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2024年10月18日 (金)

お知らせ

10月24日から自宅の改装工事を行うことになりました。
それまでの間に片付けで準備をするため、しばらくの間、
更新をお休みいたします。よろしくお願いいたします。
これを機に不要なものを処分して、生活も整理整頓し、
効率よく、便利な環境を手に入れたいと考えています。

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2024年10月17日 (木)

ホルスト・シュタイン 3

ホルスト・シュタイン指揮ウィーン・フィルで
ブルックナーの交響曲 第6番 イ長調
1972年11月14,15日にウィーンのゾフィエンザール。
まず繊細な表現に耳が行ったのだが、動きを見せると
そこに力強い推進力が加わり、ホルスト・シュタインの
独特な重みや深い奥行きを感じで、引き込まれてくる。
ウィーン・フィルの音色は美しくて、色合いも豊かだが、
濃厚な表情付けは避け、引き締まった音楽を引き出し、
厳粛な空気感というのが、何よりもここにはふさわしい。
ホルスト・シュタインを讃えたいところではあるけれど、
1970年代のブルックナーの交響曲への意識というのも
大いにあるのかと思われる。派手な感じはどこにもなく、
美しさとは、厳粛なものを追求した結果に現れるのだと
格式のある音楽に感動する。やはり聞くと思うのだが、
1970年代のウィーン・フィルもまた素晴らしいのである。

DECCA 484 0204

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2024年10月16日 (水)

クラウディオ・アバド 72

クラウディオ・アバド指揮ベルリン・フィルで
ブラームスの悲劇的序曲 作品81
運命の歌 作品54
交響曲 第3番 ヘ長調 作品90
1989年9月にベルリンのフィルハーモニーで収録。
その当時、第1弾の交響曲 第2番を聞いたときには、
ベルリン・フィルの渋すぎる音色に衝撃を受けたのだが、
続く、この交響曲 第3番では、もうあまりに素晴らしく、
アバドとベルリン・フィルの演奏に夢中になったのである。
カラヤン亡き後、アバドのベルリン・フィルの音楽監督の
就任が発表された時期であり、新しい時代の訪れを感じ、
新録音には、興奮をもって聞かずにはいられなかった。
ベルリン・フィルの引き締まった音色は独特でもあるが、
それ以上に勢いを感じ、歌を感じ、感動するのである。
カラヤンのブラームスの交響曲全集が完成した直後で
間を開けずに、アバドとのシリーズが開始されたのは、
いまとなっては、非常に不思議なことではあるけれど、
それだけの活気に満ちあふれた時代であったのだ。
マゼールやハイティンク、メータ、小澤征爾といる中で、
ベルリン・フィルがアバドを選出したことは、その場では、
驚きもあり、意外な結果ともいわれたのだけど、しかし
この演奏を聞くと、説得力があって、現実味を帯びて、
新しい時代は、すでにここではじまっていたのである。
本当に素晴らしいブラームスで、久しぶりに聞いても、
少しも変わらず、最高の全集であることは間違いない。

DG 429 765-2

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2024年10月15日 (火)

小澤征爾 16

小澤征爾指揮ボストン交響楽団による
チャイコフスキーの交響曲 第6番 ロ短調 作品74
1986年4月26日にボストン・シンフォニー・ホール。
小澤征爾のチャイコフスキーを収録順に聞いている。
音楽に純粋に向き合い、清々しい表現が素晴らしく、
濃厚な表情付けや感情を音に反映させることをせず、
余分なものを引き算していくのが小澤征爾の手法で
そこに現れる音楽は、この上なく清らかなのである。
この神聖なまでの輝きというのは、実に貴重であり、
そこにこそ、小澤征爾の強い想いを感じるのである。
「悲愴」の演奏では、激烈に盛り上げることもあるし、
どこまで感情があふれ出すか、その点を重視して、
聞いている場合もあるのかと、しかしここでは逆に
抑制されるところにこそ、音楽の真実が存在して、
これがいいのである。小澤征爾の最高の名盤だ。

Warner 0825646139514

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2024年10月14日 (月)

