2017年4月29日 (土)

黒門亭で市江・小歌・小満ん

小満ん師匠を聞きに今週も早朝から黒門町へ。
「らくだ」のオチまで期待していたのだが、残念。

第1部
春風亭朝七:真田小僧
柳亭市江:黄金の大黒
三遊亭小歌:師圓歌を語る
松旭斎美智:奇術
柳家小満ん:らくだ

開口一番は朝七さんで「真田小僧」だが、面白い。
細かいところでかなり作り込まれていて、盛り上がった。
金坊がお父つぁんから巻き上げるのは、十円玉を六枚で
金額設定でも現代に近いけど、台詞の仕上がりも今の感覚。
だから面白いのだが、前座さんの高座としては冒険に思える。
市江さんが「黄金の大黒」で、声もよく出ているし、情景も豊か、
しかし客が付いてこなくて、どうも上手く行っていない。なぜか?
ひとつ気になったのは、端正なお顔立ちで長屋の衆を描くとき、
わざとらしく間抜け面になる…ということがあり、それが際立つと
噺に集中できない。所作、表情で、細かいところにまで丁寧で
熱心に取り組んでいるのかもしれないけれど、楽しそうならば
聞いている人も楽しいのであり、結果、それだけでいいのかも。
続いて小歌師匠が亡くなられた圓歌師匠の想い出をたっぷり。
自身の噺家人生五十年を振り返りつつ、そこに師匠が絡んで、
圓歌師匠の貴重な話も聞けたが、長かった。これが後に影響。
小満ん師匠が上がったのが13時40分。残り20分で「らくだ」。
もう無理だ…って印象だが、屑屋さんの月番さんとのやり取り、
八百屋との菜漬けの樽の件も説明のみ。大家さんのところで
かんかんのうを歌って、酒を三杯飲み、酔っぱらったところで、
お煮しめを食べるが、それで刺身が食いたい…って、魚屋で
出すの…出さねえのを云ったらかんかんのうを踊らせる…
というところでサゲ。でもすごくよかったのが、大家のところへ
屑屋さんが酒とお煮しめの催促をしに行き、らくだのことでは
話を聞きたがらない大家に「らくださんが死にました」というと
その途端、大家はにっこり、うれしそうな顔になって、婆さんに
「らくだが死んだとよ…」って、たった一言でのその変わり様に
こちらも思わず笑ってしまう。僅かなことだけど、見事だった。
14時03分の終演、23分の短縮版「らくだ」だったのだけど、
こういう場面を見られると…もうすっかり大満足なのである。

20170429

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年4月22日 (土)

