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2015年5月30日 (土)

黒門亭で左吉・やまと・正雀

今日は正雀師匠をお目当てに黒門亭へ。
お馴染みの「牡丹燈籠」だが、新三郎も死んで、
栗橋宿の後半、関口屋強請から最後の仇討ちまで。
仇討ちのところははじめて聞くが、これは珍しい!

第2部 正雀長講
春風亭一花:たらちめ
初音家左吉:不精床
桂やまと:阿武松
林家正雀:牡丹燈籠より関口屋~仇討ち

前座さんは一花さんで、はじめて聞く。噂には聞いていたけど、
なるほど!上手い。落研出身なのか?それともこの数年は、
前座さんが多すぎるというので、見習い期間が長くなっており、
上手くなってから前座になる…ということか、いや、それより
やはり素質があるのだろう。「たらちめ」だが、素性を説明する…
言い立ての部分を詳しく丁寧に、その代わり一度だけにして、
翌朝のお付けに入れる葱の場面もカットで、きちんとオチまで。
急ぎ足に聞かせるよりも…噺もシンプルになって、いいかも。
左吉さんが「不精床」だ。毎回書いているけれど、苦手な噺。
この不精な床屋さんって、怪談噺よりもよっぽど恐いのである。
愛想のない…いかにも客が付きそうもない髪結床の大将と
へらへらして軽い、何ともいい加減な客の対比が面白い。
しかしこの「不精床」という噺は、今回も「月代(さかやき)を
当たって、髷(まげ)を整えて…」といっているので、場所は
江戸の髪結床なのだが、現代の床屋さんをイメージしてしまい、
それがよくない。いかに江戸の髪結床の風景を描き出すか…
難しいのである。こちらもその情景を知らないので、課題だ。
やまとさんは、真打になって(昨年春の昇進)からはじめてか?
ますます貫録だな!という…そんな「阿武松」であった。
ご本人はそんなに太って、大きい感じではないけれど、
力士の様子がよく伝わってくるので、そこは話芸である。
初代から六代目の阿武松まで、歴代の横綱を紹介していく…
言い立てのところがあるが、格好よかった。お見事!という。
仲入り後、いよいよ正雀師匠の登場。出囃子は「菖蒲浴衣」で
八代目正蔵師匠の噺が甦るような…いつもながら期待が高まる。
幸手の土手でお峰が殺され、伴蔵が逃げ帰ってくるところから
はじまった。「御札はがし」など、それより前半のあらすじはなく、
情景は、いきなり栗橋宿である。長い噺で、いくつもの場面が
同時に進行している…こうした噺は、どのようにまとめるか、
難しいのだが、関口屋の奉公人たちが、熱にうなされ、
海音如来の一件や新三郎殺しについて、喋り出すので、
ここまでの噺は、わかるようになっている。長編噺の特徴だが、
過去を振り返りながら進む…圓朝がよく用いる手法である。
宮野辺源次郎の関口屋強請まではお馴染みの内容だが、
忠義の者で幸助が登場しての仇討ちの場面は実に珍しい。
幸助の母りえが現れ、黒川の家の話題、父孝蔵の仇は、
飯島平左衛門であり、その平左衛門は幸助に剣術を教え、
そしてわざと討たれる。幸助は恩のある平左衛門のために
仇のお国と源次郎を追い、母りえが再度、嫁いだことから
そのお国がまた、幸助の義理の姉(妹?)に当たるという…
何という偶然。ちょっと偶然が重なりすぎる気はするけれど、
この不思議な因果関係が、圓朝作品の特徴でもあるのだ。
酒に酔った黒川孝蔵に絡まれて、飯島平左衛門が孝蔵を斬る…
「牡丹燈籠」の発端で、「刀屋」の場面につながるのであり、
噺の筋がここで、すべてがひとつになって、これは感動的だ。
しかし全体の物語と複雑な人物関係を深く理解していないと
この後半の仇討ちの一件は理解できないのではないだろうか。
圓朝の噺は、本当に緻密に創られており、興味が尽きない。
聞けば聞くほどにのめり込んでいく麻薬のような魅力がある。
ちなみに今日は語られなかったのだが、伴蔵はその後、
山本志丈と江戸へ戻るのだが、口封じのために志丈を殺し、
海音如来を彫り出したところで悪事露見と捕まるのである…
というような展開だったような、そう思うのだが、とにかく
そこまでは聞いたことがないので、速記が頼りということか。

20150530

20150530e

横浜に戻ってきて、鶴屋町の鶴一家で
ラーメンを食べてから帰宅。おいしい。

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