クリストフ・フォン・ドホナーニ 28

クリストフ・フォン・ドホナーニ指揮クリーヴランド管弦楽団で
シューマンの交響曲 第1番 変ロ長調 作品38「春」
1987年11月2日にマソニック・オーディトリアムで収録、
交響曲 第2番 ハ長調 作品61
1988年2月15日にマソニック・オーディトリアムで収録。
ドホナーニとクリーヴランド管弦楽団による全集を聞く。
すべてが揃い、改めて、じっくりと聞き直してみたいが、
1980年代の後半にはじめてドホナーニを聞いたのが、
シューマンの交響曲であったので、やはりそこから聞く。
当時はカラヤンやバーンスタインを基本にしていたので、
ドホナーニを聞くとすっきりとした響きで、ドライな感覚で
それが刺激でもあったのだが、いま聞くと印象は違って、
心のこもった歌心も感じて、明るい音色が魅力であり、
それは素晴らしいのである。シューマンの交響曲は、
やはりドホナーニの演奏が最高であると変わらない。
クリーヴランド管弦楽団の独特なイメージがあるが、
研き抜かれた明瞭な表現は継承されて、冴えわたり、
ドホナーニもまたその響きをしっかりと引き出している。
気合いの入った演奏で、とにかくこれは感動しかない。
こんなにも音楽が心に迫ってくることはないのである。

DECCA 485 4683

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2024年10月13日 (日)

ジョナサン・ビス 5

ジョナサン・ビスによるベートーヴェンで
ピアノ・ソナタ 第5番 ハ短調 作品10-1
ピアノ・ソナタ 第11番 変ロ長調 作品22
ピアノ・ソナタ 第12番 変イ長調 作品26
ピアノ・ソナタ 第26番 変ホ長調 作品81a「告別」
2011年5月11-13日にニューヨークのパーチェス大学。
ジョナサン・ビスによるピアノ・ソナタ全集を聞いていく。
2011年の第1弾がこちらであり、2019年まで、毎年、
一作ずつ制作されていく。2020年のベートーヴェンの
生誕250年に関連したプロジェクトであったと思われる。
基本的にはスッキリと爽快感が漂い、音の並びが美しく、
整然とした造形にこそ、こだわりがあって、冴えわたる。
色合いも控えめにして、この無色の感覚が好きである。
表情付けにおいても過剰なことはせずにシンプルだが、
見通しがいい中で細部まで描き出される明瞭さであり、
押し付けられることなく、寄り添いたくなる演奏である。
力で押し切るところがなくて、ほどよい脱力が魅力か。
極端な個性はないけれど、それがむしろいいのである。
ジョナサン・ビスによるベートーヴェンをじっくりと聞く。

ORCHID CLASSICS ORC100117

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2024年10月12日 (土)

アロイス・コンタルスキー 2

アロイス・コンタルスキーによるシュトックハウゼンで
ピアノ曲 X
1965年7月1,2日、11月15-17日にヴィンタートゥーア、
アロイス・コンタルスキーはタムタムIで参加し、
ミクロフォニー I
アルフォンス・コンタルスキーがハモンドオルガンで
ミクロフォニー II
1965年6月11,12,17,18日にケルンのWDRスタジオ。
やはりピアノ曲 Xは最高だ。こんなにも好きな曲はない。
ポリーニの演奏でこの曲と出会い、カセットに録音して、
まさにテープが擦り切れるまで聞いて、実演も聞けたが、
それよりも以前に原点は、アロイス・コンタルスキーの
この演奏なのであろう。とにかく素晴らしい録音である。
想像する音楽を超越した奏法や前衛的な響きの連続で
しかしその音響空間は心地よくなり、美しいのである。
後半はミクロフォニーだが、同時に加工される音響で、
その恐怖感はすさまじい。空間体験ともいえる音楽は、
1960年代には数多くあり、個人的には好きなのだが、
一般的には受け入れられず、現代音楽離れの原因は、
これらの作品にあるともいえるのであろう。危険であり、
ミクロフォニー IIでは、「合唱のための」とあるけれど、
歌ではなく、使われているのは声で、楽器なのであり、
電気的に加工された音響とミックスされ、壮絶である。
シュトックハウゼンの過激な作風が並び、堪能した。

SONY SICC-1223

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2024年10月11日 (金)