黒門亭で小せん・小里ん・小ゑん

今日の黒門亭は「小せん・小里ん・小ゑん」という
最強のメンバーで、朝早くから黒門町に行ってきた。

第1部
林家彦星:子ほめ
三遊亭伊織:狸札
柳家小せん:夜鷹の野ざらし
柳家小里ん:碁泥
柳家小ゑん:燃えよジジババ

開口一番は彦星さんで、はじめて聞いたのだけど、
まず思ったのが、言葉の感じが正雀師匠に似ている。
やっぱり師匠の雰囲気が移るのだけど、面白かったのは、
毛布にくるまった赤ん坊の顔を見ようとして、その手つきが、
仏壇の扉を開けるようで、生まれて七日目を「初七日」って、
そこに通ずるのは、なるほどって思った。すべてが縁起悪く。
続いて伊織さんで、二ツ目に昇進してから、やはりはじめて。
登場のときに暗い雰囲気が漂って、ちょっとゾッとするような
陰気な空気感が客の方にも漂ってくるのだが、噺に入ると
勢いがあって、どんどん華やいでくる感じは何か独特である。
喜多八師匠の感じを目指しているのか?「狸札」はよかった。
小せんさんが「夜鷹の野ざらし」である。聞くのは二度目だ。
八つぁんが向島で、人骨野ざらしに酒を手向けているのを
陰で伺っているのが幇間でなく、夜鷹(まるで化物)であり、
それが赤い着物で訪ねてくるので(幽霊が)出た!って、
八つぁんは夜鷹を自分の部屋に閉じ込めてしまうのだが、
慌てて、隣の先生のところに逃げてくると赤い着物の本物で
娘さんが来ていたものだから、再び出た!って、目を回して、
壁の穴を塞がなかったからだ…というオチにつながって、
幽霊が穴から隣の部屋に移動してきたと思い込む展開で
これは実に合理的であり、いいのである。小説家の原作が
存在するようで、演じているのは許可のある小せんさんだけ
かもしれないが、これはひとつの型として、ぜひ残してほしい。
「馬の骨で太鼓(幇間)」のオチより説得力があるぐらいだ。
仲入り後は小里ん師匠で、「凝っては思案に能わず…」で
縁台将棋のマクラに入り、これは「笠碁」だな…って、まさに
思い込みなのだが、しかし噺に入ると「碁泥」の方であり、
予想が外れたことから新鮮な印象、その楽しかったこと。
碁に夢中になりながら煙草に火を点け、吸おうとする仕草が
入るのだが、その辺の小里ん師匠の所作は本当に見事で
そこに泥棒が加わり、ますます碁に夢中になってしまうところ
よかったのである。時間的には短い噺だけど、感動がある。
第1部のトリは、小ゑん師匠である。「燃えよジジババ」が、
圓丈師匠の作品であることは、何となく知っていたのだが、
聞くのは今日がはじめてだ。映画の「燃えよドラゴン」から
発想は来ているのだろうけど、まさに本当に「燃やす」で
火葬場が舞台の噺だなんて驚きであった。(小ゑん版)で
いろいろ改作されているのだろうけど、この驚きの展開は、
圓丈師匠らしい。そこに小ゑん師匠のマニアック・ネタが
入ってくるのだから、強烈な面白さでそれは無敵であった。
新作なので細かい内容は書かないけれど、会場は爆笑。
親族の内でも一際光る「バカ」というのが、キャラが最高!

20170422

落語はこの辺にして、品川から京急で神奈川新町まで来て、
九州ラーメン「たまがった」で遅い昼食。九州のとんこつが、
たまに無性に食べたくなる。もちろん麺の硬さはバリカタ。
横浜高島屋で北海道展をやっていて、大混雑だったけど
六花亭だけ寄って、マルセイのバターサンドを買ってきた。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年1月 7日 (土)

黒門亭で右女助・きく麿・小満ん

今日は小満ん師匠を聞きに今年最初の黒門亭。
第1部のトリが菊之丞さんの「文七元結」だったので、
遅くなるだろう…つまり開場時間が遅れるというのは
わかっていたのだが、それにしても黒門町は寒かった。
最後の頃は、冷え切ってしまって、死ぬかと思った。

20170107a

第2部
柳亭市若:元犬
三遊亭時松:河豚鍋
桂右女助:真田小僧
林家きく麿:歯ンデレラ
柳家小満ん:御慶

今年の最初の一席は「元犬」だった。開口一番は市若さん。
「元犬」は短くて、前座さんでもよく聞くけれど、面白いし、
いまになって、いい噺だな…って思うのである。軽くていい。
時松さんが幇間の噺で「河豚鍋」だったのだが、その後の
右女助さんが今日は「二番煎じ」を準備してきたそうで、
すると猪鍋で…いろいろ付くからということで「真田小僧」に。
時松さんは「幇間」を演りたくて、右女助さんは「火事」だけど、
結果的に「鍋」で付くという意外な展開。落語って、面白い。
その「真田小僧」は、去年の大河「真田丸」に合わせて、
昨秋、準備してあったそうで、年が変わってしまったけれど
ということだが、「真田小僧」の後半で講釈のところだけど、
「真田丸」を見た後で聞くと…なるほど、まるで印象が違う。
きく麿さんが、老人ホームでの落語会のマクラから新作で
「歯ンデレラ」という…ガラスの靴でなく、入れ歯なのであり、
これが面白かった。きく麿さんの新作は、私は好きである。
新作なので内容は書かないけれど、書きたくなってしまう。
小満ん師匠の「御慶」は三回目なので、安心して聞けたが、
今日はちょうど30分ほどで、思い返すとコンパクトだった。
私は最初の頃から「御慶」という噺が大好きだったのだけど、
正月に寄席に行かないので、なかなか聞けなかったのだが、
小満ん師匠が「棚卸し」や「小満んの会」で演じてくれたので、
聞いたことのある噺になって、今年の正月も聞けて、幸せ!
オチは「恵方詣りに行ってきた」だが、最近、知ったのは、
江戸時代には、その歳の恵方にある神社にお参りをする
「恵方詣り」だったのであり、現在の「初詣」の考え方は、
明治になって、鉄道が発達してから…ということは、昨年、
朝日新聞の記事に見付けたのだが、この正月二日にも
ブラタモリの「成田山」を見ていて、京成と国鉄の競争で
成田山への正月参拝客が増えたと紹介されて、同じことは
京浜急行(明治時代は京浜電気鉄道)で行く川崎大師にも
当てはまるけれど、現在の初詣のあり方は明治以降であり、
つまり「御慶」では、「恵方詣り」でなくてはいけないのだ。

