« ミヒャエル・ギーレン 3 | トップページ | イルジー・ビエロフラーヴェク 7 »

2016年4月20日 (水)

圓朝速記~真景累ヶ淵(二六)

土手の甚蔵に脅かされ、新吉はお久の殺害を認め、
豊志賀とのこれまでの話を聞かせる場面である。

甚蔵「分らねえ畜生だナ、手前(てめえ)殺したと打明けて云えよ、
手前の悪事を、己は兄分だから云う気遣(きづけえ)はねえ、
お互(たげえ)に、悪事を云ってくれるなと隠し合うのが
兄弟分のよしみだから、是っぱかりも云わねえから云えよ、
云わなければ代官所へ引張(ひっぱ)って行くぞ、さア云え」
新吉「ヘエ、何うも、ち…些(ちっ)とばかり、こ…殺しました」

甚蔵の脅しである。この台詞も圓生師匠で聞くと好きだ。
いかにも悪党という感じ。新吉もたまらず観念してしまう。

新吉「詳しい事を申しますが、私(わたくし)は根津七軒町の
富本豊志賀と申す師匠の処へ食客(いそうろう)に居りますと、
豊志賀が年は三十を越した女でげすが、堅い師匠で、
評判もよかったが、私が食客になりまして、豊志賀が
私の様な者に一寸(ちょっと)岡惚(おかぼれ)をしたのでな」
甚蔵「いやな畜生だ惚気を聞くんじゃアねえ、女を殺した訳を云えよ」
新吉「それから私も心得違いをして、表向は師匠と食客ですが、
内所(ないしょ)は夫婦同様で只ぶらぶらと一緒に居りました、…」

これから先、今日までの豊志賀とのことが長々と語られる。

甚蔵「気味(きび)の悪い奴が飛込んで来たな、…、
鎌を手前(てめえ)が持って居るから悪(わり)いのだ」
新吉「鎌も其処(そこ)に落ちて有ったので、其処へお久が
転んだので、膝の処へ少し疵(きず)が付き、介抱して居るうち
然(そ)う見えたので、それで無茶苦茶にやったので、拾った鎌です」
甚蔵「そうか、此の鎌は村の者の鎌だ、そんならそれで宜いや、…

お久殺しに使われた鎌が、村の者のだとわかると…
別に強請る相手が見つかって、甚蔵はすぐに考えを切り替えて、
「そんならそれで宜いや」は面白い。この辺の台詞は最高だ。

|

« ミヒャエル・ギーレン 3 | トップページ | イルジー・ビエロフラーヴェク 7 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/121598/63514404

この記事へのトラックバック一覧です: 圓朝速記~真景累ヶ淵(二六):

« ミヒャエル・ギーレン 3 | トップページ | イルジー・ビエロフラーヴェク 7 »