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2018年6月15日 (金)

圓朝速記~真景累ヶ淵(四八)

新吉と甚蔵で惣右衛門の湯灌の場面である。

甚蔵「(前略)盥(たれえ)を伏せて置いて、仏様の
腋(わき)の下へ手を入れて、ずうッと遣って、
盥の際(きわ)で早桶を横にするとずうッと足が出る、
足を盥の上へ載せて、胡坐(あぐら)をかゝせて
膝で押(おせ)えるのだ、自分の胸の処へ仏様の頭を
押付(おっつ)けて、肋骨(あばらぼね)まで洗うのだ」

湯灌の方法が書いてある。

甚蔵「何うたってグッと力に任して、えゝ気味を悪がるな」
新吉「あゝ出た出た」

圓生師匠の圓生百席の録音で聞いていると
この「出た出た」のところが好きである。
新吉は死骸を相手に情けなく、何とも間抜けだ。

仏様の首がガックリ垂れると、何う云うものか
惣右衞門の鼻からタラタラと鼻血が流れました。
甚蔵「おや血が出た、身寄か親類が来ると血が出るというが
己は身寄親類でもねえが、何うして血が出るか、
おゝ恐ろしく片方(かたっぽ)から出るなア」

死骸から鼻血が出るのは、身寄親類が来たときだそうで。

甚蔵「納められるもんかえ、やい、是(こ)りゃア旦那は
病気で死んだのじゃアねえ変死だ、咽喉頸に筋があり、
鼻血が出れば何奴(どいつ)か縊(くび)り殺した奴が
有るに違(ちげ)えねえ」

甚蔵に首の二本の細引きの筋を見付けられてしまう。

甚蔵「(惣右衛門殺しを)なに手伝った、じゃアお賤が遣ったか」
新吉「それには種々(いろいろ)訳が有るので、唯縄を引張ったばかりで」
甚蔵「それで宜しい、引張ったばかりで沢山だ、お賤が引くなア
女の力じゃア足りねえから、新吉さん此の縄を締めてなざア
能く有る形だ、宜しい、よしよし早く水を掛けやア」

甚蔵はすべて、お見通しである。

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