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2025年7月31日 (木)

レナード・バーンスタイン 49

レナード・バーンスタイン指揮ウィーン・フィルで
マーラーの交響曲「大地の歌」
ジェームズ・キングのテノール、
ディートリヒ・フィッシャー・ディースカウのバリトンで
1966年4月にウィーンのソフィエンザールで収録。
バーンスタインのマーラーを1960年代の全集と
1980年代の再録音で交響曲をすべて聞いたが、
そろそろ次の企画で別の作品に移りたいと思い、
大地の歌の旧録音を奥の方から出して、これで
完成としたいと思う。ウィーン・フィルの表現が、
現在のイメージと比べ、かなり骨太なのであり、
濃厚な表情付けで気合いの音色に驚かされる。
少し荒っぽいような、独特の激しさが感じられて、
バーンスタインの強烈な個性が炸裂していると
特別な存在とは考えているけれど、しかし聞くと
心を揺さぶられるものがあり、やはり感動的だ。
全盛期のフィッシャー・ディースカウに惹かれて、
圧倒的に素晴らしいのだが、しかしそれ以上に
バーンスタインの音楽に耳を奪われ、虜になる。

DECCA 466 381-2

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2025年7月30日 (水)

フィリップ・ジョルダン 5

フィリップ・ジョルダン指揮ウィーン国立歌劇場で
ワーグナーの舞台神聖祝典劇「パルジファル」~第3幕
2021年4月8,11日にウィーン国立歌劇場で収録。
第2幕の盛り上がりから一転して、厳粛な空気で
その変化にまた一気に引き込まれてしまうのだが、
悲痛な響きであり、クンドリーの絶叫が一段と激しく、
それには驚かされるけれど、ひたすら感動的である。
フィリップ・ジョルダンは、ゆったりと滑らかな流れで
ウィーンの柔らかい音色を基調に穏やかに聞かせ、
硬質な緊張感からは思う以上に解放されるのだが、
強いメッセージのときには、荒げる表情付けも見せ、
やはり細やかな情景作りが最大の特長なのである。
丁寧にこんなにも音楽を大切にしていることはなくて、
「パルジファル」のこの偉大さを再認識するのである。
やはりここでも重要なのは、グルネマンツの語りだが、
ゲオルク・ツェッペンフェルトの引き締まった感じは、
実に惹かれるのであり、パルジファルの姿を変えて、
第1幕から流れを追ってきて、ヨナス・カウフマンの
各場面で見せてくれる圧倒的存在感にも感激する。
それにしても深く心に響き、染みわたる音楽であり、
こんな作品は他になく、永遠に聞き続けたくもなり、
この崇高な情景にふれたところで終わりとしたい。

SONY 194399477427

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2025年7月29日 (火)

フィリップ・ジョルダン 4

フィリップ・ジョルダン指揮ウィーン国立歌劇場で
ワーグナーの舞台神聖祝典劇「パルジファル」~第2幕
2021年4月8,11日にウィーン国立歌劇場で収録。
劇的な展開で面白くなる「パルジファル」の第2幕で
ウィーンの音色というのは、重厚な感じではないが、
細やかな表現でキリキリと激しい響きを引き出して、
その輝きをともなった悪魔の音色には痺れてしまう。
フィリップ・ジョルダンは、きびきびと冴えた音作りで
夢中にさせるものがある。集中力で引き込まれる。
前半でのクリングゾルの暴れぶりが好きなのだが、
ここは圧倒的な存在感が欲しく、遠い感じがする。
パルジファルが再び登場し、花園の場面となって、
いよいよヨナス・カウフマンの舞台となってくるが、
エリーナ・ガランチャのクンドリーとの場面となり、
いつもながらやはり最高の聞きどころなのである。
うっとりと陶酔の深みにはまることは間違いない。
パルジファルの変化には釘付けで、目覚め以降の
ヨナス・カウフマンの力強い歌声には魅了される。
「パルジファル」の第2幕は、やはり最高である。
クリングゾルから放たれた聖槍はパルジファルの
頭上に停止して、聖槍で十字を切ると魔法は解け、
地響きの音とともに城と花園は消えてなくなるが、
フィリップ・ジョルダンは迫力で聞かせるのでなく、
丁寧に情景を音にして、誠実な表現に感動する。

SONY 194399477427

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2025年7月28日 (月)

フィリップ・ジョルダン 3

フィリップ・ジョルダン指揮ウィーン国立歌劇場で
ワーグナーの舞台神聖祝典劇「パルジファル」~第1幕
2021年4月8,11日にウィーン国立歌劇場で収録。
ウィーン国立歌劇場の独特な透明感のある響きで
繊細な表情を見せ、そうした特長を基本としており、
フィリップ・ジョルダンは過剰な要素が目立つことを
避けているのであり、何より音楽を大切にしている。
グルネマンツの厳粛な語りで静かに音楽が進む中、
表現の抑制に努め、クンドリーが感情を表出すると
その流れにわずかな変化が生まれ、激しさがにじみ、
微妙なところを巧みに描き出して、感動するのである。
物語の細部をフィリップ・ジョルダンは丁寧に表現して、
滑らかな感触を大切にして、ごく精妙な音作りながら、
聞く人の心には、豊かな想いを芽生えさせてくれる。
パルジファルの登場で舞台はさらに変化するのだが、
ヨナス・カウフマンであり、しかしここでは、まだである。
ゲオルク・ツェッペンフェルトのグルネマンツに聞き入り、
そしてエリーナ・ガランチャのクンドリーにも注目である。
この演奏は、コロナ禍の最も厳しい状況下にあって、
イースターで行われた上演のライヴ録音だと思うが、
フィリップ・ジョルダンとウィーン国立歌劇場における
この一体感には深く感激する。美しい音楽なのであり、
そしてウィーンの音色のこの清らかさは極上である。

