2018年4月28日 (土)

黒門亭でしん平・勢朝・歌武蔵

この顔付けならば、きっと面白いに違いないと
何となく誘われているような気分で行ってきた。
お昼に蓬莱屋でヒレかつ定食を食べてきた。
落語の前のランチでは高いけれど、本当に旨い。
満足度がまるで違うので、食べたくなってしまう。

第2部
柳家小ごと:強情灸
林家しん平:死なない男
柳家さん光:熊の皮
春風亭勢朝:荒茶
三遊亭歌武蔵:池田屋

前座の小ごとさんから今日は全員、絶好調な感じで
何かいい空気になっているのか、本当に面白かった。
お客の空気なのか?それとも楽屋の雰囲気なのか?
勢いがあって、熱気に湧いて、実に楽しいこの時間。
予想が当たった喜びもあるけれど、笑いの密度が違う。
小ごとさんは「強情灸」のような迫力ある噺がいいのか、
上手かった。その見た目でも大きい印象があるけれど、
江戸っ子の様子で、テンポ感のある展開がよかった。
順番が変わって、しん平師匠から。恐らくかなりの昔、
まとまって稼いだ9万円のギャラを鶯谷のパチンコで
全部摩ってしまって、次の仕事までの無一文の生活、
兄弟子に助けてもらって、食いつないで、苦労の中で
作った噺が「死なない男」だそうである。題名だけは
何となく知っていたのだが、聞くのは今日がはじめて。
これが面白い!傑作。今日、間違いなく、一番笑った。
新作なので、内容は書かないが、その辺にありそうな、
リアルに感じ取れる情景であり、噺の中に入り込んで、
感情移入できるか、やはり新作は共感が大切である。
落語的奇想天外さとしん平師匠の場合には、映画的、
独特なこだわりと細部の描き込みがあるので力強い。
しっかりと映像になっているので、説得力がある。
また聞きたい。「死なない男」は覚えておいてほしい。
続いて、入れ替わって、ここで、さん光さんが登場。
お馴染みの「熊の皮」だが、落語によくある夫婦像、
おかみさんの尻に敷かれた気弱な甚兵衛さんだが、
さん光さんの独自の空気感があって、それが魅力で
何ともいい仕上がりだった。さん光さんの色が出た。
仲入り後は、歴史ものの二席であり、勢朝さんが、
こちらもお得意の「荒茶」である。三成に対抗する
加藤清正、福島正則、細川忠興らが、徳川方の
本多正信に茶会に招かれ、武将を噺家に喩えて、
面白おかしく、茶の湯の風景が描写されていく。
トリの歌武蔵さんも地噺で行く同傾向の流れだが、
こちらは幕末の「池田屋事件」。つまりは新撰組。
近藤勇に土方歳三、沖田総司と人気の志士である。
有名な大事件を次々脱線しながら面白く語っていく。
地で歴史の部分は、歌武蔵さんは講談のスタイルで
硬派な感じに侍の斬り合いで恐ろしさもあるけれど、
それが脱線するとグズグズにくだらなさ満載であって、
そのメリハリ、鮮やかさに引き込まれていたと思う。
本当に楽しくて、笑いに笑った土曜の午後であった。

20180428

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2018年4月22日 (日)

