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2018年9月20日 (木)

第147回 柳家小満んの会

横浜での小満んの会で夕方から吉野町へ。
思ったよりもひどい雨で駅に着くとずぶ濡れ。
気温は低く、寒いぐらいだが、歩くとまだ暑い。

金原亭小駒:強情灸
柳家小満ん:お見立て
柳家小満ん:疝気の虫
柳家小満ん:試し酒

三席ともすごくよかった。明るく楽しい噺ばかりである。
機会も多いお馴染みの「お見立て」だが、師匠で聞くのは
今回がはじめてだ。いま風な感じとはどこか違って古風。
師匠が教わったときの当時のスタイルをしっかり守って、
その空気感が何か独特であり、ここでもそれが心地いい。
田舎から通ってくるお大尽は、信州のお方だそうである、
汽車で上野に着くと旅館にも立ち寄らずに喜瀬川の元へ
真っ先にやって来るという。いかにも明治の雰囲気だ。
長野まで鉄道が開通しており、碓氷峠を便利に越えて、
毎月、東京にやって来る(信州のお大尽は毎月来る)
というと思い浮かべるイメージとは違って、大正かも?
また喜瀬川は、御職の花魁だそうである。それゆえの
気位の高さかもしれないが、ならばいくら金を積んでも
信州のお大尽が相手にされるわけがない…ということ。
その辺の細かな設定って、あまり聞いたことがなかった。
喜助が上手に言い訳をしていくのだが、それを上回る
お大尽の強引な追及に詰めの甘さが露呈して、そこは
若い衆のいい加減さによるものだけど、やはり面白い。
そして小満ん師匠の「疝気の虫」というのもはじめてだ。
「虫が起こる」「腹の虫がおさまらない」などなど、虫も
いろいろあって、そこから秋の虫の鳴き声の話題となり、
この9月に「疝気の虫」が出たのには、理由があった。
先生も秋の夜長で、書見の最中にウトウトしてしまう。
他のでは、疝気の研究をしている先生ということに
なっていたようにも思うのだが、小満ん師匠のでは、
そこまで専門に研究しているのではなく、患者の中に
疝気もちがいて、その治療について気になっている、
という程度、親切なお医者ならば、ありそうなことかと
そこがいい。サゲについては、疝気の虫は陰嚢に隠れ、
そこを別荘と呼び、蕎麦につられて、おかみさんの口に
飛び込むのだが、唐辛子の汁を飲まれたものだから、
逃げようものにも別荘がないという考えオチである。
仲入り後、三席目は「試し酒」であった。こちらの噺は
日本橋で数年前に聞いている。今回もすごくよかった。
以前も書いていると思うけど、五升の酒を飲むのに
一升の盃で五つの場面で構成されているのであり、
それぞれに見せ場、物語があって、よくできている。
特に好きなのが、四升目はそれまでと様子が変わり、
久蔵の飲み様を見ながら、旦那の方が酒の蘊蓄で
冷静を装いながらもその豪快な飲み方に驚かされて、
旦那の口を借りて、その情景が伝わってくるのだ。
昭和初期の新作落語であり、いまはもう古典だけど、
多くの演者によって、研きに研き抜かれていると思う。
酒飲みの見せ場もあって、賑やかに盛り上がった。
ということで、次回は11月21日(水)の第148回、
「近日息子」「粗忽の使者」「富久」の三席。楽しみだ。

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