アロイス・コンタルスキー 1

アロイス・コンタルスキーによるシュトックハウゼンで
ピアノ曲 I-IX,XI
1965年7月1,2日、11月15-17日にヴィンタートゥーア。
シュトックハウゼンといえば、この録音が有名であり、
アロイス・コンタルスキーといえば、この演奏を思う。
シュトックハウゼンのピアノ曲はいまも録音が少なく、
こうしてまとめて聞ける機会は極めて珍しいのだが、
20世紀のいわゆる現代音楽で最重要な作品である。
ピアノ曲 V,IX,Xはポリーニで聞いて、親しんできたが、
その後に何曲かは追加され、演奏もしていたようだが、
正式な録音が残されなかったことは、残念でならない。
シュトックハウゼンにとっては、大いなる損失といえる。
作品については、何かをいうのは難しすぎるのだが、
ポリーニもいっていた、響きが美しいというコメントは、
アロイス・コンタルスキーの演奏を聞いてもいまでは、
よく理解できる。本当に美しい。ピアノを演奏していて、
この音楽を奏でたくなる思いは自然な成り行きである。
しかしそこで、その表現はあまりにも難解なのであり、
音を正確に把握することは困難でもあって、さらには
離れ業ともいえる超絶技巧を要する。前半を聞いたが、
続いて、ピアノ曲 Xとミクロフォニーを聞きたいと思う。

SONY SICC-1223

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2024年10月10日 (木)

バイロイト音楽祭1955

ヨーゼフ・カイルベルト指揮によるワーグナーの
「ニーベルングの指環」から楽劇「ジークフリート」~第3幕
1955年8月12日にバイロイト祝祭劇場で収録。
楽劇「ジークフリート」から続いて、第3幕を聞いている。
前奏曲からカイルベルトは力強く、豪快な響きを聞かせ、
すべての目論見は順調であり、無敵の英雄を作り上げた、
ウォータンの勝利宣言のようであって、また先の展開の
勇ましく登場してくるジークフリートを予言しているような、
素晴らしい音楽であり、冒頭から一気に引き込まれる。
もう一方の聞かせ方としては、しなやかな動きも用いて、
重厚な音色との対比で、軽やかさも表れそうなところで、
そこでもカイルベルトはあくまでも重低音を鳴り響かせ、
心の底まで、音楽がずっしりと浸透してくる感じである。
第3幕第2場でのヴォルフガング・ヴィントガッセンと
ハンス・ホッターの対話は、これまで聞いてきた中でも
最高の感動である。これはすごい。夢中になってしまう。
そして、この第3幕の聞きどころはやはり第3場だが、
眠りの中のブリュンヒルデに遭遇し、激しく、揺れ動く、
ジークフリートの心理状態を反映した音楽なのであり、
カイルベルトはそこで、小細工なしに雄弁に聞かせて、
率直であり、むしろそれがいいのである。素晴らしい。
注目のマルタ・メードルによるブリュンヒルデであるが、
なるほど、歌が入ってきた瞬間、これはいいと感じて、
虜にするものがある。この音源をCD制作した想いが
理解できた。さらにヴォルフガング・ヴィントガッセンの
ジークフリートであり、後半はひたすら感動しかない。
これはすごい録音を聞けたとバイロイトの宝である。
この2日後、マルタ・メードルのブリュンヒルデにより
楽劇「神々の黄昏」も上演されているが、その録音は、
聞けないのであろうか。関心は止まらないのである。
グンターもハンス・ホッターである。代役のようだが。

PROFIL PH23003

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2024年10月 9日 (水)

バイロイト音楽祭1955

ヨーゼフ・カイルベルト指揮によるワーグナーの
「ニーベルングの指環」から楽劇「ジークフリート」~第2幕
1955年8月12日にバイロイト祝祭劇場で収録。
楽劇「ジークフリート」から続いて、第2幕を聞いている。
モノラル録音ながら思う以上に明瞭で、金管の迫力は、
特に迫ってくるものがある。第1場では、そこに登場の
ファフナー、アルベリヒ、さすらい人(ウォータン)であり、
暗黒の世界は激しい緊迫感を生み出し、実に感動的だ。
聞くとふと思い出すけれど、グスタフ・ナイトリンガーの
アルベリヒがお気に入りであったのだ。1955年もまた、
この時代は、ずっと「ラインの黄金」、「ジークフリート」、
「神々の黄昏」と「指環」でアルベリヒを歌い続けていた。
1957年までだが、1965年以降、カール・ベームの時代、
そして1970年から1975年のホルスト・シュタインとも
バイロイトでアルベリヒを歌っている。大蛇に化けた、
ファフナーはヨーゼフ・グラインドルで、 さすらい人の
ハンス・ホッターと偉大な歴史であって、それが聞ける、
大きな喜びがある。考えれば考えるほど、すごくって、
大切に味わいたい。ジークフリートの大蛇との対決も
勢いに満ちて、重厚な深みであり、最高の感動である。
ヨーゼフ・カイルベルトは勝手に巨匠のイメージだが、
このとき47歳であり、バイロイトの復興に尽力した。
骨太な凄みに感動するのだけど、この音楽の勢いは、
まさにすべてが充実していた証しなのであろうと思え、
素晴らしい記録だ。「ジークフリート」のこの第2幕が、
一番好きで、楽しくて仕方なく、この世界にのめり込む。