SONY 194399477427

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2025年7月27日 (日)

ジョナサン・ビス 7

ジョナサン・ビスによるベートーヴェンと新作を聞く。
ピアノ協奏曲 第1番 ハ長調 作品15
ビーミッシュのシティ・スタンザス(ピアノ協奏曲 第3番)
オメール・マイア・ウェルバー指揮スウェーデン放送交響楽団で
2018年12月13-15日にベルワルド・ホールで収録。
ジョナサン・ビスによって5人の作曲家に委嘱された
ベートーヴェンと合わせて演奏する新作の協奏曲で
第1番には、ビーミッシュのシティ・スタンザスである。
ジョナサン・ビスによるベートーヴェンが素晴らしい。
細部にまで丁寧にじっくりと練り上げられた表現だが、
しなやかな感性による歯切れのよい運動性が魅力で
聞いていて心地よいし、音色も音楽も美しいのである。
ベートーヴェンの初期のスタイルであり、その方向で
重厚さよりは、繊細な表情で清潔感が漂うのだけど、
力強さで押すばかりではなく、シンプルな輝きがいい。
この調和や一体感というものこそ、大切に思えてくる。
後半はサリー・ビーミッシュの「シティ・スタンザス」で、
イギリスの作曲家ではじめて聞くが、難解さはなくて、
すぐに楽しく、夢中になれる作品である。これはいい。
バルトークのピアノ協奏曲の延長線上にあるような、
そんな印象であり、このシリーズはベートーヴェンと
現代音楽を組み合わせる企画だが、いまのところは、
少しも緊張する必要はなく、親しみしかないのである。

ORCHID CLASSICS ORC100339

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2025年7月26日 (土)

ミンゲ四重奏団 3

ミンゲ四重奏団によるウォルフガング・リームで
geste zu vedova(2015)
弦楽四重奏曲 ト調(1966)
弦楽四重奏曲(1968)
イェンス・ペーター・マインツのチェロが加わり、
弦楽五重奏のためのエピローグ(2012/2013)
2015年3月6-8日、2016年1月14-16日に
ケルンのドイチュラントラジオ室内楽ホールで収録。
ウォルフガング・リームの後期の弦楽四重奏曲と
逆にごく初期の曲を聞き比べる、そうした内容で、
1952年生まれのリームで、10代半ばの作品で、
習作なのかと少年時代の作品を拾い上げるかと
そんな先入観をもってしまうが、これが魅力的だ。
後期の作品と並べるという企画ではあるけれど、
ウォルフガング・リームの作曲技法は一貫して、
若き日の作品にも物足りなさなど、どこにもなく、
その最初から天才であったことをここに確認する。
不思議なぐらいに素晴らしいので、録音のため、
補筆、改訂がなされたのかとつい思ってしまうが、
戦後ドイツの最も偉大な作曲家に凡人の常識は、
通用しないのであり、他と変わらず、引き込まれる。
弦楽五重奏のためのエピローグはチェロが加わり、
シューベルトの弦楽五重奏曲に意識が行くけれど、
そうした指摘がなされているが、前衛的な方向性で
現代の作品ではありながら、聞きやすくも思える。
難解さはなくて、無調の世界にあって、楽しめる。

WERGO WER7346

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2025年7月25日 (金)

ピエール・ブーレーズ 30

ピエール・ブーレーズ指揮ニューヨーク・フィルで
ラヴェルの組曲「クープランの墓」
1971年4月27日にエイヴリー・フィッシャー・ホール、
海原の小舟
優雅で感傷的なワルツ
1973年1月8日にエイヴリー・フィッシャー・ホール。
ブーレーズの旧録音でラヴェルを聞いている。
1970年代に入り、ここからはニューヨークでの録音。
リズムがくっきりとして、そこが強調されているが、
明確に鳴り響くというところが最大の特長である。
余韻や色合いで深みを求めず、速めのテンポで
テキパキと音を処理して、その辺のドライな感触で
この時代のブーレーズは独特な存在感だと思うが、
しかし聞くと冷たい感じはないし、血が通っており、
思う以上に心が躍らされて、豊かな情景が広がる。
ラヴェルの演奏としては、個性的な印象もあるが、
若き日のブーレーズは、やはり圧倒的に面白くて、
強烈に惹きつけられることは間違いないのである。

SONY SMM5054092

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2025年7月24日 (木)

ジェームズ・レヴァイン 29

ジェームズ・レヴァイン指揮ウィーン・フィルで
モーツァルトのアイネ・クライネ・ナハトムジーク ト長調 K.525
セレナード 第9番 ニ長調 K.320「ポストホルン」
1982年6月17,18日にウィーン楽友協会大ホール。
懐かしい感覚になる。40年前に引き戻されて、
それというのも最初の頃に当時は中学生で、
ちょうどその時期、レヴァインがモーツァルトの
交響曲全集の録音を開始して、それらを聞いて、
私にとっての原風景というのが、その辺なのだ。
それに先立って、ここでのセレナードの録音は、
少し前の1982年の演奏だが、重なるのである。
しかしその懐かしさには、こちらの想いだけでなく、
ウィーン・フィルの音色にも独特の特長があって、
音の美しさは変わらず格別だが、現在に比べて、
キリリと線がしっかりと立ち上がり、輪郭を明瞭に
少々辛口の刺激も感じられる。1980年代前半に
ウィーン・フィルで、その傾向が顕著であったのが、
マゼールやドホナーニ、そしてレヴァインであろう。
ベルリン・フィルでの演奏を聞いてもレヴァインの
相性のよさを感じるのだが、ここでもそれは同じく、
30代後半のレヴァインだが、すべてが絶好調だ。

