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2018年5月 3日 (木)

圓朝速記~真景累ヶ淵(四五)

お賤宅にいる新吉の元にお累が訪ねてくる場面。
雨の強く降る夜中である。子供が息を引き取り、
今晩のうちにお埋葬(とむらい)を出してほしいと
戻るように頼むが、それを酷い仕打ちで跳ね除け、
新吉の最も惨忍な一面の表れている箇所である。

新吉「何を云うのだ、帰(けえ)らねえか」
と、さア癇癪に障ったから新吉は、突然(いきなり)
利かない身体の女房お累の胸倉を取るが早いか、
どんと突くと縁側から赤ん坊を抱いたなり転がり落ち、

幽霊のお累はしつこく纏わりつき、次は作蔵のところに。

作蔵「己(おれ)が彼処(あすこ)に寝て居るとお前(めえ)、
裏の方の竹を打付(ぶっつ)けた窓がある、彼処のお前
雨戸を明けて、何うして這入(へえ)ったかと見ると、
お前の処の姉御、お累さんが赤ん坊を抱いて、
ずぶ濡れで、痩せた手を己の胸の上へ載せて、
よう新吉さんを帰(けえ)しておくんなさいよ、
新吉さんを帰しておくんなさいよと云って、己が胸を
押圧(おっぺしょ)れる時の、怖(こえ)えの怖くねえのって、
己はせつなくって口イ利けなかった」

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