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2016年5月13日 (金)

第279回 柳家小満んの会

お馴染みの日本橋亭での小満んの会である。
横浜から乗り換えなく、横須賀線で新日本橋へ。

春風亭一猿:たらちね
柳家小満ん:鍬潟
柳家小満ん:白子屋政談
柳家小満ん:笠碁

「鍬潟」は2012年の秋だったか…小満ん師匠で聞いて、
他では聞いたことがなく、二度目だが、すっかり噺も忘れて、
しかし鍬潟が力士で、相撲の噺ぐらいのことは覚えていて、
聞くといろいろ思い出しながらよく頭に入って、面白かった。
こちらも珍品だと思うけど、地味な存在ながら味があって、
うれしくなってしまう。蚤の夫婦で、三尺三寸の男というのが、
いかにも落語というか、バカバカしいのが魅力なのである。
続いて、「白子屋政談」だが、「髪結新三」のさらに後半を
師匠が演じてみたいと以前からお話に聞いていたので、
それがついに実現である。新三が白子屋のお熊を拐かし、
三十両の金を巻き上げて、しかしそれを大家が横取りする…
これまでの内容は簡潔に…新三はこの一件で株が上がって、
羽振りがよくなり、一方の弥太五郎源七はすっかり分が悪い。
博打帰りの新三が閻魔堂橋で殺されて、その取り調べの中、
浮上してくるのが白子屋を勘当されたお熊の弟で庄之助だが、
拷問の場面、御牢内の場面、大岡裁きの白洲の場面と続く。
庄之助は冤罪だが、その容疑は新三を含む三人を殺しており、
居酒屋の老夫婦を殺している。今回は時間なく、省略されたが、
新三を殺した弥太五郎源七が居酒屋の親爺に「親分さん…」と
呼び止められ、酒を一杯、付き合っていくのだが、帰り際に
「血が付いている…」と気付かれてしまうのである。その場は、
犬を殺してきたと誤魔化すのだが、翌朝になって、この近所で
殺しがあれば、疑いが自分に向くに違いないと老夫婦も殺す。
最後の白洲の場面では、弥太五郎源七は、その罪を庄之助に
なすりつけようとするし、これまでの立派な親分さんの貫録はなく、
奉行の追及に言い逃れているところなど、情けない部分もあり、
弥太五郎源七という人は、新三に人生を狂わされてしまった。
今回の後半まで噺が進んで、特に印象的だったのがそこである。
また冒頭での白子屋が傾く原因となった五百両を盗られた一件、
それが最後につながってきて、庄之助を助けるきっかけともなる…
そこは通しで聞くことではじめてわかるところでもあり、実に痛快だ。
ぜひまた横浜の会で再演してほしいものである。とにかく聞きたい。
最後は師匠お得意の「笠碁」。「白子屋」の長丁場も無事に終えて、
ホッとされたのか…弾けっぷりは普段以上であり、その過熱ぶり、
つまりは因業な老人二人が、さらに過激に愚痴っぽく、小言っぽく、
被害妄想も全開になって、ひとっ調子もふたっ調子もせり上がり、
よってサゲで仲直りに碁をはじめる笑顔のかわいかったこと!
楽しい噺である。この平和な結末で、幸せな気持ちで帰れるのだ。
ということを書いていて、ふと気付いたのだが、今日の三席って、
「喧嘩の結末」がテーマ?「鍬潟」では、小さいながら大関雷電を
策略で負かした鍬潟だが、それに怒り狂う雷電だけど、最後には
義兄弟の契りを交わして、小さい鍬潟が大きな雷電を従えて、
大坂の街を歩いたという。「白子屋政談」では、いうまでもなく
新三と弥太五郎源七…その喧嘩の納まりは?決裂するのだが…
最後は気を取り直して、「笠碁」で老人同士の喧嘩の納まりである。
幸せな和解でお開きとなるわけだ。この共通は…まあ、偶然だろう。
ということで、来週の木曜日(19日)は、関内での横浜小満んの会、
「がまの油」「馬の田楽」「抜け雀」の長閑な三席である。楽しみだ。

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