DG 0289 482 2464 7

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2025年7月23日 (水)

ヴァーツラフ・ノイマン 35

ヴァーツラフ・ノイマン指揮チェコ・フィルによる
ドヴォルザークの交響曲全集を聞いている。
交響曲 第5番 ヘ長調 作品76
交響曲 第8番 ト長調 作品88
1982年4月20-27日にプラハのルドルフィヌム。
まずは明るい響きで、その輝きに感動するが、
しっかりと聞き進むとヴァーツラフ・ノイマンは、
やはり骨太に腰の低い、安定して、格調高く、
そんなドヴォルザークを聞かせ、これである。
しなやかに歌い上げるというようなことはせず、
どちらかというと重厚な構えでもあり、そこに
チェコ・フィルの自国の音楽への誇りが表れて、
あえて民族色が強調されることはないのである。
ノイマンは淡白にあまり感情を入れ過ぎないが、
彫りの深い音色で、この心に迫る音楽は最高だ。
ドヴォルザークの清々しい響きが夏に心地いい。
ノイマンとチェコ・フィルの音楽が、ここにはある。

Supraphon COCQ-83919

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2025年7月22日 (火)

ベルナルト・ハイティンク 86

ベルナルト・ハイティンク指揮ベルリン・フィルで
マーラーの交響曲 第1番 ニ長調「巨人」
1987年4月1,2日にベルリンのフィルハーモニーで収録。
ベルナルト・ハイティンクとベルリン・フィルによる
マーラーの交響曲を聞いていく。このシリーズは、
残念なことに第8番と第9番は実現しなかった。
いまでもよく覚えているが、アムステルダムでの
ハイティンクの活動が終わろうとしている時期で、
そこで開始されたのが、マーラーの交響曲であり、
ベルリン・フィルと取り組むというのは話題になった。
カラヤンがマーラーの録音に限定的であったので、
ハイティンクの全集の企画は歓迎されたのである。
ベルリン・フィルの独特の引き締まった響きだが、
豊かに情景を生み出す感じでもなくて、その点で
爽やかな印象というのも違うのだが、しかしそこで
このキリリと張り詰めている空気が、素晴らしい。
隅々まで配慮が行き届いている緊張感は最高で、
ハイティンクのこの時期の存在感は圧倒的である。
丁寧にしっかりと凝縮して、歌い込まれているが、
安易な物語に流されず、交響曲に徹しているのに
ハイティンクの最大の魅力を感じて、引き込まれる。

DECCA PROC-1428/36

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2025年7月21日 (月)

ジュゼッペ・シノーポリ 26

ジュゼッペ・シノーポリ指揮シュターツカペレ・ドレスデンで
ブルックナーの交響曲 第3番 ニ短調(1877 ノヴァーク版)
1990年4月17-21日にドレスデンのルカ教会で収録。
シノーポリ指揮シュターツカペレ・ドレスデンによる
ブルックナーの交響曲を収録された順に聞いている。
シノーポリは交響曲 第3番で、第2稿を採用して、
最初の改訂は加えられているが、後年の完成形より
初期のスタイルで演奏したいという、方向性である。
第3稿での演奏が一般的であるとして、それに対し、
第1稿の演奏が増えたが、バランスの取れている、
第2稿は実は魅力的で、ここでも面白いのである。
シノーポリは美しい響きを引き出し、研き抜かれて、
ここまで澄んだ空気で清らかなことはないのである。
最初の頃、この当時ということだが、シノーポリは、
凝縮されて、密度の高い演奏は間違いないけれど、
なぜか、濃密で重たいイメージに支配されていたが、
いま聞くと清々しくて、透明感が圧倒的なのである。
音楽の表情も洗練されて、調和こそがすべてであり、
シノーポリのバランス感覚は完璧で理想ともいえる。
当時の音楽評論家やメーカーのコピーに惑わされた。
参考にしても自分の耳を信じ、客観的に聞くべきで、
聞けば聞くほどにシノーポリは素晴らしく思えてくる。
優れた演奏で聞くと第2稿がより魅力的に感じられ、
後に削除された部分にも価値があると思ってしまう。

DG PROC-1182

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2025年7月20日 (日)

ステファノス・トモプーロス 1

ステファノス・トモプーロスによるジョージ・クラムで
マクロコスモス I
マクロコスモス II
2017年12月8,9日にヤコブ・クライツベルク・ホール。
ジョージ・クラムの暑さを吹き飛ばす、この破壊力で
夏は現代音楽がいい。夢中にさせる世界観である。
暗黒の領域を思わせるけれど、白と黒で色はなく、
しかしその透明感は圧倒的で、何より音が美しい。
ドビュッシーの前奏曲集との関連性がいわれるが、
引用もあるし、響きの共通性はハッキリ感じられる。
ジョージ・クラムが関心を寄せる神秘性については、
音楽との関係性で理解できていないかもしれないが、
作品の魅力は伝わり、現代の重要なピアノ曲である。
特殊奏法で知られるが、ピアノの可能性を引き出し、
限界に挑戦して、それに立ち会う興奮が存在する。
ベートーヴェンのソナタ「ハンマークラヴィーア」から
第2巻では、引用も聞かれるが、ジョージ・クラムの
宇宙がそこに存在するのであろうと実に興味深い。