20170107b

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年12月18日 (日)

黒門亭で蔵之助・時蔵・小ゑん

師走の日曜日、今年、最後の黒門亭である。
昨年に続いて、黒門亭の楽屋噺の会に行ってきた。
企画口演なので早い時間から行列ができたのだが、
前に並んでいた年配の女性が、大きな声で喋って、
日曜日の朝で、まだ静かな町内なのに…近所迷惑。
落語協会のお向いも斜向かいも個人住宅であり、
注意してやろうか!と内心イライラしていたのだが、
他人を嫌な気持ちにさせるのは、避けたいところで
ぐっと堪えていたのだが、その年配の女性二人が、
後から来た友達というのを割り込ませようとしたのだ。
さすがに我慢の限界で「割り込まないでください!」と
注意してやった。みんな、きちんと並んでいるのに
一体、どういう神経なのだろう。その後も次から次に
遅れてきたという友達がやってきて、注意しなかったら
何人の割り込みを許すことになったのか?というので
朝から気分は最悪。ルール違反はやめてほしい!

第1部 今、明かされる!
三遊亭あおもり:堀ノ内
橘家蔵之助:猫と電車
林家時蔵:目薬
柳家小ゑん:ミステリーな午後
鼎談「志ん朝・談志の楽屋噺」

大入りで開演したけれど、この不愉快な気分はさらに続く。
最後に入場した中年男性が、隙間のあった高座の横に
座布団を持っていって陣取り、開口一番のあおもりさんから
マクラの話しにいちいち口を挟んで、とにかく大迷惑である。
蔵之助師匠にも同じことをしていたから…さすがにそこで
「町内会で話してるんじゃないから黙っててください!」って
注意されていた。落語というのは、ひとりで喋る話芸なので
噺家さんは意外と対話で進めていくのが苦手な人もいて、
予想外のタイミングで会話を挟まれると真っ白になってしまい、
落語が続かなくなってしまうことも起きかねない。危険である。
その中年男性には、蔵之助師匠の注意なんて通じないので、
落語の台詞にいちいち、うんうん…って、声を出して頷いて、
気になって仕方がない。つられるということがあるのだろうけど、
隣りのおばさんまで、台詞に反応して、いろいろと喋り出すし、
ちっとも噺に集中できないのである。こんな状況ははじめてだ。
演目ボードには、あおもりさんは「たらちね」となっていたけれど、
今朝の夢の中で「たらちね」の言い立てを稽古して、演じたのは
「堀ノ内」であった。隅から隅まで面白い噺なので、時間があって、
じっくりと丁寧に演じられれば、もっと楽しい仕上がりになるはず。
蔵之助師匠が今回の企画の趣旨を説明して、初代の権太楼が
演じていたという猫シリーズから「猫と電車」である。大好きな噺。
といっても蔵之助師匠でしか聞いたことがないが、幇間の金八が
猫を連れて、路面電車に乗り込み…という、時代感覚が味わい。
時蔵師匠が短く「目薬」だが、かな文字の「め」は「女」の変形で、
「めしりにつけるへし」を「女しりにつけるべし」と読んでしまうのは、
実は起りうることでもあって、こちらも時代性を考えると面白い。
小ゑん師匠は「ミステリーな午後」で寿司ネタのギャグ満載だが、
寿司桶の偽装を見事に成功させたのだけど、ばれてしまうのが
やっぱり落語であり、係長さんを応援したい気持ちで一杯だから
情景に引き込まれるのである。小ゑん師匠のキャラ作りが魅力。
そして鼎談である。面白い話題ばかりで大いに楽しんだのだが、
なかなかネットに出せないことばかりであり、志ん朝・談志という
ライバル関係の二人が、実は互いに認め合っていたのであり、
しかしそれを外に出せないシャイな両師匠であって、その結果が
優しく美談ばかりの志ん朝師匠とヒールの談志が生まれるという
本質では素晴らしいお二人の人柄が伝わってきたところでお開き。
最後に三本締めをして解散。この一年もありがとうございました。

