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2017年9月13日 (水)

第287回 柳家小満んの会

13日でお江戸日本橋亭の小満んの会である。
スッキリとした青空が気持ちよかったが、今日は暑い!
「かんしゃく」の扇風機で涼みながらのアイスクリームが
何ともうらやましい。しかし日本橋亭は冷房が効き過ぎ。

春風亭きいち:金明竹
柳家小満ん:かんしゃく
柳家小満ん:大関稲妻
柳家小満ん:今戸の狐

「かんしゃく」といえば、黒門町の文楽師匠なのであり、
小満ん師匠でもとっくに聞いていそうな気がするのだが、
今回がはじめてである。「てきすと」ではすでに読んでいた。
マクラでも文楽師匠の癇癪(かんしゃく)の話題が出たが、
お手本であるだけでなく、モデルは文楽師匠なのであろう。
時は大正時代、会社の社長さんで癇癪もちの旦那様だが、
ちょっとだけ説明が多く、描写が細かいだけなのだけど、
描き込みが具体的であり、人物像がしっかりとしていて、
その結果、お宅の情景も目の前に豊かに広がるのである。
実家のお父さんは優しいのだが、厳しかったり、叱ったり、
とにかく激しいストーリーで、「かんしゃく」ってやはり面白い。
小満ん師匠も普段以上にメリハリで、いきいき絶好調だった。
続いて「大関稲妻」だが、第七代横綱が稲妻雷五郎だそうで、
しかし今回はその人の噺ではなく、小説を元に小満ん師匠が
落語に仕立てたそうな、ここに登場の大関稲妻は架空の関取。
大坂の相撲興行に来た江戸の稲妻を江州屋のご隠居が試す。
心持ちがよければ贔屓になるというところは、「稲川」に似て、
そちらは大坂の相撲が江戸に来るので、場所は逆なのだが、
世話になった平野屋のお嬢さんで、今は芸者のおのぶさんを
身請けしたいとそのための二百両の金に千秋楽の大一番、
八百長の話が持ち上がるのだが、そこは「佐野山」にも似て、
しかし稲妻は八百長を撥ね付けることで、へそ曲がり隠居の
贔屓心をつかむのであり、おのぶの身請けも叶って、見事に
故郷に錦、恩ある平野屋の墓参りも済ませることができた。
お目出度い展開が気持ちいいのであり、既存の噺の要素も
いろいろあって、わかりやすく、馴染みやすく、相撲の噺に
追加して、広く演じられたらいいのにと私には感じられた。
仲入り後は「今戸の狐」である。2009年11月の日本橋で
演じられているのだが、その後、横浜の会、他の会では
聞いていなくて、久しぶり。「今戸の狐」は小満ん師匠のが
一番好きである。噺に入るまで、物語の背景や説明を長く、
聞かされることを嫌がる人もいるが、「狐チョボ」「骨の賽」と
最初にしっかり頭に入れておくことで、この噺は明解になるし、
そこを疎かにすると後半に行くにしたがって、ハッキリしない。
そういう「今戸の狐」って、結構多いのだが、師匠の場合には、
江戸の空気を感じさせつつ、その世界に導く説明なのであり、
私にとっては、それも心地よいのだけど、この噺の場合には
重要なのである。それによって、「狐ができている」の言葉に
「狐チョボ」と「今戸焼の狐」の誤解、ちぐはぐなやりとりが
大いに面白いのであり、間違いが広がるほど笑ってしまう。
(博打の)商売人が使う骨でできた賽子と「コツの妻(さい)」で
コツとは小塚原、橋手前(千住大橋の江戸寄り)の岡場所で
女郎上がりのおかみさんを「コツの妻」と陰では呼んでいて、
それがオチになるのだが、小満ん師匠で聞くと鮮やかだけど、
ここもどうも説明が伝わらない「今戸の狐」って多いのである。
噺をより深く楽しむには、そのための説明が重要となって、
その説明で飽きさせてしまっては台無しになってしまうのだが、
この噺ではそれをいつも思わされるのである。小満ん師匠は
そこが本当に上手く構成されており、緻密な設計でもあると
そういえるのかもしれないが、とにかく私の好きな噺の一つ。
ということで、来週の火曜日、19日は関内の小満んの会、
「渡しの犬」「酢豆腐」「九州吹き戻し」の三席。楽しみである。

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