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2015年8月26日 (水)

圓朝速記~真景累ヶ淵(八)

切れ場の前で、(七)の終わりに書いてあるのだが、
奥方の死から季節は過ぎ、冬を迎えた翌年の十一月に
本所北割下水の座光寺源三郎という旗本が家来供も
召捕り吟味中ということで、深見新左衛門が宅番を
仰せ付けられている。そして十一月二十日のこと、
隔番の勤めで、その日は出ていなかったのだが、
屋敷で酒を飲んでいると庭の植込みに現れたのが…
「狸の所為(しわざ)か」と新左衛門は斬りつけて。

新左衛門は、座光寺源三郎の屋敷に宅番で勤めていたが、
ある夜、売卜者(うらないしゃ)の梶井主膳が、源三郎と
妻のおこよを引きさらい逃がそうと攻め込んだために
役目柄、新左衛門は止めようとするものの突き殺され、
深見の家は改易となってしまう。妾のお熊は娘とともに
深川の網打場に引き込み、若様新吉は、門番の勘蔵に
引き取られ、大門町の知るべの者を頼って育てられる。
お熊の娘というのが、後に新吉に深く関わるようになり、
下総羽生村でひとつにつながるのだが、それは先の先。

その潰れた屋敷に帰ってきたのが総領の新五郎である。
菩提所へ行って、父母の話を聞き、何たる因果因縁かと
青松院の墓所で腹を切ろうとしているところを止めたのが、
谷中七面前の下総屋惣兵衞という質屋の主人である。
新五郎はその実を隠し、下総屋に奉公することになり、
店の中働で女中のお園に遭遇するのだが、このお園が
宗悦の娘であり、敵同士がここへ寄り合うという偶然。
新五郎はお園に死ぬほど惚れて、親切にしているが、
敵同士の虫が知らせるか、お園は側へ寄られるだけでも
身毛立つほど厭に思って、碌に口もきかない…という。

お園が感冐(ひきかぜ)の様子で寝込んでしまうのだが、
新五郎が寝ずの看病をして、薬を取りに行き、ついでに
氷砂糖を買って来る。葛湯にして、そして蜜柑を買って来る。
九年母(くねんぼ)を買ってくる。九年母というのは、同じく
ミカン科の植物であり、果実は香りと酸味が強いとのこと。
香橘。よく橙(だいだい)と呼ばれるのが、九年母のようだ。

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