20161218

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年10月 9日 (日)

黒門亭で小満ん・燕弥・たけ平

小満ん師匠を聞きに黒門亭に行ってきた。
朝のうち、ひどい雨で…早めに出掛けて、
寄り道していくのはやめたけど、出る頃には
雨も止んでくれて、助かった。夕方はいい天気。

第2部
春風亭きいち:芋俵
古今亭志ん松:饅頭こわい
柳家小満ん:厩火事
柳家燕弥:夢の酒
林家たけ平:中村仲蔵

開口一番は、きいちさんが「芋俵」。兄ぃも弟分も松公も
三人とも間抜けで、抜けているところが噺の面白さだが、
一人、役者が足りないと気付くのは弟分で、しっかりそうで
兄貴分も抜けているのだから、その辺の匙加減が重要か。
松公の大胆にバカなところは、きいちさんが上手かった。
続いて、志ん松さんが、お馴染みのところで「饅頭こわい」、
上手くなった!って思う。丁寧に喋っていくところは変わらず、
でも思いきりよくなったような…すると明るく、楽しさも増す。
小満ん師匠は、十月の「神無月」で出雲に神様が集まる…
縁結びのマクラからお得意の「厩火事」であった。最高!
マクラで(詳しいことは忘れたが)着物の裾に紐のような…
何かを縫い付ける縁結びのおまじないで、試したお方に
成果を聞いてみたところ「紐付きだった」という失敗談で
でもそれが、「厩火事」の髪結いの亭主に活きてくる…
師匠の「厩火事」は何回か聞いているが、この入り方は
今回がはじめてですごくよかった。後から気付くことだけど。
右太楼さんが燕弥さんになって、はじめてなので久しぶり。
軽快な流れで「夢の酒」だけど、相変わらずすごく上手い。
お花さんが泣いて、旦那が怒って、隣で若旦那が笑って、
これじゃ、まとまらない…という、その三様が実に見事!
そして今日のトリは、たけ平さんの「中村仲蔵」である。
燕弥さんが聞いたところ、先代の圓楽師匠に習ったそうな。
ということは、圓生師匠の型が元となっているのだと思うけど、
オチについていうと「煙に巻かれる、貰ったのが煙草入れ」で
八代目正蔵師匠のサゲであった。こちらの方がいいと思う。
圓生師匠の「仲蔵」ならば、役者一代記を地噺で語っていく…
そういう方向なのだけど、それを楽しく、少々漫談風な印象で
そこは三平一門の芸風が活きて、たけ平さんのオリジナルだが、
ちょっと聞いたことのないタイプの「中村仲蔵」だった気がする。
初日の舞台が終わって、やり損なったと思い込んでいる仲蔵と
女房おきちとのやり取り、そして師匠伝九郎に呼び出されて、
謝ったり、たて突いたり、仲蔵の勝手な勘違いなのだから、
その後、師匠から心底、ほめられるのだが、この場面は、
私はさっぱりした感じが好きで、そこがいいんじゃないか!
って、いわれてしまいそうだが、後半の盛り上がりではあった。
「中村仲蔵」は、五段目の芝居の工夫を丁寧に表現するのと
もっと役者一代記で淡々と出世噺を語っていくのと…色々だが
たけ平さんは、その後半に重きを置くならば、仲蔵の苦労を
陰で支えた女房、そして仲蔵を引き立てた師匠伝九郎の親心、
もちろん團十郎の存在もあって、そこが噺の核かもしれない。

20161009

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2016年10月 2日 (日)

