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2016年10月13日 (木)

日和下駄の風景 4~日和下駄

永井荷風「日和下駄」 第一 日和下駄より

苦学生に扮装したこの頃の行商人が横風に
靴音高くがらりと人の家(うち)の格子戸を明け
田舎訛(いなかなま)りの高声(たかごえ)に
奥様はおいでかなぞと、ややともすれば
強請(ゆすり)がましい凄味な態度を示す…

明治の頃の押し売りで、江戸も明治も強請は、
かなりあったと思うのだが、いまはなくなった。
昭和の頃には押し売りはあった。平成に撲滅。

昔ながらの脚半(きゃはん)草鞋(わらじ)に
菅笠(すげがさ)をかぶり孫太郎虫(まごたろうむし)や
水蝋(いぼた)の虫(むし)箱根山(はこねやま)
山椒(さんしょ)の魚(うお)、または越中富山の
千金丹(せんきんたん)と呼ぶ声。秋の夕(ゆうべ)や
冬の朝(あした)なぞこの声を聞けば何(なに)とも
知れず悲しく淋しい気がするではないか。

行商の売り声。こういうのは貴重な記録である。
伊勢の「万金丹」は知っているが「千金丹」もあったのだ。

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