Printemps des Arts de Monaco PRI025

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2025年7月19日 (土)

キース・ジャレット 157

2001年のキース・ジャレットを聞いている。
ECMのMy Foolish Heartであり、
モントルー・ジャズ・フェスティバルでの録音。
I: Four, My Foolish Heart, Oleo, What's New
The Song Is You, Ain't Misbehavin'
II: Honeysuckle Rose, You Took Advantage Of Me
Straight No Chaser, Five Brothers
Guess I'll Hang My Tears Out To Dry
Green Dolphin Street, Only The Lonely
2001年7月22日にモントルーの
ストラヴィンスキー・オーディトリウムで収録。
ゲイリー・ピーコックとジャック・ディジョネットとのトリオ。
モントルー・ジャズ・フェスティバルでの演奏で、
2001年7月から8月にスタンダード・トリオで
ヨーロッパの各地をまわり、そこでの記録である。
コンサート・ホールでの独特の格調高い空間だが、
ジャズ・フェスティバルのファンの熱気に包まれて、
会場の高揚感とそこでの演奏は実に魅力である。
キース・ジャレットのピアノは変わらず、洗練され、
透明感のある空気が漂うけれど、親しみやすく、
どこか少し違う温度を感じて、楽しくなってしまう。
冷房の効いた快適な空間だけど、夏なのである。
特に後半のほぐれていく感覚は、これは最高だ。

ECM 2021/22 173 7326

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2025年7月18日 (金)

ピエール・ブーレーズ 29

ピエール・ブーレーズ指揮クリーヴランド管弦楽団で
ラヴェルのスペイン狂詩曲
道化師の朝の歌
1969年7月21日にセヴェランス・ホールで収録、
亡き王女のためのパヴァーヌ
1970年4月3日にセヴェランス・ホールで収録、
左手のためのピアノ協奏曲 ニ長調
ピアノはフィリップ・アントルモンで
1970年11月20日にセヴェランス・ホールで収録。
ここからは旧録音でブーレーズのラヴェルを聞く。
ラヴェルの音楽の雰囲気があり、情景が広がって、
そうした元々の特性が消えてしまうことはないが、
ブーレーズの直線的な音作りでくっきりと聞かせ、
明確にしっかりとした輪郭が浮かび上がるのは、
かなり独特である。ブーレーズもフランス人だが、
アンドレ・クリュイタンス(出身はベルギーだけど)、
ジャン・マルティノンなどの名盤が知られる中で
アメリカからブーレーズの演奏が発信されたのは、
当時、衝撃であったかと、50年以上が経過して、
いま聞いてもそれは感じる。ここから20年が経ち、
ベルリン・フィルで再録音されたラヴェルの演奏は、
広く受け入れられる普遍性を備えており、比べると
こちらはやはり強烈な存在感があるともいえるか。
そうした中で亡き王女のためのパヴァーヌは美しく、
やはり感動する。左手のためのピアノ協奏曲では、
フィリップ・アントルモンが演奏しており、懐かしい。

SONY SMM5054092

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2025年7月17日 (木)

クラウディオ・アバド 80

クラウディオ・アバド指揮ウィーン・フィルで
ブルックナーの交響曲 第1番 ハ短調
(1866 リンツ稿 ノヴァーク版)
1996年1月にウィーン楽友協会大ホールで収録。
アバドのブルックナーを久しぶりに聞いてみている。
交響曲 第1番の再録音であり、1969年の最初に
ブルックナーで取り組んだのが、第1番であった。
後にアバドの晩年である2012年のライヴ盤もあり、
交響曲 第1番にとりわけ熱心であったアバドも
独特であり、少し不思議である。しかしここで聞くと
緊張感に満ちた激しく、厳格な表現と一方の美しく、
ウィーン・フィルの豊かな色合いを引き出す音色で、
アバドのこの交響曲への想いは、強く伝わってくる。
そうした剛柔のメリハリというのは、この再録音で
より強調され、明確になっていることも感じられる。
ブルックナーの後の主要な作品と違って、初期の
渋い存在の交響曲ゆえにアバドの魅力が出たとも
そういえるかもしれないが、それにしても感動する。
ウィーン・フィルとの録音では、理想の名盤である。

DG 453 415-2

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2025年7月16日 (水)

アンドリス・ネルソンス 17

アンドリス・ネルソンス指揮ボストン交響楽団で
ショスタコーヴィチの交響曲 第6番 ロ短調 作品54
劇音楽「リア王」組曲 作品58a
祝典序曲 作品96
2017年4,5月にボストン・シンフォニー・ホールで収録。
アンドリス・ネルソンス指揮ボストン交響楽団による
ショスタコーヴィチの交響曲を収録順に聞いている。
これは素晴らしく、ネルソンスのショスタコーヴィチが
どうも合うように感じられ、いまのところ、どれもいい。
ブルックナーの交響曲よりもショスタコーヴィチの方が、
ネルソンスにはいいように思え、順調に聞けている。
深刻さはないのだが、どこか柔らかい響きに包まれ、
美しさもあり、その美しさとは希望の音色なのである。
こちらの心境の変化もあるが、時代も変わっており、
ショスタコーヴィチの表現も昔とは、全く違っている。
ネルソンスのこのシリーズでそうした新しい感性を
発見するのであり、ショスタコーヴィチも近くなった。
こんなにも楽しく聞けたことって、これまであったか。
後半は「リア王」組曲だが、さらに劇的な展開であり、
炸裂する音色に圧倒され、そして祝典序曲が最高。
のびのびと力も抜けて、音が喜んでいるのを感じる。
いきいきと躍動し、音楽は解放され、鳴りきっている。
厳しく迫ってくるところはどこにもなくて、実に新鮮だ。

