クリスティアン・ティーレマン 12
クリスティアン・ティーレマン指揮ウィーン・フィルの
ザルツブルク音楽祭でのライヴ録音であり、
エリーナ・ガランチャが歌っている
ワーグナーのヴェーゼンドンクの5つの詩
2020年8月19-22日にザルツブルク祝祭大劇場、
マーラーのリュッケルトの詩による5つの歌曲
2021年7月31日-8月3日にザルツブルク祝祭大劇場。
なんて美しい、透明度の高い演奏なのであろうか。
隅々にまで、繊細な心が行き届いて、奇跡である。
ティーレマンの骨太な音楽、重厚な音色は姿を消し、
ウィーン・フィルとのときには格別でこうなるのだが、
それにしても不思議なぐらいの柔らかな感触である。
コロナの一年目の夏と変異株によりそれが拡大して、
まだまだ終わりの見えなかった2021年の夏であり、
そうした極限状態における演奏で、何か、音楽にも
特別なものが生まれたのか、他と違う空気がある。
あまりの素晴らしさにずっと聞き続けていたくなり、
この2曲では短すぎるともっともっと聞きたくなる。
カラヤンとジェシー・ノーマンのザルツブルクでの
1987年のライヴを意識していると話題になったが、
すると「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と愛の死が
聞きたくなってしまうが、エリーナ・ガランチャが、
歌っていなかったら、それは叶わないことであり、
しかしヴェーゼンドンクの歌曲を聞けているので、
その世界には連れて行ってくれている気がして、
夏のザルツブルクでは、奇跡が起こるのである。
DG 486 1929
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