PROFIL PH23003

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2024年10月 8日 (火)

バイロイト音楽祭1955

ヨーゼフ・カイルベルト指揮によるワーグナーの
「ニーベルングの指環」から楽劇「ジークフリート」~第1幕
1955年8月12日にバイロイト祝祭劇場で収録。
カイルベルトの1955年の「指環」はすでに出ているが、
そちらは第1サイクル(7月24,25,26,28日)の演奏であり、
新たに登場した録音は第2サイクルでの記録である。
何が違うかというとブリュンヒルデがマルタ・メードルで
(第1サイクルの7月26日はアストリッド・ヴァルナイ)
登場するのは第3幕であり、そこで注目して聞きたい。
1955年のモノラル録音でそうした雰囲気ではじまるが、
ミーメが登場して、歌がはじまるとリアルな感覚に驚き、
歌に関しては、目の前にマイクを置き、録音したかと
その臨場感に引き込まれる。クリアで実に聞きやすい。
存在感ある歌が展開され、迫力があり、向こう側から
オーケストラの音色が聞こえてくるのは、劇場の音を
忠実に捉えているのかもしれないと素晴らしい音だ。
70年前の舞台が音により、こうしていきいきと甦って、
再生した瞬間に目の前で動きはじめる、この感覚は、
本当に偉大なことで夢中になり、一気に聞いてしまう。
ジークフリートはヴォルフガング・ヴィントガッセンで、
ミーメはパウル・クーエンだが、ミーメの仕上がりが、
現在とはかなり印象が違い、少しも醜くないのであり、
対比よりも舞台上での対話が重視されていたのか。
そしてさすらい人といえば、ハンス・ホッターである。
ヨーゼフ・カイルベルトの音作りは、力がみなぎり、
重厚ながら、推進力にあふれ、この1950年代の
バイロイト音楽祭のエネルギーを感じて、熱くなる。

PROFIL PH23003

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2024年10月 7日 (月)

ジョン・バルビローリ 6

サー・ジョン・バルビローリ指揮ハレ管弦楽団で
マーラーの交響曲 第1番 ニ長調「巨人」
1957年6月11,12日にマンチェスターの自由貿易ホール。
バルビローリのマーラーを収録順に聞いていきたい。
1957年の録音で、戦後のマーラーの演奏史としても
残されている記録では、かなり古いものではないかと
バルビローリがマーラーの紹介に熱心であったことが、
ここでも伝わってくる。ステレオ録音ではあるのだが、
分離が不自然な印象で、ところどころ、気持ちが悪く、
しかし演奏としては、いきいきと歌い、色彩感もあり、
美しい音色であることはよくわかる。録音は古いが、
バルビローリの演奏や解釈に古さは感じられない。
濃密な表現は、いかにもバルビローリの印象である。
洗練されるのではなく、大胆に雄大に鳴りきっている。
1960年代のバルビローリとクレンペラーによる演奏で
EMIが取り組んだマーラーの交響曲を聞いていきたい。

WARNER 0190295004286

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2024年10月 6日 (日)