DG 483 6728

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2025年7月15日 (火)

フィリップ・ジョルダン 2

フィリップ・ジョルダン指揮パリ・オペラ座管弦楽団で
ムソルグスキー(ラヴェル編曲)の組曲「展覧会の絵」
2016年5月20,23,24日にパリ・オペラ・バスティーユ、
プロコフィエフの古典交響曲 ニ長調 作品25
2016年6月17日にパリ・オペラ・バスティーユで収録。
フィリップ・ジョルダンのすっきりと調和のとれた音作りで
ムソルグスキーの野蛮で凶暴な音楽はここで姿を現さず、
その点でもロシア色は消し去り、ラヴェルの音色である。
ラヴェル編曲による管弦楽版は、ピアノの原曲と違って、
完全にラヴェルの音楽だと思っているので、これがいい。
美しい響きを引き出して、洗練の極みといえるのである。
「はげ山の一夜」など、リムスキー・コルサコフ版の曲と
並べて聞くことに実は抵抗があり、ロシアの音楽ながら
古典的なスタイルで、シンプルに無垢な響きを聞かせる、
この古典交響曲も快適で、ただただ聞き惚れるのである。
ここでは爽快に駆け抜け、切れのよさを聞かせているが、
プロコフィエフの後の交響曲で重く深い音色であったら、
どんな演奏を聞かせるのかと興味が湧いてきてしまった。

ERATO 0190295877910

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2025年7月14日 (月)

リッカルド・シャイー 15

リッカルド・シャイー指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団で
ディーペンブロックの大いなる沈黙の中に
ホーカン・ハーゲゴードのバリトン独唱で
1994年2月3日にアムステルダムのコンセルトヘボウ、
マーラー 交響曲 第7番 ホ短調
1994年4月15-21日にアムステルダムのコンセルトヘボウ。
リッカルド・シャイーによるマーラーの交響曲全曲を
収録順に聞いている。ディーペンブロックの歌曲から
マーラーの作風に近く、似ている音色による選曲だが、
アルフォンス・ディーペンブロックはオランダ人であり、
1862年の生まれでマーラーより2歳若く、同時代で、
58年の生涯であった。歌曲に才能を発揮したとある。
1906年の作品で、マーラーの交響曲 第7番が完成し、
交響曲 第8番に着手した頃で、作曲の時期も重なる。
マーラーの交響曲 第7番はゆったりとしたテンポで、
非常に丁寧に進められており、細部まで、歌い込まれ、
しかし濃厚にならずに透明感が勝るのは特長である。
明るい音色で夜の暗黒面の要素は希薄といえるか。
このスッキリと明瞭な響きは、音楽を理解する上では、
好感を持つけれど、ドロドロとして、闇にうごめくような、
解決のない恐怖感というものもどこかで求めてしまう。
マーラーの交響曲への理解が進んだ現在においては、
なおも残る永遠の謎で、さらなる先を求めてしまうが、
1980年代のマーラー・ブームから1990年前半では、
マーラーの表現を解析し、明らかにすることこそが、
最大のテーマであったのかもしれない。その方向で、
シャイーは迷いなく、道を突き詰め、得られる解での
安定感ある調和をここでの演奏で実現させている。
混沌を呼び、そこにあえて、飛び込んでいくような、
そんな勢いや迫力が欲しいと、つい思ってしまう。

DECCA 483 4266

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2025年7月13日 (日)

イングリット・ヘブラー 2

イングリット・ヘブラーのモーツァルトで
ピアノ・ソナタ 第12番 ヘ長調 K.332
ピアノ・ソナタ 第13番 変ロ長調 K.333
1986年8月1-8日にノイマルクトのライトシュターデル。
イングリット・ヘブラーの1980年代後半の演奏で
モーツァルトのピアノ・ソナタ全集を聞いている。
思う以上にピアノはしっかりと鳴り響いているが、
落ち着きのある音で気品に満ちているのである。
モーツァルトの昔からお馴染みのピアノ・ソナタで
しかしそれゆえにあまり聞かなくなっているけれど、
久しぶりに聞くとそれが何とも魅力的で実にいい。
ベートーヴェンに比べれば、シンプルなのだけど、
その中にある陰影が絶妙に美しく、奥行きがあり、
ヘブラーが聞かせると深みが生まれて、最高だ。
こんなにも素晴らしいモーツァルトは他にはない。
やはりこういう演奏を聞いてしまうと感動しかなく、
これが「モーツァルトの女王」の妙技なのである。
それにしてもきれいな音で録音も成功している。

DENON COCQ83689-93

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2025年7月12日 (土)

