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2018年11月21日 (水)

第148回 柳家小満んの会

吉野町での小満んの会は今回で最終回だ。
来年の1月と3月は、関内ホールに戻る。
そしてその3月16日の会が150回記念で
平成の終わりとともに横浜の会もついに終了。

三遊亭歌つを:子ほめ
柳家小満ん:近日息子
柳家小満ん:粗忽の使者
柳家小満ん:富久

今回の三席も笑いがたくさんですごくよかったのだが、
先回りして失敗する「近日息子」と粗忽者は健忘症で、
慌てて出掛けたものだから大失態の「粗忽の使者」、
「富久」も早とちりで大騒ぎとなるのであり、どことなく
方向性では共通のものが感じられて、その早とちりで
今回の三席はまとめられている気がする。よい流れ。
小満ん師匠の「近日息子」ははじめて聞いた。記録で
2002年に日本橋、2003年に関内で演じられているが、
近年、他の会で演じられているか?その辺は不明だ。
与太郎が相変わらずのバカをして迷惑をかける噺だと
思われているけれど、その愚か者をずっと見守っている
お父つぁんの存在があり、親子の噺であるともいえて、
実にいい。小満ん師匠のお父つぁんは穏やかな印象で
与太郎の愚かさを受け入れて、どこか諦めているような。
「近日忌中」と近日って書いてあるという、そういうところは
頭が回って、ただのバカではないのであり、むしろ天才?
とまではいわなくても真っすぐで、実に素直なのである。
そういうところを大切にしたいし、すると噺も変わってくる。
「粗忽の使者」は、2012年11月の関内で聞いている。
六年ぶりにということになる。他の演者でもよく掛かるし、
いろいろ聞くとさすがに前回のことは忘れてしまったが、
こんなに面白かったっけ…というぐらいにたくさん笑った。
使者の地武太治部右衛門と迎える田中三太夫さんで
お侍のやり取りだが、そこに職人の留っこが加わるので
それで一段と可笑しくなる。治部右衛門の粗忽っぷりは、
とにかく突拍子もなくて、それは面白いのだが、留っこの
命知らずの振る舞いも奇想天外。侍と町人が隔てなく、
楽しいやり取りをしているのって、実に気持ちがよくて、
「妾馬」や「松曳き」などもそうだけど、落語の中だけの
理想郷なのかもしれない。現実はありえなかったのか?
私は「富久」が大好きで、中でも小満ん師匠が一番だが、
師匠も毎年一度は演っているので、何度か聞いている。
それが何度聞いても魅力的だ。劇的な展開でハラハラ、
緊迫感のある噺だけど、大袈裟にならないよう努めて、
サラっと聞かせていたようだけど、実に華やかである。
文楽師匠の型が、小満ん師匠に受け継がれているが、
久蔵さんが何とも人間味があっていい。こういうところは、
文楽師匠の最大の遺産だけど、小満ん師匠も大切にして、
そこは心得ているので、本当に宝物のような「富久」である。
ということで、次回は2019年1月21日(月)の第149回、
「天狗裁き」「ふぐ鍋」「紺屋高尾」の三席。楽しみである。

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