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2015年10月 1日 (木)

圓朝速記~真景累ヶ淵(十二)

新五郎「お園さん、私はね、此の間
お前と枕を並べて一度でも寝れば、
死んでも宜い、諦めますと云いました
(中略)だがネ私はきっと諦めようと思って
無理に頼んでお前の床へ這入って
酔った紛れに一寸枕を並べたばかりだが、
私はお前と一つ床の中へ這入ったから、
猶諦めが付かなく成ったがね、お園どん、
是程思って居るのだから唯一度ぐらいは
云う事を聴いてもいゝじゃアないか」
元は侍とも思えぬ、新五郎の情けない台詞であり、
こういうところが、いかにも人間っぽい描写である。

新五郎は藁の上へお園を押倒して乗掛るのだが、
お園「アレ新どんが」と高声(たかごえ)を出して
人を呼ぼうと思ったが、そこは病気の時に
看病を受けました事があるから、其の親切に
羈(ほだ)されて、若し私が呶鳴(どな)れば
御主人に知れて、此の人が追出されたら
何処へも行く処も無し気の毒と思いますから、
唯小声で、お園「新どんお止しよお止しよ」と
声を出すようで出さぬが…拒絶しきれないという、
ここなども圓朝の追及するリアリティで、面白い。

藁の下にあった押切のためにお園は命を落とす。
新五郎は店の金を持って逐電。不幸は重なる。

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