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2024年5月21日 (火)

トーマス・シッパーズ 2

1967年の大阪国際フェスティバルにおける
バイロイト音楽祭の引越し公演であり、
トーマス・シッパーズ指揮NHK交響楽団で
楽劇「ワルキューレ」から第2幕
1967年4月11日に大阪フェスティバル・ホール。
トーマス・シッパーズは、やはり抒情的な表現で
優れた指揮をしているのではないかと思われる。
録音なので、収録方法でも変わってくるであろうが、
57年前であったとしても想像するN響の音色とは、
どうも違っている気がして、美しく艶やかなのである。
トーマス・シッパーズは、練習でN響とぶつかったと
記述を読んだが、そうした困難の先に変革へと導き、
明るい音色を引き出し、この強い輝きには感動する。
衝突は無駄ではなかったと確実に結果が出ている。
第2幕からは、テオ・アダムのウォータンが登場し、
ブリュンヒルデはアニヤ・シリヤである。素晴らしい。
バイロイトの1966年から1967年のウォータンは、
テオ・アダムであった。1975年まで長期にわたり、
1970年代のホルスト・シュタイン指揮の指環でも
テオ・アダムはウォータンを歌っている。日本でも
実現していたのは偉大なことであった。それに対し、
この時代のバイロイトで、ブリュンヒルデといえば、
ビルギット・二ルソンなのであり、アニヤ・シリヤは、
「マイスタージンガー」のエヴァや「タンホイザー」の
ヴェーヌス、1967年からはエリザベート、さらには
「さまよえるオランダ人」のゼンタとブリュンヒルデは
バイロイトでは一度も歌っていない。ここだけである。
しかし1960年代のバイロイトで中心にいた歌手で
思う以上にすっかり引き込まれ、聞き入ってしまう。
骨太な戦士といった印象でなく、可憐なのがいい。
後半のジークムントとの場面なども最高の感動だ。
そして傷ついて、死を覚悟し、運命を受け入れる、
ジークムントのジェス・トーマスに聞き惚れてしまう。
「ワルキューレ」の第2幕は本当にいいのである。

NHKCD ALT491/3

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