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2016年5月 8日 (日)

黒門亭で志ん弥・扇里・小満ん

今日は小満ん師匠を聞きに黒門亭に行ってきた。
ネタ出しは「船徳」で、去年の日本橋での口演を
聞き逃しているので、今回は聞けてよかった。

第2部
金原亭駒六:豆や
柳家喬の字:動物園
古今亭志ん弥:野ざらし
入船亭扇里:かぼちゃ屋
柳家小満ん:船徳

前座さんは駒六さん。売り声のマクラから噺は「豆や」で
この噺は久しぶりだと思う。というよりほとんど聞いていない。
先代の文治師匠(十代目)の録音を持っていると思うのだけど、
明治か?それとも大正か?当時の商売の様子が伝わってきて、
噺の中に漂う空気が実に心地いい。ちっとも面白くないけれど。
喬の字さんが「動物園」で、かなり壊して、自由な印象だけど、
この噺は、いろいろ入れて、漫談風な仕上がりで行けるのだ。
志ん弥師匠が競馬と趣味(釣り)の話で、すると「野ざらし」だが、
「馬の皮が太鼓に使われる」という仕込みで、オチまで本寸法。
明るく陽気で、不思議なぐらいに能天気な展開が魅力だけれども
どこか格調高いような古今亭の「野ざらし」で、聞くと得した気分。
仲入り後に扇里さんが与太郎登場で、夏らしい「かぼちゃ屋」だが、
これは「豆や」と付くだろう!って、ハラハラしてしまった。というのは、
こういうのにうるさい落語通って多いので。私は気にしない…って
そういいながらもすっかり気にしているのは、これらを続けて聞くと
まるで同じところが出てきたのである。与太郎が一所懸命に見上げ、
そして暑い夏の風情で実にいい噺なのだけど、ゆえに今日は残念。
トリは小満ん師匠で、「船徳」はいろいろと…そしてこれまでたくさん
聞いてきていると思っていたのだが、こんなにも見事な「船徳」は、
出会ったことがない。マクラにて柳橋の船宿から山谷堀への船遊び、
途中の首尾の松での艶やかな情景など、船の様子が豊かに語られて、
噺に入るとすっかり引き込まれて、一緒に船に乗り合わせているような
臨場感となるのである。夏の日除けは青竹の簾が掛かる屋根船だが、
吉原への急ぎは猪牙船であり、猪牙を乗りこなすまでになるには、
たいへんな道楽をしているのであって、その結果がここでの徳さんだと
噺も粋な運びである。すごくよかったのが、踊りの船頭姿を褒められて、
「船頭になりたい」といい出した徳さんに…船宿の親方が、静かな堀で
船を漕いでいるのは楽だけど、いったん大川へ出たら、流れも速いし、
棹も取られて、船頭などという商売は、そんなに生易しいものではないと
お説教をする場面で、そこが後半、徳さんが客を乗せて船で出る場面に
活きてくるのである。こうした仕込みは、小満ん師匠ならではの演出だ。
あまりに素晴らしくて、惚れ惚れしてしまった。汗で前が見えなくなってきて、
お客に「水天宮様のお守り(水難除け)持っていますか?」と訊ねる台詞も
小満ん師匠のオリジナルだろうか?とにかく感動の一席で、こういうのを
聞いてしまうと…やたらな「船徳」は聞きたくなくなる。しばらく封印しよう。
この「船徳」で、何とも幸せな日曜日となった。そろそろ気分は夏である。

20160508

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