黒門亭で小袁治・小満ん・扇兵衛

小袁治師匠と小満ん師匠で黒門亭に行ってきた。
実は今日が誕生日でお祝いしてくれているような
秘かにひとりで盛り上がっている一日であった。

第1部 二ツ目がトリ
柳家小ごと:たらちね
柳家小袁治:長短
柳家小満ん:雁風呂
月の家小圓鏡:たけのこ
林家扇兵衛:幇間腹

記録を見たら、二か月前に小ごとさんを聞いたときも
「たらちね」だったようで、どうも気になってしまうのが、
隣のお婆さんの声色であって、無理に年寄りの声を
作らなくてもいいのではないかと思う。落語の場合。
二ツ目がトリを取る企画なので、今日はベテランから、
「たらちね」の後なので、結婚式の司会のマクラから
夫婦は性格が不一致している方が長続きするという、
その流れで「長短」である。この自然な入り方は素敵。
噺は短めだが、小袁治師匠の「長短」は大好きだ。
この簡潔さでたっぷりの満足度であり、というのは、
「長短」という噺は、間の使い方、細かい所作の扱い、
様々な要素が盛り込まれているのであり、実に深い。
穏やかな長さんと短気で荒っぽい短さんの描き分け、
しかしその違いが際立ちすぎては、わざとらしいし、
小袁治師匠はきっちりと変化を付けながらも自然体。
「雁風呂」は、この数年、小満ん師匠のお気に入り。
春、常盤の国に雁が帰るときに大量の柴が残って、
それだけの命が失われたのかと、雁の供養をして、
残された柴を焼いて、風呂を沸かし、振る舞いをする、
それが雁風呂の由来であり、その点では春の噺かと、
春の季語にもなっているそうだが、そういえば師匠も
この季節に取り上げていた。圓生師匠の「雁風呂」が
残されているのだが、淀屋辰五郎の詳細に関しては、
小満ん師匠が調べ直して、史実に基づき、いろいろと
修正を加えているので、理解も深まって、愛着もあり、
師匠にとってのお気に入りとなっているのであろう。
仲入り後は小圓鏡さんの「たけのこ」、「筍」であり、
まさにいまが「旬」の噺だけど、聞いているとやはり
喜多八師匠を思い出す。小圓鏡さんも喜多八師匠に
教わったのではないかと思うのだが、雰囲気は違うけど、
言葉の端々から喜多八師匠の空気感が伝わってくる。
第1部のトリは扇兵衛さんで、ネタ出しの「幇間腹」だ。
道楽を尽くした若旦那が、もう何もすることがないって
「木久蔵ラーメンで焼そばを作っちゃった」というのは、
面白かったのだが、木久扇一門のネタがあちこちに
頻繁に出てくるのは、慣れないとどうも違和感がある。
芸風だし、わかりやすく、ウケるので仕方ないけれど、
勢朝師匠の彦六ネタみたいなもので、時間をかけて、
扇兵衛さんの芸として定着していけば、さらにこれから
噺の展開の中においても必然性が生まれてくるだろう。

20180422

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2018年2月11日 (日)

黒門亭で小袁治・錦平・志ん橋

小袁治師匠と志ん橋師匠で黒門亭に行ってきた。
気温も高めで、並んでいてもこれなら楽だった。

第2部
柳家小ごと:たらちね
柳家かゑる:たまげほう
柳家小袁治:女天下
林家錦平:引越しの夢
古今亭志ん橋:二番煎じ

小ごとさんははじめて聞いたが、一琴さんのお弟子さんだ。
変に慣れた感じがなく、きちんとして、このまま行ってほしい。
かゑるさんが新作で「たまげほう」という噺だが、この噺は…
どこかで聞いたことがある。思い出せないが、実演ではなく、
ということは、テレビか?上方の噺家さんの作のようだが。
小袁治師匠もお得意にされている「女天下」で、楽しかった。
「かんしゃく」とか「意地くらべ」に似て、明治・大正の雰囲気。
陸蒸気(おかじょうき)が電車になり、「鉄道も電化された」、
そこから「女も電化だ(女天下)」というオチであり、いかにも
明治の空気が感じられる。男尊女卑が男女同権に変わり、
身分を問わず、男の権威が失われていくのだが、その辺が
落語の中に面白く描かれているのであり、結局のところ、
現代の社会にも通ずることなので、共感が得られるのかも。
落語は江戸の空気というだけでなく、大正から戦前の頃の
昭和初期の風景も私は好きで、この噺も時代感覚がいい。
居候だった魚屋の金太、苦学生だった銀行員の山田さんと
おかみさんが凄まじく恐妻キャラで、一段と責められていた。
錦平師匠が「引越しの夢」だが、新しく来た女中さんではなく、
中二階で梯子を片付けてしまうのは、とんでもない女中で
奉公人全員に「今日は来ないのかい?」と声をかけている…
そういう設定である。梯子を片付けてしまっているという点で、
男たちをいいようにからかっているのだが、新入り女中への
番頭さんの一人喋りがないので、短縮版の「引越しの夢」か?
トリは志ん橋師匠。師匠の「二番煎じ」を聞くのは四度目か?
今回は、煎じ薬を出されて、色と匂いで「これが煎じ薬か?」と
お役人がすべてを悟っているバージョンである。わかった上で
夜回りの宴会に付き合っているのであり、私はこちらが好き。
お役人も万が一、番小屋で酒を飲んでいることが知られると
たいへんにまずいのだが、飲んでいるのが酒だとわかると
「心張りをかってしまえ」とここははじめて聞いたが、面白い。
志ん橋師匠の「二番煎じ」は、ますます丁寧にじっくりと進み
今日の高座は50分程。本当に素晴らしい。聞けてよかった。

