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2016年4月 9日 (土)

黒門亭で菊丸・小燕枝・小ゑん

今日は通しで聞こうと朝早くから黒門亭に行ってきた。
第1部は菊丸師匠と小燕枝師匠が「笠碁」をネタ出しで
第2部は小ゑん師匠の「春宵値千金」である。春満開!

第1部
桃月庵ひしもち:道灌
三遊亭粋歌:保母さんの逆襲
古今亭菊丸:ちりとてちん
三遊亭窓里:親子酒
柳亭小燕枝:笠碁

粋歌さんの新作という先入観がいけなかったのだけど、
後で気付いたのは、彦いちさんの「保母さんの逆襲」だった。
かなり驚き!演者が変わると印象も違ってくるし、同時に
粋歌さんのものになっているということなのであろう。
でもいま思えば、彦いちワールド全開だった。面白い。
菊丸師匠が「ちりとてちん」で、お世辞の上手い金さんが
鯛の刺身や鰻の蒲焼きを食べるけど、こちらもちょうど
お腹の空いてくる時間で、おいしそうで…おいしそうで…
逆に口の悪い六さんは、腐った豆腐を食べさせられて、
苦しそうに真っ赤になって流し込むところはリアルすぎる。
この噺の見せる部分で、菊丸師匠はやはり見事だった!
川越の市会議員でもある窓里さんだが、ギリギリ発言に
ハラハラしてしまう。本音トークは痛快ではあるのだが。
落語家としてはいいのだけど、でも政治家にありがちな…
サービストークが揚げ足取られて、致命的な失言となる…
そんな危険を感じるのである。まあ、黒門町の一室で
シークレットな空間ということで、内容は忘れたことにして。
そして小燕枝師匠の「笠碁」である。つい数日前にも
小満ん師匠の「笠碁」を聞いてきたが、どちらについても
一言一句、丁寧に柳家の「笠碁」が受け継がれていて、
つまりどういうことかというと言葉は正確に同じなのである。
その芸の継承に感動してしまった。本当に素晴らしい。
しかし今回の小燕枝師匠のオチは少し追加されていて、
笠から雨水が滴り落ちて、盤の上の水を拭き取るのだが、
「お前さん、まだ被り笠取らない」の後、お互い機嫌が直って、
今度は二人そろって、「碁を打つのは長生きの励みですよ」と
相手を称え合うのだが、それを横で見ていた番頭さんが一言、
「碁敵とはいいながらお互いに一目置いている」というサゲ。
毎度、書いているが、「笠碁」って本当に好きな噺である。

20160409a

第2部
桃月庵ひしもち:子ほめ
柳亭市江:だくだく
桂文生:酔虎伝
春風亭柳朝:蜘蛛駕籠
柳家小ゑん:春宵値千金

市江さんが明るく元気な「だくだく」であり、続いて文生師匠が、
新作を作る、残す難しさ…のような話題から様々な昔話だが、
黒門町の文楽師匠や圓生師匠の話で興味深いこと満載である。
今だから話せるような暴露ネタという内容も入ってくるのだけど、
すべてが貴重であり、こういう話はいくら聞いても興味が尽きない。
文楽師匠がいかに偉大だったのか…の芸談は素晴らしかった。
大須演芸場から戻ってきたという柳朝さんが「蜘蛛駕籠」である。
相変わらず何ともいい空気を出していて、その抑揚が魅力なのだが、
噺における表情作りであり、ますます楽しいのである。しかしそこには
現代的な要素も入っていて、その辺は聞く人の気分次第かな…という。
今日のトリは小ゑん師匠の「春宵値千金」である。この噺については
ラジオデイズに音源があり、私は大好きで繰り返し聞いてきたのだが、
実演で聞くのははじめて。なので、すごく注目していた。いい噺である。
大正時代の東京の暮らしぶりが表現されていて、その点、古典では、
江戸と思っているのが明治であり、明治以降かな…と思っているのが
大正の頃でもあって、なかなか難しいのだが、ここでは様々に大正の
東京の風景がハッキリと描き出されていて、それは非常に勉強になる。
そこが面白さともいえるであろう。春宵で満開の桜の場面が出てくるが、
江戸と変わらぬ上野の桜もどこか近代化の空気が感じられるのであり、
同時に人の想いにも新しさがあって、落語の噺の中で、時代の変化を
明確に打ち出したことは、素晴らしいことだ。小ゑんファンの間では、
この「春宵値千金」が一番人気だと昔から聞いていたのだが、今回、
桜も散り際の春の名残りに、実に絵になる美しい一席であった。

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いつものように山手線で品川まで出て、そこからは京急だが、
快特を京急川崎で降りることにして、急行で神奈川新町へ。

20160409c

九州らぁめん「たまがった」の神奈川新町本店で食べてきた。
横浜西口店は行ったことあったのだけど、本店ははじめて。
久しぶりに九州らーめんを「バリカタ」で注文して、この麺の感じ、
口の中でモゴモゴする粉の具合がたまらない。スープは濃厚。

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