« フランソワ・グザヴィエ・ロト 3 | トップページ | 落語につぶやき 300~勉強 »

2019年3月13日 (水)

第296回 柳家小満んの会

13日は小満んの会で夕方から日本橋へ。
すっかり春である。しかし夜はまだ寒い。

柳家寿伴:勉強
柳家小満ん:饅頭怖い
柳家小満ん:帯久
柳家小満ん:鰍沢

寿伴さんの噺は、新作だろうとは思ったのだが、
念のため、検索してみたところ、三代目金馬師匠の
「勉強」というらしい。録音もあった。古かったのだ。
五代目小さん師匠の竹馬の友の話題をマクラに
お馴染みの「饅頭怖い」だが、小満ん師匠では、
「棚卸し」以来、聞くのは二度目である。6年ぶり。
胞衣(えな:へその緒)を埋めて、その上を最初に
通った虫のことが嫌いになるという、迷信なのだが、
それを踏まえて、何が怖いか、どう怖いかを丁寧に
一人ずつ喋っていくので、普段の「饅頭怖い」に比べ、
格段に面白いのである。明日は建前だからと棟梁に
酒は飲んじゃいけねえと釘を刺された説明もあるが、
それは金がなくて、酒の買えない言い訳なのだろう。
二席目は「帯久」で、大岡政談にあるそうなのだけど、
上方で演じられることが多く、大岡政談というぐらいで、
元々は江戸であり、設定を直しての口演だそうである。
たしかに以前、「日本の話芸」で、桂文珍さんで聞いた。
東京では「圓生百席」に圓生師匠の録音が残っている。
聞いたことはあるけれど、すっかり忘れていたので、
はじめて聞いたみたいな感じであり、この帯久さん、
自分が苦労していたときに無証文で用立ててくれた
恩があるにも関わらず、酷い仕打ちで何とも嫌な人だ。
つまり信用で金を貸してあげた旦那の方がいい人で
噺の中心なのだけど、題名が「帯久」というのは面白い。
十年前に貸した百両の利息が百五十両に膨れ上がり、
百両は奉行所が立て替え、不足の五十両を年賦で
一両ずつ返していくのだが、五十年かかる計算になり、
その間、火付けの大罪で火炙りの刑は猶予されるという、
大岡越前の名裁きである。というので、合っているのか。
裁きの次第は面白いのだが、帯久の酷い人間性に
腹が立って、どうもこの噺、後味があまりよろしくない。
仲入り後は「鰍沢」である。「饅頭怖い」の怯え方もだが、
「鰍沢」はいつも以上に熱演であった。戻った伝三郎が
痺れ薬に苦しみ出し、その状況を隣の部屋から察して、
壁を破り、必死に逃げ出すのだが、後半の迫力は
特にすごくて引き込まれた。「鰍沢」って、その内容は
決していい噺でもないけれど、やはり情景があって、
風情があって、劇的な展開でもあり、素晴らしい。
圓朝の三題噺が元というのも大きいか、笑いよりも
人間ドラマであり、お熊の独特な雰囲気もあるけれど、
不思議な凄みが伝わってくるのである。夜の暗闇に
火縄の明かりをちらつかせ、鉄砲を担ぎ追ってくる、
その恐怖感は圧倒的で、一気に駆け上るラストは、
まさに絶妙な心地よさと達成感で、最高であった。
ということで、土曜日は横浜の最終回(第150回)、
「長屋の花見」「狸の鯉」「らくだ」の三席。14時開演。

|

« フランソワ・グザヴィエ・ロト 3 | トップページ | 落語につぶやき 300~勉強 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 第296回 柳家小満んの会:

« フランソワ・グザヴィエ・ロト 3 | トップページ | 落語につぶやき 300~勉強 »