ミシェル・ベロフ 12

ミシェル・ベロフによるメシアンで
幼子イエスに注ぐ20の眼差し
1969年9月17,18,30日、10月13日にサル・ワグラム。
ミシェル・ベロフでメシアンの作品を聞いている。
ベロフの初期の録音でメシアンの作品が有名で、
輝かしいキャリアは、メシアンにはじまっていると
そういうイメージがあるのだが、このときベロフは
19歳なのであり、それを思うとやはり驚きである。
特別な才能であり、一般人の考えは当てはまらず、
それはわかるけれど、19歳の若さで成熟しており、
このメシアンの演奏は、信じがたい完成度である。
ベロフに続いて、ピエール・ローラン・エマールや
ロジェ・ムラロの例もあり、メシアンの音楽により
才能を開花させる、そういうピアニストが一定して、
フランスには現れるのであり、共通性があるのか、
それこそ凡人には理解の及ばない事実である。
メシアンの才能、その音楽と作品が受け継がれ、
フランスの音楽が築きあげられ、現在があると、
オリヴィエ・メシアンこそ、偉大な作曲家であると
それがいえるのかもしれない。美しい音楽であり、
清らかな響きに聞こえる崇高な精神なのであり、
キリスト教の宗教性については、理解はないが、
その音楽には強く惹かれて、感動するのである。

ERATO 5021732419385

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2025年7月11日 (金)

フランク・ペーター・ツィンマーマン 3

ブレット・ディーンの作品集を聞く。
フランク・ペーター・ツィンマーマンと
ジョナサン・ノット指揮シドニー交響楽団で
ヴァイオリン協奏曲-The Lost Art of Letter Writing
2011年12月にシドニーのオペラハウスで収録、
マーティン・ブラビンズ指揮BBC交響楽団で
遺書(12人のヴィオラのための)
2012年11月にロンドンのBBCスタジオで収録、
デイヴィッド・ロバートソン指揮BBC交響楽団で
無念と愛情
2007年7月22日にロイヤル・アルバート・ホール。
これは素晴らしい作品である。現代音楽だが、
難解さはなく、ブレット・ディーンの音楽は楽しい。
すっかり引き込まれて、夢中にさせるものがある。
フランク・ペーター・ツィンマーマンの独奏による、
ヴァイオリン協奏曲は4つの楽章から構成され、
それぞれ「ハンブルク1854」「デン・ハーグ1882」
「ウィーン1886」「ジェリルデリー1879」となっており、
ハンブルクといえば、やはりブラームスなのであり、
交響曲 第4番の第2楽章からの引用がある。
聞き直したときに改めて気付くのだが、冒頭で
実は最初の音からブラームスに彩られていた。
各楽章にそれぞれ関係する引用があるのかと、
気にしてみたのだが、ブラームスだけであった。
続く、12人のヴィオラ奏者たちによる「遺書」は、
ベートーヴェンのハイリゲンシュタットの遺書に
発想を得ているのであり、弦楽四重奏曲からの
引用が聞けるのである。その技が面白さであり、
スパイスが興味を引くのだが、音楽に感動する。
「無念と愛情」では、合唱、児童合唱、音響効果、
大編成オーケストラによる、壮大な作品であり、
豊かな音楽に時間を忘れ、ハマってしまった。
いま最も面白いブレット・ディーンなのである。

BIS BIS-2016

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2025年7月10日 (木)

朝比奈隆 2

朝比奈隆指揮大阪フィルによる
ブルックナーの交響曲 第8番 ハ短調(ハース版)
2001年7月23,25日に東京のサントリーホール。
朝比奈隆によるブルックナーの交響曲を聞いていく。
昔から持っているCDを出して、聞き直してみて、
大阪フィルの2001年の東京公演で、朝比奈隆の
最晩年の演奏で交響曲 第8番の最後の録音だが、
この年の年末に朝比奈隆が亡くなって、その後に
発売されたCDであったか。その当時、朝比奈隆を
崇拝しているファンは多かったが、ブルックナーでも
ギュンター・ヴァントの演奏を熱心に聞いていたので、
朝比奈隆の追悼記事が出る中、評価の高い演奏で
このCDを買ってみたのである。久しぶりに聞いて、
テンポに勢いもあって、かなり力のこもった表現で
93歳の朝比奈隆の音楽に衰えは感じられない。
最晩年には、引き締めて、削ぎ落された演奏が、
ブルックナーの交響曲で多く聞かれたのである。
大阪フィルには独特の特長と味もあるのだけど、
研き抜かれた感覚というのが足りなくて、どこか
馴染めないところがあるのだが、しかしそれが、
前半で何かザワザワして、まとまらなかったのが、
第3楽章以降は、不思議なぐらいに美しくなって、
神が舞い降りてくるといいたくなるけれど、これが
朝比奈隆のライヴの魅力で、感動するのである。
奇跡を感じるとすれば、こういうことなのであろう。

EXTON OVCL-00061

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2025年7月 9日 (水)

セミヨン・ビシュコフ 27

セミヨン・ビシュコフ指揮WDR交響楽団による
ワーグナーの歌劇「ローエングリン」~第3幕
2008年5月30日-6月14日にケルンのフィルハーモニー。
有名な前奏曲から婚礼の合唱(結婚行進曲)となり、
その歌声は遠くから聞こえてくる印象だが、それは
物語の中心はローエングリンとエルザの場面にあり、
セミヨン・ビシュコフがますます精妙な響きを引き出し、
それが何とも柔らかい音色で優しさに包まれており、
ゆったりと聞かせて、かつてなく素晴らしいのである。
エルザは気持ちを抑えられなくなり、誓いを破って、
ローエングリンの素性、名前を訊ねてしまうのだが、
そこでもそれを責めることなく、求めには応じると
ローエングリンの深い想いがそこには込められて、
ヨハン・ボータの歌声には、感動がこみあげてくる。
第3場へと場面が転換して、勢いが増してくるが、
それまでの穏やかな印象から変わって、溌溂とし、
何もかもが素晴らしい。ローエングリンは告白して、
高らかに宣言するところは最高の感動なのであり、
ビシュコフがここでも清らかな音色を聞かせている。
後の「トリスタンとイゾルデ」「マイスタージンガー」、
それらと比べ「ローエングリン」は、正直なところ、
それほどではないと思っているが、しかし聞くと
やはり感動して、ワーグナーは偉大なのである。