黒門亭で鉄平・若圓歌・志ん橋

今日は志ん橋師匠を聞きに黒門亭に行ってきた。
実はすごく久しぶり。鉄平師匠と若圓歌師匠は、
今回がはじめてで、こういうチャンスもうれしい。

第1部
柳家寿伴:子ほめ
古今亭ちよりん:ギンギラボーイ
林家鉄平:竹の水仙
三遊亭若圓歌:三億円物語
古今亭志ん橋:だくだく

開口一番は、寿伴さんがお馴染みの「子ほめ」だけど、
寄席で前座さんが「子ほめ」というのは、なんとも落ち着く。
毎回、「子ほめ」を聞いていると…またか!って思うのだが、
でも基本的には面白い噺なので、久しぶりだとこれが楽しい。
ちよりんさんが新作だった。「ギンギラボーイとラブラブガール」
という薬の名前だけど、これは白鳥さんの「ギンギラエックス」?
元々は新作落語の台本コンクールの入賞作で、白鳥さんが
改作した…というような、そんな噺だった気がするのだが。
でも不思議なもので、完全にちよりんさんの噺になっていて、
新作って、演者によって印象も変わるし、もはや別の世界。
最初にストーリーがあって、言葉遊び的な瓜二つの展開に
遭遇していく驚き!というのは、よくある手法だと思うのだけど。
鉄平師匠は左甚五郎の「竹の水仙」だが、小田原宿の設定は、
はじめて聞いた。柳家の型で藤沢宿と他に近江の宿というのも
何度か聞いたことがあるが、でもオチは「さっきの御出家さんは
弘法大師様かも…」というので、これは近江の方のオチである。
柳家はオチを付けずに「甚五郎の東下りで…」とサゲるのだが。
仲入り後は若圓歌師匠が、これは漫談かな…という、ダービー、
高校野球、オリンピック、横綱、立行司、…、第一回から名前や
場所を早口で羅列していく。そして最後に三億円事件の実況を
これまた早口で報告して、それで「三億円物語」ということだが、
若圓歌師匠の啖呵って、気持ちいいし、圓歌師匠に似ている。
そしてトリの志ん橋師匠は「だくだく」。三坊のマクラからだけど
泥棒の噺で「出来心」はよく聞いているが、「だくだく」ははじめて。
先生に頼んで、順番に家財の絵を描いてもらうのだけど、ここは
みんな、同じかな…とは思うのだが、やはり師匠は丁寧な語りで
息遣いとか間の取り方も完全に昔の感じを取り戻しているし、
充実感が違う。お元気そうでよかった。とにかく楽しかった。
本当は第2部の小燕枝師匠も聞きたかったのだが、ここまで。

20161002

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年5月 8日 (日)

