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2017年7月13日 (木)

第286回 柳家小満んの会

13日の小満んの会である。横須賀線で新日本橋へ。
余裕をもって、早めに出掛けたので、慌てず順調。

桃月庵はまぐり:つる
柳家小満ん:茶漬幽霊
柳家小満ん:船弁慶
柳家小満ん:寝床

お盆の入りで、幽霊の噺から。といっても恐くない幽霊。
一席目は「茶漬幽霊」で、「三年目」の元の噺だそうである。
名人の四代目橘家圓喬が上方の「茶漬幽霊」を東京に移して、
三年目の幽霊、「三年目」を完成させた。ということを知って、
この元の噺を聞くと「三年目」という噺は実によくできている。
圓喬は名人っていうけれど、やはりすごいって再認識である。
しかしこちらの「茶漬幽霊」もいかにも落語らしくて、楽しい。
私は大好きだ。飾り職人が近江屋の旦那とお喋りをしていて、
「先々月にかみさんが亡くなりました」と回想で噺を進めていく。
職人を物持ちの旦那という設定に変えたのが圓喬の技だが、
「茶漬幽霊」もここは同じく、もし新しいかみさんを貰ったなら
婚礼の晩に幽霊になって化けて出ると約束をして、そこで
近江屋の旦那は、幽霊が出たら、引き受けてあげるからと
新しいかみさんの世話をする。婚礼の晩、何も起こらずに、
そのまま三年が過ぎて、(ここも「三年目」と同じで)髪も伸び、
ついに幽霊が出てくるが、昼飯どきの茶漬をすすっていて、
後ろから「怨めしい~」と、それを「うらやましい」と聞き違え、
様子が可笑しくて、なんとも愉快な噺だ。幽霊は丑三つ時で
なぜ、夜中に出てこない?と聞くと「夜は恐いから」というオチ。
続いて二席目、「船弁慶」である。こちらも上方の噺だそうで、
後半、船の場面で、鳴り物入りだが、いかにも上方の印象。
お供で歩いている人のことを「弁慶」というのか?今日は
三分の割り前を払っているので、弁慶とはいってくれるな!
というのがオチにつながる。船の上で紅白の褌で踊りだし、
酒も入って機嫌だが、橋の上を通りかかったおかみさんに
見付かって、船まで乗り込んで来られて、川に突き落とし、
ずぶ濡れ、ざんばら髪のおかみさんが、壇ノ浦で入水の
平知盛の真似をして、周囲はそれを知盛と弁慶の合戦と
囃し立てたものだから、「弁慶ではない、三分の割り前を
払ってきた」というオチになる。舞台は大坂のままだが、
船遊びに連れ出す男が江戸からの流れ者というところが、
小満ん師匠の演出なのか?その辺はどうなのだろう。
上方落語を聞かないものでわからないのだが、これは
「船弁慶」という噺を一度聞いてみなくては。探してみよう。
そして「寝床」だが「浄瑠璃の元祖は通な女なり」の川柳で、
織田信長の侍女で小野お通が「浄瑠璃姫物語」という、
浄瑠璃の元祖を作った話から義太夫の歴史が語られて、
これは、小満ん師匠の「寝床」のフルバージョンである。
十年ぐらい前の日本橋の小満んの会でもこの形だったが、
その後に数年前の関内の小満んの会で演じられたときには、
寄席バージョンの25分版だったので、今日はたっぷりである。
明治になってからの義太夫ブームで女義太夫の追っかけや
興味深い話が盛りだくさん、貴重な解説だと思う。噺に入って、
「寝床」はいうまでもなく小満ん師匠の十八番であり、最高だ。
喜怒哀楽の激しい旦那が、怒りが頂点に達し、抑えがきかず、
しかしやはり義太夫のことで機嫌を直していく様子は絶品。
長屋の衆も断れない中でちくりちくり皮肉をいう小さな反抗、
真剣な旦那と逃げ回る周囲のここでも合戦が繰り広げられ、
バカバカしいながらも命懸けの駆け引きについ笑ってしまう。
ということで、来週の火曜日、18日は関内の小満んの会、
「王子の幇間」「大名房五郎」「湯屋番」の三席。楽しみである。

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