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2018年7月16日 (月)

圓朝速記~真景累ヶ淵(四九)

土手の甚蔵がお賤のところへ強請りに来る場面。

丁度九月十一日で、余程寒いから素肌へ馬の腹掛を
巻付けましたから、太輪(ふとわ)に抱茗荷(だきみょうが)の
紋が肩の処へ出て居ります、妙な姿(なり)を致して、

博打ですっかり取られてきた甚蔵の姿だが、
9月11日で大そう寒いそうである。旧暦のことであり、
いま(新暦)に直すと10月下旬から11月はじめの頃。
すると、寒いというのも頷ける。現在の9月はまだ暑い。

新吉は他人(ひと)が来ると火鉢の側に食客(いそうろう)の様な
風をして居るが、人が帰って仕舞えば亭主振(ていしぶ)って(後略)

「居候」だが、「食客」と書いて「いそうろう」と読ませている。
落語では、「湯屋番」や「船徳」など、居候の若旦那の噺で
別のいい方として「食客」というのがよく出てくるのだが。

惜まれる人は早く死ぬと云うが、五十五じゃア
定命(じょうみょう)とは云われねえ位(くれえ)で

圓生師匠の「真景累ヶ淵~(八)聖天山」を聞いていると
まさにこの通りに聞けるのだが、「寿命」を「じょうみょう」と
読んでいるのかとこれまで勘違いをして聞いていた。
定められた命であり、字で読むとたしかに「定命」である。

甚蔵「(前略)借金の眼鼻を付けて身の立つ様にして貰うにゃア、
何様(どん)な事をしても三拾両貰わなけりゃア追付(おっつ)かねえから、
三拾両お借り申してえのさ、ねえ何うか」
お賤「何(なん)だえ三拾両呆れ返って仕舞うよ、女と思って
馬鹿にしてお呉れでないよ、何だエお前さんは、お前さんと私は何だエ、
碌にお目に掛った事も有りませんよ、女一人と思って馬鹿にして三拾両、
ハイ、そうですかと誰が貸しますえ、訝(おか)しな事をいって、なん、なん、
なん何をお前さんに三拾両お金を貸す縁がないでは有りませんか」

お賤の啖呵が聞きものだ。江戸の女である。
「お富与三郎」の「玄冶店」でお富の啖呵も迫力あるが、
それを思い出すような鮮やかな言い回しに聞き惚れてしまう。

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