黒門亭で志ん弥・扇里・小満ん

今日は小満ん師匠を聞きに黒門亭に行ってきた。
ネタ出しは「船徳」で、去年の日本橋での口演を
聞き逃しているので、今回は聞けてよかった。

第2部
金原亭駒六:豆や
柳家喬の字:動物園
古今亭志ん弥:野ざらし
入船亭扇里:かぼちゃ屋
柳家小満ん:船徳

前座さんは駒六さん。売り声のマクラから噺は「豆や」で
この噺は久しぶりだと思う。というよりほとんど聞いていない。
先代の文治師匠(十代目)の録音を持っていると思うのだけど、
明治か?それとも大正か?当時の商売の様子が伝わってきて、
噺の中に漂う空気が実に心地いい。ちっとも面白くないけれど。
喬の字さんが「動物園」で、かなり壊して、自由な印象だけど、
この噺は、いろいろ入れて、漫談風な仕上がりで行けるのだ。
志ん弥師匠が競馬と趣味(釣り)の話で、すると「野ざらし」だが、
「馬の皮が太鼓に使われる」という仕込みで、オチまで本寸法。
明るく陽気で、不思議なぐらいに能天気な展開が魅力だけれども
どこか格調高いような古今亭の「野ざらし」で、聞くと得した気分。
仲入り後に扇里さんが与太郎登場で、夏らしい「かぼちゃ屋」だが、
これは「豆や」と付くだろう!って、ハラハラしてしまった。というのは、
こういうのにうるさい落語通って多いので。私は気にしない…って
そういいながらもすっかり気にしているのは、これらを続けて聞くと
まるで同じところが出てきたのである。与太郎が一所懸命に見上げ、
そして暑い夏の風情で実にいい噺なのだけど、ゆえに今日は残念。
トリは小満ん師匠で、「船徳」はいろいろと…そしてこれまでたくさん
聞いてきていると思っていたのだが、こんなにも見事な「船徳」は、
出会ったことがない。マクラにて柳橋の船宿から山谷堀への船遊び、
途中の首尾の松での艶やかな情景など、船の様子が豊かに語られて、
噺に入るとすっかり引き込まれて、一緒に船に乗り合わせているような
臨場感となるのである。夏の日除けは青竹の簾が掛かる屋根船だが、
吉原への急ぎは猪牙船であり、猪牙を乗りこなすまでになるには、
たいへんな道楽をしているのであって、その結果がここでの徳さんだと
噺も粋な運びである。すごくよかったのが、踊りの船頭姿を褒められて、
「船頭になりたい」といい出した徳さんに…船宿の親方が、静かな堀で
船を漕いでいるのは楽だけど、いったん大川へ出たら、流れも速いし、
棹も取られて、船頭などという商売は、そんなに生易しいものではないと
お説教をする場面で、そこが後半、徳さんが客を乗せて船で出る場面に
活きてくるのである。こうした仕込みは、小満ん師匠ならではの演出だ。
あまりに素晴らしくて、惚れ惚れしてしまった。汗で前が見えなくなってきて、
お客に「水天宮様のお守り(水難除け)持っていますか?」と訊ねる台詞も
小満ん師匠のオリジナルだろうか?とにかく感動の一席で、こういうのを
聞いてしまうと…やたらな「船徳」は聞きたくなくなる。しばらく封印しよう。
この「船徳」で、何とも幸せな日曜日となった。そろそろ気分は夏である。

20160508

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年4月 9日 (土)

黒門亭で菊丸・小燕枝・小ゑん

今日は通しで聞こうと朝早くから黒門亭に行ってきた。
第1部は菊丸師匠と小燕枝師匠が「笠碁」をネタ出しで
第2部は小ゑん師匠の「春宵値千金」である。春満開!

第1部
桃月庵ひしもち:道灌
三遊亭粋歌:保母さんの逆襲
古今亭菊丸:ちりとてちん
三遊亭窓里:親子酒
柳亭小燕枝:笠碁

粋歌さんの新作という先入観がいけなかったのだけど、
後で気付いたのは、彦いちさんの「保母さんの逆襲」だった。
かなり驚き!演者が変わると印象も違ってくるし、同時に
粋歌さんのものになっているということなのであろう。
でもいま思えば、彦いちワールド全開だった。面白い。
菊丸師匠が「ちりとてちん」で、お世辞の上手い金さんが
鯛の刺身や鰻の蒲焼きを食べるけど、こちらもちょうど
お腹の空いてくる時間で、おいしそうで…おいしそうで…
逆に口の悪い六さんは、腐った豆腐を食べさせられて、
苦しそうに真っ赤になって流し込むところはリアルすぎる。
この噺の見せる部分で、菊丸師匠はやはり見事だった!
川越の市会議員でもある窓里さんだが、ギリギリ発言に
ハラハラしてしまう。本音トークは痛快ではあるのだが。
落語家としてはいいのだけど、でも政治家にありがちな…
サービストークが揚げ足取られて、致命的な失言となる…
そんな危険を感じるのである。まあ、黒門町の一室で
シークレットな空間ということで、内容は忘れたことにして。
そして小燕枝師匠の「笠碁」である。つい数日前にも
小満ん師匠の「笠碁」を聞いてきたが、どちらについても
一言一句、丁寧に柳家の「笠碁」が受け継がれていて、
つまりどういうことかというと言葉は正確に同じなのである。
その芸の継承に感動してしまった。本当に素晴らしい。
しかし今回の小燕枝師匠のオチは少し追加されていて、
笠から雨水が滴り落ちて、盤の上の水を拭き取るのだが、
「お前さん、まだ被り笠取らない」の後、お互い機嫌が直って、
今度は二人そろって、「碁を打つのは長生きの励みですよ」と
相手を称え合うのだが、それを横で見ていた番頭さんが一言、
「碁敵とはいいながらお互いに一目置いている」というサゲ。
毎度、書いているが、「笠碁」って本当に好きな噺である。