エマニュエル・アックス 19

エマニュエル・アックスによるブラームスで
アイザック・スターン、ハイメ・ラレード、
ヨーヨー・マとの共演による
ピアノ四重奏曲 第2番 イ長調 作品26
1989年12月11-13日にニューヨークのトロイ音楽ホール。
エマニュエル・アックスによる室内楽を聞いている。
第1番と同時に収録されたが、こちらも素晴らしい。
エマニュエル・アックスが優しい音色を引き出して、
本当に角を作らず、自然な調和が特長なのであり、
こんなにも美しい情景というのはない。この作品は、
全体に穏やかな印象があるけれど、その一方で
剛柔の対比がくっきりと表れる傾向もあり、そこで
エマニュエル・アックスは剛の部分が際立たぬよう、
雄大な印象を作り、場面の移り変わりは滑らかだ。
ピアノ協奏曲のソリストのような感じになるところで
そうした印象はどこにもなく、4人の奏者が融合して、
この音楽の深まりは最高の感動である。この曲は、
録音も少なく、いろいろと聞いている印象はないが、
これまで聞いてきた中では、この演奏スタイルこそ、
相応しいようにも感じられて、まさに室内楽である。
第2楽章でピアノが不気味なさざ波を聞かせる中、
弦楽器は夢のような音色を聞かせ、天国的であり、
絶妙である。第3楽章での歯切れのよいリズムも
エマニュエル・アックスはソフトに穏やかに弾いて、
すっかり引き込まれて、夢中で聞かされてしまう。
この曲でのリヒテルの演奏のような凄みはないが、
とにかく調和なのであり、完成度は高いのである。

SONY 19075929282

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2024年10月 5日 (土)

エマニュエル・アックス 18

エマニュエル・アックスによるブラームスで
アイザック・スターン、ハイメ・ラレード、
ヨーヨー・マとの共演による
ピアノ四重奏曲 第1番 ト短調 作品25
1989年12月11-13日にニューヨークのトロイ音楽ホール、
ピアノ四重奏曲 第3番 ハ短調 作品60
1986年11月19-21日に東京サントリーホールで収録。
エマニュエル・アックスによる室内楽を聞いている。
ピアノがあまりにも素晴らしい。滑らかな音であり、
いかにもブラームスらしい音色が聞こえるのだが、
力で押さずに、このしなやかな表現は最高である。
エマニュエル・アックスのピアノは、角を作らずに
立体的ではないかもしれないが、自然な流れで、
逆らわず、立ち向かわず、しっとりと聞かせている。
独奏として、ピアノだけが目立つということもないし、
弦楽器との調和が特長である。ヨーヨー・マに加え、
アイザック・スターンも参加しており、しかし誰一人、
自分の主張を押し通すこともなく、心を一つにして、
すべてをブラームスのこの音楽に捧げる姿勢には
深く感動する。1986年のピアノ四重奏曲 第3番は、
サントリーホールの開館の企画で、11月21日の
「アイザック・スターンと仲間たち II」に合わせて、
収録が行われたのであろう。その辺りは懐かしい。

SONY 19075929282

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2024年10月 4日 (金)

タカーチ四重奏団 12

タカーチ四重奏団でシューベルトを聞いている。
弦楽四重奏曲 第15番 ト長調 D.887
弦楽四重奏曲 第8番 変ロ長調 D.112
2023年5月20-23日にワイアストン・エステイトで収録。
タカーチ四重奏団によるシューベルトのシリーズだが、
最初の「死と乙女」と「ロザムンデ」が2006年であり、
続く、弦楽五重奏曲、四重奏断章が2012年の録音で、
それから10年以上が経過していることには驚いた。
タカーチ四重奏団は様々な作品に取り組み、発表し、
録音も継続されているので、時間が経つのが早い。
シンプルな響きで明瞭に聞かせる独特のスタイルで
シューベルトがこの音楽に盛り込んだ複雑な要素が
鮮やかに再現され、静かな音色にも激しさがある。
研ぎ澄まされている感覚が顕著で、はじめて聞くと
キリキリと引き締まり、色彩も切り詰め、モノトーンな
その極端な透明度には驚かされるかもしれないが、
ファンにとっては、この音色がたまらないのである。
弦楽五重奏曲もそうであったが、シューベルトの
後期の緻密な作風こそ、タカーチ四重奏団の音が
調和を生み出し、一体感を得ていると思うのである。
それに対し、弦楽四重奏曲 第8番は初期の作品で
1814年の作曲というとシューベルトが17歳のときか、
ますます清らかであり、美しい音楽に引き込まれる。

hyperion CDA68423

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2024年10月 3日 (木)

