« アルバン・ベルク四重奏団 18 | トップページ | 今日の月は…月齢4.4 »

2016年11月 3日 (木)

圓朝速記~真景累ヶ淵(三六)

新吉の兄新五郎との対面の場面で
ここは非常に重要なところだ。

新吉「ヘエ、成程鼻の高い好い男子(おとこ)だ、
眼の下に黒痣(ほくろ)が有りますか、おゝ成程、
だが新五郎様と云う証拠が何か有りますか」

新五郎の特徴だが、生まれてくる子供が
兄に瓜二つという、それは後ほどのこと。

新五郎「(前略)是から一緒に逃去って、
永え浮世に短けえ命、己と一緒に賊を働き、
栄耀栄華の仕放題(しほうだい)を致すがよい、
心を広く持って盗賊になれ」

ここまで堕ちたか…新五郎の情けない言葉。
旗本の惣領であった者が、些細なことから踏み外し、
狂った歯車は元に戻せず、悪党に成り下がっている。

駕籠屋「モシモシ旦那旦那大そう魘(うな)されて居なさるが、
雨はもう上りましたから桐油を上げましょう」

すべては夢である。夢ですべてが明かされる。
夢に物語を語らせるのは、圓朝独特の手法。

新吉「好い塩梅だねえ、おや此処(ここ)はお仕置場だな」
と見ると二ツ足の捨札に獄門の次第が書いて有りますが、
始めに当時無宿新五郎と書いて有るを見て、恟(びっく)りして、
新吉が、段々怖々ながら細かに読下すと、今夢に見た通り、
谷中七面前、下總屋の中働お園に懸想(けそう)して、
無理無体に殺害(せつがい)して、百両を盗んで逃げ、
後(のち)お捕方(とりかた)に手向いして、
重々不届至極に付獄門に行うものなりとあり。

お仕置場に新吉を導いたのも新五郎の怨念か。
新五郎の召捕りまでは、すでに語られていたが、
その後の仔細が、ここで明かされている。

新吉の顔を見ると女房お累が虫気付(むしけづ)きまして、
オギャアオギャアと産落したは男の子でございます。
此の子が不思議な事には、新吉が夢に見た
兄新五郎の顔に生写(いきうつ)しで、鼻の高い
眼の細い、気味の悪い小児(こども)が生れると云う
怪談の始めでございます。

こういうところが本当に気持ちの悪いところ。
みんな、新吉の思い込みなのだろうけど…
何の因果か、恐ろしい。怪談噺である。

|

« アルバン・ベルク四重奏団 18 | トップページ | 今日の月は…月齢4.4 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/121598/64440755

この記事へのトラックバック一覧です: 圓朝速記~真景累ヶ淵(三六):

« アルバン・ベルク四重奏団 18 | トップページ | 今日の月は…月齢4.4 »