20160409a

第2部
桃月庵ひしもち:子ほめ
柳亭市江:だくだく
桂文生:酔虎伝
春風亭柳朝:蜘蛛駕籠
柳家小ゑん:春宵値千金

市江さんが明るく元気な「だくだく」であり、続いて文生師匠が、
新作を作る、残す難しさ…のような話題から様々な昔話だが、
黒門町の文楽師匠や圓生師匠の話で興味深いこと満載である。
今だから話せるような暴露ネタという内容も入ってくるのだけど、
すべてが貴重であり、こういう話はいくら聞いても興味が尽きない。
文楽師匠がいかに偉大だったのか…の芸談は素晴らしかった。
大須演芸場から戻ってきたという柳朝さんが「蜘蛛駕籠」である。
相変わらず何ともいい空気を出していて、その抑揚が魅力なのだが、
噺における表情作りであり、ますます楽しいのである。しかしそこには
現代的な要素も入っていて、その辺は聞く人の気分次第かな…という。
今日のトリは小ゑん師匠の「春宵値千金」である。この噺については
ラジオデイズに音源があり、私は大好きで繰り返し聞いてきたのだが、
実演で聞くのははじめて。なので、すごく注目していた。いい噺である。
大正時代の東京の暮らしぶりが表現されていて、その点、古典では、
江戸と思っているのが明治であり、明治以降かな…と思っているのが
大正の頃でもあって、なかなか難しいのだが、ここでは様々に大正の
東京の風景がハッキリと描き出されていて、それは非常に勉強になる。
そこが面白さともいえるであろう。春宵で満開の桜の場面が出てくるが、
江戸と変わらぬ上野の桜もどこか近代化の空気が感じられるのであり、
同時に人の想いにも新しさがあって、落語の噺の中で、時代の変化を
明確に打ち出したことは、素晴らしいことだ。小ゑんファンの間では、
この「春宵値千金」が一番人気だと昔から聞いていたのだが、今回、
桜も散り際の春の名残りに、実に絵になる美しい一席であった。

20160409b

いつものように山手線で品川まで出て、そこからは京急だが、
快特を京急川崎で降りることにして、急行で神奈川新町へ。

20160409c

九州らぁめん「たまがった」の神奈川新町本店で食べてきた。
横浜西口店は行ったことあったのだけど、本店ははじめて。
久しぶりに九州らーめんを「バリカタ」で注文して、この麺の感じ、
口の中でモゴモゴする粉の具合がたまらない。スープは濃厚。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016年2月13日 (土)

黒門亭で小多け・駒次・小ゑん

小ゑん師匠のCD発売記念で黒門亭に行ってきた。
落語協会に到着の小ゑん師匠に早速お願いして、
サイン入りのCDを購入。今回も札止めである。

第2部 CD発売記念
柳家小多け:子ほめ
古今亭駒次:ブンチャワンの太陽
柳家小ゑん:本田宗一郎物語

前座さんは小里ん師匠のお弟子さんで小多けさん。
お馴染みの「子ほめ」だけど、お世辞のマクラで
店の権助がご近所さんに挨拶をする小噺であり、
権助さんの太い声がいかにも!という感じで
引き込まれてしまった。そして「子ほめ」に入って、
番頭さんへの「厄そこそこ」の大失敗は省略して、
竹さんの家に行って、赤ん坊をほめる場面であり、
子ほめに集中して、実に丁寧で、話もシンプルで
これで噺は伝わるのだなと非常によかったのだ。
駒次さんと小ゑん師匠は新作なので、噺の中身は
書かないことにするのだが、駒次さんの発想は、
外国人の鉄ちゃんに遭遇したらどうなるのだろう…
というもので、面白い!外国人が片言の日本語で
登場するというのも珍しいのであり、いかにも新作。
少々強引で…この奇想天外な展開は落語らしい。
小ゑん師匠の「本田宗一郎物語」は長講だけど
なんと今回は75分であった。すごい!偉人伝。
本田宗一郎の伝記の部分は、エンジニアの情熱で
技術革新で辿る日本の歴史でもあり、勉強になって、
地噺でそれが脱線すると落語のネタになるという…
とにかく夢中で時間が過ぎた。重厚な物語である。
後半、ホンダのF1での活躍を講釈で聞かせるという
ファンを喜ばせる要素が盛りだくさんで、圧倒された。
ひとつ、今回知ったことは、小ゑん師匠のお父様も
熱いエンジニアだったそうで、ここでの登場人物は、
みんなが技術へのこだわりで真っ直ぐに進んでおり、
聞いているだけでこちらも熱くなってくる。感動した。
CDを買って来たので、繰り返し聞けるのは喜び。
よくふり返ってみたいし、本当に偉大な一代記!

