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2017年8月25日 (金)

柳家小満ん 夜会

常連さんのお知り合いが、友達が行けなくなったと
誘ってくださり、夕方から小満ん師匠を聞きに
人形町に行ってきた。社会教育会館は久しぶり。

春風亭一花:転失気
柳家小満ん:宮戸川
柳家三三:元犬
柳家小満ん:唐茄子屋政談

後半にネタ出し「唐茄子屋政談」なので、前半は
比較的短めの時間配分だったのかもしれないが、
小満ん師匠の一席目はお馴染みの「宮戸川」で
師匠の十八番、得意ネタというと、プロフィールでは
文楽師匠の「お前は居残りですよ」の言葉による
「居残り佐平次」ということになっているが、たしかに
そうだとは思うけど、でも師匠の寄席の定番でもあり、
やっぱり「宮戸川」が一番なのではないだろうか。
何度聞いても楽しいし、明るく、そして味わい深く。
小網町から霊岸島へ箱崎を通り、出てくる地名も
人形町のこの会場で聞いているとまさにその現地、
噺との一体感は格別だ。半七が機転を利かせて、
帯をほどき、布団を左右に仕切るところも帯を川に
見立てて、それを挟んで、茅場町とどこだったか?
日本橋ネタなのであり、そこはちょっと普段と違い、
今回は何となく人形町バージョンだった気がする。
ゲストは三三さんで「元犬」だが、この噺は前座さんや
真打の噺家さんでも寄席の12分高座でよく聞くが、
馬石さんや菊之丞さんで聞いた印象が強いのだけど、
三三さんは多少、クスグリたくさんというか、工夫して、
しっかりとした本寸法「元犬」に仕上がっていたのだが、
聞いてみるとどうも、その感想は、寄席の12分高座は
よくまとまっていて、一切の無駄がなく、実に面白いなと
改めて思わされた。新しい奉公人(タダシロウ)の登場で
女中のおもとさんも急に「おワン、おワン」と吠えだして、
犬にかえって、「おっかさんに会えました」というのがオチ。
その伏線としては、母犬も自分と同じ全く差し毛のない
真っ白な犬だった、というのが付け加えられていた。
仲入り後は「唐茄子屋政談」である。たっぷり48分。
出てくる人のみんなが徳さんのことを助けてくれるけど、
何が違うのかはよくわからないのだが、師匠で聞くと
すごく人情味があって、たとえ乱暴でも思いが詰まって、
その印象の違いは不思議である。贔屓目かもしれないが、
小満ん師匠の落語のそうした作り方が、私は好きなのだ。
金の切れ目が縁の切れ目で、若旦那は勘当になった途端、
まわりから人が離れていき、自分がモテていたのではなく、
金がモテていたのだと、はじめてそのことに気付いて、
川に身を投げて死のうとするのだけど、偶然通り掛かり、
止めてくれた叔父さんに「助けてください」と口にする。
自然に出た言葉であり、素直な気持ちがあふれ出て、
そこには人が変わって、すっかり改心した徳さんがいた。
誓願寺店で残った二つの唐茄子を気前よく八文で売り、
腹を空かせた子供には弁当を与えて、そこでの徳さんは
もう道楽者の若旦那ではなく、すっかり商人になっており、
徳さんの成長ぶりに感動した。情けは人のためならずで
若旦那自身も勘当が揺れるのだが、身勝手な徳さんが、
人の気持ちを理解できるにまで、立派な人になっていく…
そこが伝わってきたことで、何か普段以上に素晴らしく、
私には格別な「唐茄子屋政談」であった。よかったのだ。

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