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2019年5月13日 (月)

第297回 柳家小満んの会

13日は小満んの会で夕方から日本橋へ。
途中、ちょっと用事を済ませて行ったので、
その分、早めに出たのだが、早すぎた。
神田からゆっくり歩いて、それでも早い。


柳家り助:子ほめ
柳家小満ん:六郷の莨
柳家小満ん:苫が島
柳家小満ん:品川心中


今回の三席で共通のテーマは、六郷の渡しで川を渡り、
和歌山から苫が島に渡って、巻狩りをして、そして
品川の海では桟橋を渡って、海に落とされるのだが、
海とか川とか、水の出てくる三席である。たまたまか。
大蛇も出てくるが、「品川心中」では出てこないので、
そちらは忘れていいのかも。六郷の大蛇は道成寺。
師匠の「六郷の莨」は「棚卸し」以来、二度目だが、
初夏の景色が心地よく、何とも長閑な情景である。
江戸時代、煙草の火は火事の原因となり、火事早い
江戸の市中で、外で煙草を吸うことは禁じられていた。
外の空気を吸いながら気持ちよく煙草を吸いたいと
郊外に出掛け、川崎大師のお参りはうってつけである。
そこで渡しの手前でゆったり煙草を吸っている風景だが、
煙草好きが出会うと大変なことになる。しかし煙草を
わざわざご馳走してくれるのだから本当はいい人で、
何事も度が過ぎてはいけないし、押し付けは迷惑という。
煙管の種類と煙草の銘柄は、師匠の理解の深さで、
その紹介は素晴らしい。銘柄と産地が噺に登場する。
「苫が島」は紀州が舞台であり、今回の案内ハガキにも
師匠の昔のエピソードが紹介されたが、上方落語である。
はじめて聞いたし、一度ではなかなか覚えられないが、
私も地図を見てみたところ、和歌山と淡路島の間に
二つの島があり、地ノ島と友ヶ島だが、説明の通りに
この友ヶ島が「苫が島」のようである。紀州徳川家の
初代頼宣が、苫が島で巻狩りをする。大蛇が表れ、
薙刀の尻で叩くと鼻血が出たのだが、ちり毛を抜くと
三枚の鱗が剥がれ、鼻血が止まるというサゲ。
調べてみるとこの友ヶ島には大蛇伝説があり、
初代頼宣が退治したそうである。噺の方では、
頼宣の命を受けた家臣が退治したような気がする。
仲入り後は、お馴染みの「品川心中」である。
小満ん師匠のこの噺も何回か聞いているが、
改めて、やはり面白い。金蔵とお染のやり取りが
何といっても聞きどころだが、金蔵は強がっていながら
お染に頭が上がらず、すぐに優しい言葉を掛けては、
バカが付くほど人がいい。そういうところが特長で、
この辺の台詞は文楽師匠に教わったと、以前に
師匠にお聞きしたことがある。たしかに魅力的だ。
文楽師匠は「品川心中」は演っていなかったが、
演らない噺だって、みんな、頭の中に入っていて、
お弟子さんを前にしては、教えを伝え、ときには、
演じていたりもしていた。師匠の「品川心中」には、
そうした文楽流のキャラ作り、言葉遣いが生きている。
登場人物がいいので、聞いていても気持ちがいい。
たくさん笑って、品川の夜の海も堪能できたが、
ということで、次回は7月13日(土)の第298回、
「成田小僧」「縮み上がり」「中村仲蔵」の三席。

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