどい噺だな…とは思うのだけど、
これが面白くって。マジックのように最後につながるので、まあ、
知っているとそうは驚かないのだが、でも久しぶりに聞いたので
素直に面白がってしまった。しかし考えてみるとどうなるのだろう…
というのは、金が回っているだけで、何の解決にもなっていないのだ。
小燕枝師匠は「三人旅(上)」と出ていたのだが、結果的には「通し」。
無尽の初回で十五両の金が落ちて、江戸っ子で金を持っているなんて
みっともない!と親父に怒られたことから友達を誘って、お伊勢参りに
出掛けるという<発端>。高輪での親類、友達の見送りの話があって、
続いて(上)の「神奈川宿」に行くのかな?と思ったら、二、三日が経って、
場所は小田原宿の手前で「びっこ馬」であった。馬が癪を起す…のは
省略で、翌日の箱根越えの馬の手配をして、宿の鶴屋善兵衛を探す。
ここも…宿屋の看板の字が読めないことでいろいろな喋りがあり、
一度は宿外れまで行ってしまって、戻ってきたところが、ちょうど
鶴屋善兵衛の店の前だったという…ついに宿に上がって「おしくら」。
後半はだいぶ物語をシンプルに仕上げている印象ではあったが、
翌朝の祝儀を出すところまで…最後まで来てしまった。すごい。
一時間近い長講。やはり柳家の「三人旅」は何とも魅力的だと思う。
私は大好きである。小燕枝師匠の「通し」を聞けてよかった。収穫!

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第2部
春風亭朝太郎:子ほめ
古今亭志ん松:熊の皮
柳家小ゑん:長い夜 改II
橘家文左衛門:のめる
春風亭柳朝:崇徳院

第2部の開口一番は、朝太郎さんの「子ほめ」で、江戸っ子の雰囲気が
前座さんとしては、すごく勢いがよくていいのだが、でもちょっと感じたのが、
荒っぽくて、乱暴な感じがして、それが汚く聞こえてしまうともったいない。
志ん松さんが「熊の皮」だ。きょう介から二ツ目に上がって、はじめてかも。
しっかりときちっと丁寧にこれまで演ってきていることは知っているので、
この先もそれを続けてほしい…というのは、二ツ目になって、変に化けたり、
そういうウケを狙わないで、このままで上手くなっていって欲しいと私は思う。
小ゑん師匠が「長い夜」だ。「改」かと思ったら、「改II」なのだ。大好きである。
私は、この「長い夜」はとにかく好きで、空と大地の登場でうれしくなってしまう。
特にお気に入りが「デニーズ」の一幕で、メニューで料理を注文するお父さんが、
目白の小さん師匠に思えて仕方がない。カレーととんかつの二品を注文して、
カツカレーにしようとするところとか、素晴らしい発想だ。ステーキと同じように
そのとんかつを「ミディアム・レア」で注文して、断られるところなども大爆笑。
仲入り後は文左衛門さんで、この後、夜の鈴本のトリである。恥ずかしそうに?
小さな声で「夜も来てください…」って、チャーミングである。お得意の「のめる」。
そして今日のトリは、柳朝さんであった。私は柳朝さんのファンなのだけど、
本当に独特な空気を持っていて、それが品よく映るのは、ご本人の魅力。
噺はお馴染みの「崇徳院」だけど、でも聞くのは久しぶりのように思えた。
しかしオチの「われても末に…」が、髪結床の硝子が割れる…になるのは、
いかにも落語らしくて、つまりはバカバカしいな…と楽しく親しみの噺である。

20150418b

お見送りの小ゑん師匠もチラッと。

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