Profil PH18052

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2025年7月 8日 (火)

セミヨン・ビシュコフ 26

セミヨン・ビシュコフ指揮WDR交響楽団による
ワーグナーの歌劇「ローエングリン」~第2幕
2008年5月30日-6月14日にケルンのフィルハーモニー。
歌劇「ローエングリン」の第2幕が好きなのだが、
前半の第1場でテルラムントが恨み節を語って、
オルトルートがローエングリンの魔法を謎解くが、
暗く、不気味な色合いで、この世界がたまらない。
ファルク・シュトルックマンが惹きつけて魅了する。
ペトラ・ラングと復讐に燃える二重唱を聞かせるが、
こういうところが、「ローエングリン」が歌劇であって、
後の楽劇とは違い、前半の作風といえるのである。
ビシュコフは精妙な響きで音楽を進め、冴えわたり、
オルトルートはエルザの心の迷いに付け込んで、
疑念を煽り、透明感のある精緻な音を聞かせるが、
そこはエルザの心理を映し出して、感動的である。
夜が明けて、音楽も一気に活気を帯びてくるが、
勢いのある、いきいきとした表現が素晴らしい。
エルザの大聖堂への入場となるが、荘厳な中で
清らかに盛り上がり、そのままで行くはずはなく、
突然にすべては崩れ落ち、オルトルートが乱入、
婚礼の行列を罵るが、この急降下は最高である。
やはりワーグナーは、第2幕で動いて、面白い。
テルラムントはローエングリンの魔法を訴えるが、
剣ではなく、言葉による戦いとなる。そこがいい。
ローエングリンはここでも勝利し、切り抜けるが、
音楽は第3幕の悲劇を予言し、感動的である。

Profil PH18052

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2025年7月 7日 (月)

セミヨン・ビシュコフ 25

セミヨン・ビシュコフ指揮WDR交響楽団による
ワーグナーの歌劇「ローエングリン」~第1幕
2008年5月30日-6月14日にケルンのフィルハーモニー。
セミヨン・ビシュコフの目指す方向性というのは、
前奏曲の清らかな響きから明確であり、清々しく、
しっかりとした安定感のある音作りに感動する。
第2場でエルザの願いが通じ、騎士が現れる、
ローエングリンの登場の場面で空気が変わり、
透明感のある情景へと展開されることが多いが、
ここでは一貫した流れがあり、世界観が存在して、
舞台を伴わない演奏会形式の特長かもしれない。
丁寧に組み立てられているが、真っすぐに前進し、
変化に富んだ、多様な可能性ではなく、統一感で
ひとつの物語を描き出して、これもいいのである。
歌手の配役が豪華で、前半はテルラムントだが、
ファルク・シュトルックマンが凛とした声を聞かせ、
対するエルザはアドリアンネ・ピエチョンカであり、
そこにローエングリンのヨハン・ボータが現れる。
白鳥に導かれた騎士は、音で聞いても美しい。

Profil PH18052

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2025年7月 6日 (日)

パスカル・ロジェ 10

パスカル・ロジェによるドビュッシーで
前奏曲集 第1巻
前奏曲集 第2巻
2004年1月にラ・ショー・ド・フォンの音楽ホール。
パスカル・ロジェによるドビュッシーを聞いていく。
第1巻は再録音で、第2巻はこれがはじめてかと、
パスカル・ロジェのドビュッシーは昔から有名だが、
そのこだわりに満ちた演奏は、最高の感動である。
実に滑らかに美しい音色で、洒落と粋の世界であり、
そして長年の経験から来るその自由度が、音楽に
奥行きと深みを生み出して、仕上がりの安定感と
対極にある大胆さの両立が見事に実現されている。
パスカル・ロジェの独自性が豊かな個性を示しつつ、
その絶妙な調和と普遍性が演奏に説得力を与えて、
これこそが現代の新たな究極、ここで、その完成に
立ち会っていると思わずにはいられないのである。
音の揺らぎが豊かな色合いを生み出して、それは
フランス人の心なのであり、この感性は憧れである。

ONYX 4095

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2025年7月 5日 (土)

ジャクリーヌ・デュ・プレ 2

ジャクリーヌ・デュ・プレとダニエル・バレンボイムで
ベートーヴェンのチェロ・ソナタ全曲より
チェロ・ソナタ 第4番 ハ長調 作品102-1
チェロ・ソナタ 第5番 ニ長調 作品102-2
「マカベウスのユダ」の主題による変奏曲 WoO45
魔笛の主題による7つの変奏曲 WoO46
魔笛の主題による12の変奏曲 作品66
1970年8月にエディンバラのアッシャー・ホール。
エディンバラ音楽祭からのライヴ録音であり、
会場の高揚感ある空気が伝わってくるのは、
魅力であり、客席のノイズはマイナスでもあり、
しかし演奏の熱気は圧倒的な素晴らしさである。
ジャクリーヌ・デュ・プレの豊かな音色は最高で
客席中央の前の方に陣取って、かぶりつきの
臨場感があるのだが、後方でバレンボイムが、
遠く感じられてしまうのが、非常に残念である。
録音の傾向もあると思うのだが、ピアノの音が、
かなり古い楽器を使用しているような、そこも
不思議であり、音が硬く、時代を感じてしまう。
しかし演奏は聞く人を夢中にさせるのであり、
ベートーヴェンの後期の作品は感動的である。
深い表現で成熟された音楽だが、両者ともに
20代であることを思うと偉大な才能なのである。