レナード・バーンスタイン 47

レナード・バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルで
マーラーの交響曲 第3番 ニ短調
1987年11月にエイヴリー・フィッシャー・ホール。
バーンスタインのマーラーを再録音で聞いている。
最も雄大な演奏の一つであり、隅々まで描き込まれ、
ひとつひとつの音が重くのしかかってくるところでは、
これほどまでに壮絶な音楽はなく、やはり感動する。
恐るべき巨大な迫力が炸裂したかと思うと次には、
軽やかに繊細な美しさを聞かせているのであり、
バーンスタインはマーラーの音楽に感情を込めて、
表現を拡大し、これ以上のない深まりを示している。
第2楽章以降の歌い込まれた豊かさも究極的で、
細部まで精妙だが、これは洗練とは違うのであり、
バーンスタインでしか聞けないマーラーなのである。
第3楽章の彼方から鳴り響いてくるポストホルンの
この情景が好きなのだが、理想としかいいようがない。
後半の楽章に行くにつれ、バーンスタインの表現は、
ますます滑らかに、開放されていくのが素晴らしい。

DG 477 8668

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2024年10月 2日 (水)

ハンヌ・リントゥ 8

ハンヌ・リントゥ指揮フィンランド放送交響楽団で
ベルント・アロイス・ツィンマーマンの作品を聞く。
リーラ・ジョゼフォヴィツの独奏で
ヴァイオリン協奏曲(1950)
2018年5月にヘルシンキのミュージック・センター、
フォトプトシス(1968)
2016年6月にヘルシンキのミュージック・センター、
ヴォーカル・シンフォニー「兵士たち」(1957-1963)
2018年9月にヘルシンキのミュージック・センター。
破壊的な音響の衝撃的な作風のイメージがあるが、
そんなことはなく、むしろ楽しくて仕方ないのであり、
その点では、あまり現代音楽という認識ではない。
ヴァイオリン協奏曲は70年以上も昔の作品であり、
ベルント・アロイス・ツィンマーマンが亡くなったのも
1970年なのである。前衛的な方向性よりは、むしろ
新古典的な手法というのが特徴であり、顕著である。
ストラヴィンスキーを聞くのと変わらず、心地がいい。
この中では、フォトプトシスが1968年の作品であり、
後期の作風ということがいえるが、引用を取り入れ、
ベートーヴェンの交響曲 第9番が使用されている。
交響曲 第9番におけるベートーヴェンの「歓喜」と
スクリャービンの法悦が組み合わされて、少しして、
それが「くるみ割り人形」の「金平糖」に至るのに
何か深い意味があるのか、それは教えてほしい。
歌劇「兵士たち」を短縮して、演奏会用にまとめた、
ヴォーカル・シンフォニーは、歌劇という形態でも
シェーンベルクやベルクの延長線上として聞ける。
歌劇「兵士たち」は、難解な作品として有名だが、
しっかり聞いてみたいのだけど、こちらは入門編。

ONDINE ODE1325

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2024年10月 1日 (火)

カール・ベーム 12

カール・ベーム指揮バイエルン放送交響楽団で
モーツァルトのピアノ協奏曲 第9番 変ホ長調 K.271
ピアノはフリードリヒ・グルダにより
1969年9月30日にミュンヘンのヘルクレスザール、
ブラームスの交響曲 第1番 ハ短調 作品68
1969年10月2日にミュンヘンのヘルクレスザール。
演奏の日付は違うのだが、恐らく同一のプログラムで
協奏曲は初日、交響曲は最終日の録音が選ばれた、
ということなのであろう(違っていたら、ごめんなさい)。
グルダのモーツァルトが絶品である。やはり最高だ。
乗ってくるとますます躍動しだす後の演奏とは違い、
表情は豊かながら、しっかりとコントロールされて、
気品に満ち、奇跡のような素晴らしさなのである。
そこにはカール・ベームの存在があり、グルダも
偉大な先輩に対して、敬意を払っているのであろう。
繊細な表現ながら、ときににじみ出る激情であり、
そこはベームの真実の表現に通ずるものがある。
ブラームスの交響曲は、畳みかける表現であり、
テンポも速く、晩年の穏やかさ、というのはなくて、
よくいわれる、ベームの燃え上がる演奏である。
力強く、引き締まって、これこそがカール・ベーム、
貴重な記録である。第4楽章の一気に聞かせる、
この高揚感はなく、ただただ感動するのみである。

ORFEO C263921B

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