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2015年10月11日 (日)

黒門亭で小里ん・小燕枝・志ん橋

今日は朝早くから出掛けて、久しぶりの通し。
第1部は小里ん師匠と小燕枝師匠という…
第2部も菊丸師匠と志ん橋師匠でいい顔付けだ。

第1部
柳亭市丸:平林
初音家左吉:後生鰻
柳家小三太:佐野山
柳家小里ん:天災
柳亭小燕枝:棒鱈

前座さんは市丸さんと駒六さんで、第1部は市丸さんが「平林」。
無筆のマクラで「手紙無筆」かな…と思ったら、さらに面白くない…
「平林」であった。でもこれが楽しかったのだ。久しぶりに聞いた
ということもあるかもしれないけれど、単純でバカバカしい前座噺は、
やはり奥が深いな…って思ってしまう。平林をそんな読み方するか!
ありえないところもあるけれど、町内の無筆の人ばかりが集まると
とんでもない状況が起こりうる!ということは、あったに違いない。
左吉さんが「後生鰻」で、この噺は、志ん生師匠の録音で…とか、
それぐらいしか聞いたことがなかったけれど、すっかり忘れていて、
すると面白いのである。「鰻屋」は聞くが、「後生鰻」は比較的珍品?
続いて柳家の秘密兵器で小三太さん。相撲のネタで「佐野山」だが、
噺の筋を知っている人はいいけれど、今日、はじめて聞いた人には、
どんな噺だか…全くわからなかったのでは?というのも肝心なところを
みんな飛ばして、脱線して、落語ができないことが芸風になっているという
でもそれで会場は大笑い。しかしここで、お客を笑わせているのではなく、
ズッコケることで笑われているだけなので、そこはちょっと気になるのだが。
でも寄席は、様々な芸人がいるところで、これでいいのかもしれないし。
続く小里ん師匠の素晴らしかったこと。これが落語だ!って思ってしまう。
「天災」という噺は、その言葉が本当に面白い。よく出来ている噺である。
喧嘩っ早くて、すぐに手が出る八五郎だが、小里ん師匠のは恐すぎで、
対する紅羅坊名丸先生の仏顔、穏やかに丁寧に教えを説いてくれる…
上下を切っているだけだが、その変化は素晴らしくて、感動の域である。
「天災」は、寄席などでは、小里ん師匠の定番にもなっているのだろうけど、
それにしても今日の高座は最高だった!この噺の巧みな言葉の操りって、
大好きなのである。三代目か四代目か?昔の小さんが言葉の工夫をして、
五代目が芸として確立して、それが現在の柳家に伝わっているのだろう。
第1部のトリは、小燕枝師匠。自らの経験に基づく酒に関するマクラから
これは「親子酒」かな?と思っていたら、なるほど今日は「棒鱈」であった。
この噺も最高に面白いのだけど、小燕枝師匠は何ともいいのである。
オチは、「二階の喧嘩はどうなった?」「心配するな。いまコショウが入った」
ではなくて、「間に入ったのが料理人、上手に捌いた」というのであった。
はじめて聞くオチだが、小燕枝師匠の作だろうか?「コショウが入る」は、
マクラで解説を仕込んでおかないといけないので、こちらはいいかも。

20151011a

第2部
金原亭駒六:元犬
林家たけ平:紙屑屋
古今亭菊丸:短命
柳家小傳次:目黒のさんま
古今亭志ん橋:抜け雀

第2部の前座さんは、何ともフレッシュな駒六さんでお馴染みの「元犬」。
これがまた楽しかったのだ。同じく前座噺は深いものがある。再認識だ。
寄席でのべつに遭遇している方には、また「元犬」か…って、つまらなく?
思うのだろうけど、白犬が人間になって、そこからの言葉の面白さは、
結局はご隠居さんとの擦れ違いなのだけど、よく出来ている噺である。
たけ平さんが「紙屑屋」だ。手紙や本を読み上げるところなど、実に丁寧。
林家で漫談風なところもあるけれど、たけ平さんは上手だ!来年、真打。
続いて菊丸師匠である。こちらも八五郎とご隠居さんの描き分けだけど、
あまりに素晴らしい。察しの悪い八五郎のキャラだが、何とも魅力的だ。
仲入り後に新真打の小傳次さんが、そろそろ季節も終了の「目黒のさんま」。
わがままで、お弁当がないといじけているお殿様が何ともかわいらしい。
今日のトリは、大好きな志ん橋師匠で、50分にも及ぶ本寸法の「抜け雀」。
師匠の声もだいぶ出るようになったし、なにより噺のテンポ、リズム、勢い、
以前の好調だった頃の感じをすっかり取り戻されて、本当に素晴らしかった。
登場人物も多いが、ひとりひとりの個性がいきいきと描かれて、絶品である。
人情味のある宿屋の主人とおかみさん、それに対して、絵師の親子は、
特に年配の父上の方など、落ち着いてお侍の趣きがあるのだけど、やはり
その対比がキッチリしているので、噺にメリハリが生まれる。そして何といっても
雀が画から抜け出る場面が、目の前で実際に飛んでいくような豊かな描写で
じっくりと丁寧に描き込まれているから、これだけ深く引き込まれるのだろうと
この密度って、本当にすごいと思う。凝縮度というべきか。聞けてよかった。

20151011b

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