EMI 5 74447 2

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2025年7月 4日 (金)

ピエール・ブーレーズ 28

ピエール・ブーレーズ指揮クリーヴランド管弦楽団で
ラヴェルの歌曲集「シェエラザード」
独唱はアンネ・ゾフィー・フォン・オッター
組曲「クープランの墓」
亡き王女のためのパヴァーヌ
古風なメヌエット
ドビュッシーの神聖な舞曲と世俗的な舞曲
ボードレールの5つの詩~噴水
フランソワ・ヴィヨンの3つのバラード
独唱はアリソン・ハグリー
1999年4月にクリーヴランドのマソニック・オーディトリアム。
ブーレーズのラヴェル、ドビュッシーで残りの作品が
ここにすべて集められて、シリーズの完結編である。
久しぶりに聞いてみたが、思う以上に素晴らしくて、
ブーレーズの独特の感情を排し、客観的な姿勢で
冷徹にコントロールするイメージはその通りなのだが、
それだけで収まらない奥行きのある響きや深みが
にじみ出てきており、そこが聞く人に感動を与える。
心に深く浸透してくる音楽を感じて、これは究極だ。
クリーヴランド管弦楽団の音色も冷たい感じはなく、
ブーレーズの演奏としては、温もりが存在している。
冒頭の「シェエラザード」から引き込まれてしまって、
「クープランの墓」はブーレーズもよく取り上げて、
気に入っている作品であったのか、ここでも最高。

DG 471 614-2

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2025年7月 3日 (木)

クルト・ザンデルリンク 4

クルト・ザンデルリンク指揮
シュターツカペレ・ドレスデンで
ブラームスの交響曲 第3番 ヘ長調 作品90
ハイドンの主題による変奏曲 作品56a
1972年3月15-18日にドレスデンのルカ教会。
いかにも重々しく、一点の揺るぎもない音作りで
威厳に満ちた響きなのだが、同時に血が通って、
温もりの感じられるところは素晴らしいのである。
この音色こそがクルト・ザンデルリンクなのであり、
1970年代の東ドイツの空気が感じられ、それは
こちらの勝手な思い込みなのかもしれないけれど、
ここで求めている理想の音楽が表れるのであり、
それは喜びだ。イメージするよりも明るい響きで
ドイツの音楽の心にふれる感覚があるけれど、
渋さというのもたしかに存在して、偉大である。
ゆったりとした音楽の流れに大きさを感じるが、
59歳のザンデルリンクは全盛期といってもよく、
動きのあるところでは、推進力に満ちた響きで
昔から名盤といわれてきているのもよくわかる。

DENON COCO-73274

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2025年7月 2日 (水)

アンドリュー・デイヴィス 7

サー・アンドリュー・デイヴィス指揮BBC交響楽団で
ディーリアスの夜想曲「パリ-大都会の歌」
幻想曲「夏の庭で」
イギリス狂詩曲「ブリッグの定期市」
楽園への道
春はじめてのカッコウの声を聞いて
川面の夏の夜
1992年12月にロンドンの聖オーガスティン教会。
父がディーリアス好きでバルビローリのLPがあり、
子供の頃に繰り返し、繰り返し聞かされたのだが、
CDでは、チャールズ・マッケラスの演奏を買って、
しかしディーリアスは、そんなに機会もないので、
貴重な録音だし、実際に聞くのは久しぶりである。
夏の情景を描いた作品が多いのか、美しい自然、
そして人々の活気と独特の音色はやはり最高だ。
夏至は過ぎて、白夜祭の音楽は聞き逃したが、
梅雨明け間近の蒸し暑さにはよい音楽である。

WARNER 0190295453954

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2025年7月 1日 (火)

カラヤンの1970年代 44

ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルで
マーラーの交響曲 第9番 ニ長調
1979年11月、1980年2月にベルリンのフィルハーモニー。
カラヤンは交響曲 第9番を1982年9月に再録音し、
そちらはライヴ収録で、わずか3年で新しい録音が
存在していると前の方は、忘れられがちになるのだが、
この演奏を手に入れたとき、こちらも決して悪くないと、
むしろ研き抜かれた表現で旧録音の方がいいのだと
ずっと思ってきたところがあるのだが、久しぶりに聞き、
改めてどうなのかといまの耳でそれを確認してみたい。
やはりこちらの演奏は好きである。カラヤンが追及する、
平衡感の強い造形で、この美しい響きに引き込まれる。
何か気に入らないところがあって、再録音したのかと
想像してしまうけれど、探しても欠陥は見つからない。
むしろ聞けば聞くほどに感動的で、完成されている。
バーンスタインの存在を意識していたのなら、ここで
足りないものがあるとすれば、燃焼なのであろうけど、
カラヤンにそれを求めないのであって、これがよくて、
どう考えても名演なのであり、それは間違いない。
1982年9月のライヴ録音もここで聞き直してみよう。

DG 453 040-2

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