20160213a

20160213b

黒門町からの帰り道、鳥越から蔵前まで歩いて、
途中、おかず横丁(鳥越1丁目)の煮売り屋さんで、
うずら豆と青豆の煮豆を土産に買ってきた。楽しい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2015年12月20日 (日)

黒門亭で時蔵・蔵之助・小ゑん

日曜日の第2部。今年、最後の黒門亭である。
小ゑん師匠を聞きに「楽屋噺の会」に行ってきた。
企画もあって大入りで、今回も札止めである。

第2部 楽屋噺の会
橘家かな文:真田小僧
柳家花いち:ママチャリ
林家時蔵:師匠と弟子
橘家蔵之助:ぜんざい公社
柳家小ゑん:小さんと馬生
鼎談楽屋噺「談志・志ん朝・圓生・正蔵・圓蔵 他」

前座さんはかな文さんで、「真田小僧」の前半。上手い!
親子のキャラの描き分けで、子供の表現が目立つのだが、
あまりに上手いと落語というより芝居がかってくるのだけど
よく描かれていて、状況がしっかり伝わってくるから面白い!
話芸なので、映像化しなくてもいいのだが、しかしここまで
細やかに創り上げるには、たくさん稽古をしたに違いない。
花いちさんが楽屋噺ということで、大須演芸場の話題を…
川柳師匠も登場で盛り上がる。やりたい放題の展開から
なんと新作で、花いちさんって、新作を演るんだ。面白い。
時蔵師匠は、八代目正蔵師匠の話をたっぷり。ここからは
まさに楽屋噺となって、書けないことばかりとなるけれど、
でも有名な膝が痛くなってのお医者にかかった話や
アーモンドチョコを食べて、中から種が出てきた話や
正蔵師匠といえば、広く知られた話題がたくさんである。
でも…正蔵師匠はよく「とんがり」とかいわれるけれど、
本当は優しくて、周囲に対しても心遣いが行き届いて、
素晴らしい師匠であったと時蔵師匠の話からもよくわかる。
芸も偉大だけど、すべては人柄からにじみ出てくるもの。
仲入り後、蔵之助師匠がちょっと落語で「ぜんざい公社」。
ディープな古典ではなく…軽い仕上がりで、いいテンポ感。
そして小ゑん師匠が目白の小さん師匠と柳家の一門の話。
いつも思うのだけど、小さん師匠にまつわる話は本当にいい。
大柄だけど、深い愛情の感じられるエピソードばかりで感動。
柳家一門の大食いの話題は、最大のテーマだが、そこに
馬生師匠や志ん朝師匠の反応が盛り込まれて、また最高!
演題の通り、乙な馬生師匠の振る舞いが聞きものなのだが、
雄大な小さん師匠と細やかな馬生師匠で、いい噺である。
この後、小ゑん師匠、時蔵師匠、蔵之助師匠が再登場で
30分ほどの鼎談。懐かしい話ばかり。これぞ楽屋噺という…
極秘ネタが多数披露されたのだが、暴露というよりは、
やはりすべては美談につながるような気がしてきて、
どんな些細なネタにも人柄が出ていた。楽しかった。
ということで、今年の黒門亭は、これにて終了である。
ありがとうございました。また来年もよろしくお願いします。

20151220a

20151220b

御徒町から品川まで山手線で戻って来て、
京急に乗り換えるとホームにて、今年もまた
プリンスホテルのクリスマス・イルミネーションが見えた。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