20180211

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2018年1月28日 (日)

黒門亭でほたる・小ゑん・小里ん

小ゑん師匠と小里ん師匠で黒門亭に行ってきた。
朝早くから並んで、雲って気温も低く、命懸けだった。
大袈裟なって思うだろうけど、この時期は真剣に寒い。
朝が零下で、それから数時間では、気温も上がらず、
この数日の低温って、ちょっと異常だ。それを体感。

第1部
柳亭市坊:転失気
柳家ほたる:たらちね
柳家小ゑん:長い夜 改II
米粒写経:漫才
柳家小満ん:御慶

市坊さんはよかった。「転失気」は知ったかぶりの噺だけど
和尚さんだけでなく、門前の花屋さんも適当なことをいって、
結局はすべての人間が、知ったかぶりをするのだなって。
逆に噂話のように知っていることは自慢で喋りたがるもので、
人間って困った生き物だけど、そう考えるとますます面白い。
今日は小学生の女の子が来ていて、退屈そうにしていたが、
ほたるさんの「たらちね」は、何とか笑わせようとしていたか?
途中から大袈裟になり、臭くなって、つまりは変なお嫁さん、
そこでほたるさんのキャラとぴったり一致していたのが魅力。
小ゑん師匠は「長い夜」だった。この噺、私は大好きである。
どこが好きかって、北千住のデニーズの家族連れが最高だ。
私の中では「弟子に食事を勧める小さん師匠」というイメージ。
現在は「改II」となっていて、つまり時代の流れ、社会の変化で
人間の進化の様子にも違いが見られ、すると描写も変わり、
噺も変わって、だとしたら、昔の「長い夜」を聞いてみたくなる。
時代を映し出しているのである。本当に笑いっぱなしだった。
小ゑん師匠のリサーチ力はすごい。鋭い観察、話題の吸収。
仲入り後、米粒写経の後、小里ん師匠は「御慶」をネタ出し。
27分ほどで2時過ぎに終了、ちょうど寄席のトリの長さか。
大家さんに家賃を払った後、市ヶ谷の甘酒屋さん(古着)へ
裃を買いに行く場面は省略。なくても全く問題はないのだが、
ないと何か足りないような気がしてしまうのは、すぐに正月で、
あっという間に時間が過ぎてしまうのである。当たった金も
使う場面が少ないので、富くじの八百両の実感がないのかも。
オチは「恵方詣り」で、正月の恵方詣りは知られなくなったが、
節分の恵方巻きがすっかり一般的になったので、来週だが、
ここで「御慶」が聞けてよかった。今年の恵方は「南南東」。

20180128

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2017年12月 9日 (土)

