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2024年5月 4日 (土)

エマニュエル・アックス 17

エマニュエル・アックスによるドヴォルザークで
ピアノ三重奏曲 第3番 ヘ短調 作品65
ピアノ三重奏曲 第4番 ホ短調 作品90「ドゥムキー」
ヤン・ウク・キム、ヨーヨー・マとの共演で
1987年11月1-3日にニューヨーク州立大学。
エマニュエル・アックスによる室内楽を聞いている。
ドヴォルザークの室内楽は美しい旋律に感動する。
ピアノ三重奏曲 第3番ははじめて聞いたのだが、
こんなにも素晴らしい作品があったのだ。それを
聞き逃していたなんて、これまで何をしていたのか。
逆に第4番「ドゥムキー」に関しては、父が好きで、
その昔にスーク・トリオで聞いてきたのだと思うが、
子供の頃に繰り返し聞かされたので、親しみある。
高校生ぐらいのときであったか、サヴァリッシュが
N響の首席奏者との室内楽演奏会で取り上げて、
FMで放送された演奏をカセットテープに録音して、
ブラームスのピアノ三重奏曲と共に聞きはじめた。
エマニュエル・アックスは魅力がいっぱいである。
美しい音色としなやかなピアノの進行はここでも
独特の味わいを生み出して、引き込まれてしまう。
ヴァイオリンは、アイザック・スターンではなくて、
ヤン・ウク・キムという人であったがいい音色だ。
当時はここでのスターといったらヨーヨー・マかと、
しかし目立つわけではなく、室内楽に徹している。
「ドゥムキー」になるとヨーヨー・マも大活躍であり、
というより3人のいきいきとした姿が目に浮かぶ。
ドヴォルザークのこの音楽が、最高の宝である。
エマニュエル・アックスが優しい音色を聞かせて、
いつもながら角のない滑らかな表現にうっとりだ。
絶妙すぎるのである。どうしたらこんなに柔軟で
自在な表現を生み出せるのか。その方向性で
立体的な感覚は出さないけれど、陰影に富み、
深みのある音楽の奥行きは、絶大なのである。
説明によるとドゥムキーはドゥムカの複数形で
ウクライナ起源の憂鬱な叙事的歌謡とあって、
だとしたら、ウクライナに生まれたアックスは、
格別な思いを抱いていたはずであり、ここでも
民謡の要素を大胆に強調している印象がある。
この曲は独特で、6楽章構成となってはいるが、
目まぐるしく調性が変わり、曲調も変化し続け、
民謡集のような、舞曲集のような、個性的で
親しみやすさと同時にドヴォルザークによる
室内楽の最高傑作である。アメリカに旅立つ、
少し前の完成であり、この曲の源というのは、
望郷の想いではなかったが、それにしても
傑作が次々に生み出された1890年代である。

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