黒門亭で馬治・左龍・小満ん

小満ん師匠を聞きに黒門亭に行ってきた。
暮れも近づき、開場待ちの寒さが堪える。

第2部
三遊亭ぐんま:のめる
金原亭馬久:真田小僧
金原亭馬治:棒鱈
柳亭左龍:猫怪談
柳家小満ん:大神宮

馬久さんの「真田小僧」は、「薩摩に落ちた」のオチまで。
馬治さんは、その薩摩の芋侍が登場する「棒鱈」であり、
侍の田舎っぷりが一段と凄まじく、薩摩侍というより田舎侍。
店の女中さんや芸者さんの感じがよくて、女性が魅力的。
左龍さんの「猫怪談」は、以前に落語研究会で放送されて、
よく覚えているが、夜中に不忍池の畔で早桶を運ぶ場面で
月番の吉兵衛さんが尋常でない臆病者であり、怯えの形相、
少しも感じない与太郎とのやり取りが可笑しくて好きである。
大家さんとの三人の演じ分けが、実演で聞くと実に明解で
噺に引き込まれた。与太郎が一人残されて、一所懸命に
死んだお父つぁんに話しかけるところは、感動的でもある。
小満ん師匠は「大神宮」をネタ出しで、この噺は浅草案内。
もうひとつ年末の歳の市の情景が描かれる「姫かたり」も
この季節に師匠は取り上げているが、歳末の活気であり、
十一月の酉の市以降、師走はやはり浅草なのであろう。
雷門は暮六つの鐘で閉められて、磯部大神宮の脇門で
吉原への客は待ち合わせをしたという。そこで、前回の
モテた、モテなかったの噂話を聞かされているものだから、
大神宮様が吉原にすっかり興味をもって、門跡様と一緒に
遊びに行く。その客たちの女郎買いについての噂話だが、
関内の小満んの会(2010年11月)のときにはなかったので
そちらは短縮版、今回が丁寧に本寸法ということなのかも。
浅草紹介のマクラも充実していて、勉強になることばかり、
それに対して、噺の方は軽く、バカバカしいのが楽しさだ。
中継ぎで一杯やってから吉原に繰り込むものだと耳学問、
「精進もらいはいけません」と大神宮様、門跡様が揃って、
「前川」で鰻の白焼きを食べて行くところはお気に入り。

20171209

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2017年7月15日 (土)

黒門亭で小満ん・はん治・小団治

小満ん師匠を聞きに黒門亭に行ってきた。
はん治師匠と小団治師匠でうれしい顔付け。
前座さんまで、なんと全員が柳家という第1部。

第1部
柳家あお馬:道具や
柳家花ごめ:元犬
柳家小満ん:幽女買い
柳家はん治:粗忽長屋
柳家小団治:一分茶番

小満ん師匠は13日と同じくお盆で先祖を迎える話題から入り、
これはもしや「茶漬幽霊」をもう一度聞けるかも!と思ったが、
ゲーテや司馬遼太郎の義理の祖父、おじいさんの小勝という…
洒落た辞世の句を残した方々の紹介で、これは「幽女買い」だ。
「棚卸し」のときに聞いたけれど、その後は毎年、お盆というと
師匠は「幽女買い」を演られているようで、八月のお盆でも
また聞けるチャンスはあるのではないかと。本当に楽しい噺で
あの世では、縁起の悪いことばかりをいって、喜んでいる。
言葉が巧みであり、よく出来ているのだ。大好きな噺である。
今日はトリではないので、普通の噺だろう…と思っていたので
ちょっと得した気分である。季節感もあって、これは最高だ!
はん治師匠はお馴染みの「粗忽長屋」なんだけど、実にいい。
独特な調子の喋りだが、マメな粗忽者とボーっとした粗忽者で
その対比がキッチリとしているし、印象も変わって、楽しめる。
小団治師匠が「一分茶番」をネタ出しで、前半の「権助芝居」は
寄席などでもよく演じられていると思うけれど、今回は権助が
舞台に上がって、縄で締め上げられて、「誰に頼まれたか?」
「番頭さんに一分の金で頼まれた」のオチまで。素人芝居だが、
権助の失敗が並外れて大袈裟なのであり、愉快な噺である。

20170715

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2017年4月29日 (土)

黒門亭で市江・小歌・小満ん

小満ん師匠を聞きに今週も早朝から黒門町へ。
「らくだ」のオチまで期待していたのだが、残念。

第1部
春風亭朝七:真田小僧
柳亭市江:黄金の大黒
三遊亭小歌:師圓歌を語る
松旭斎美智:奇術
柳家小満ん:らくだ

開口一番は朝七さんで「真田小僧」だが、面白い。
細かいところでかなり作り込まれていて、盛り上がった。
金坊がお父つぁんから巻き上げるのは、十円玉を六枚で
金額設定でも現代に近いけど、台詞の仕上がりも今の感覚。
だから面白いのだが、前座さんの高座としては冒険に思える。
市江さんが「黄金の大黒」で、声もよく出ているし、情景も豊か、
しかし客が付いてこなくて、どうも上手く行っていない。なぜか?
ひとつ気になったのは、端正なお顔立ちで長屋の衆を描くとき、
わざとらしく間抜け面になる…ということがあり、それが際立つと
噺に集中できない。所作、表情で、細かいところにまで丁寧で
熱心に取り組んでいるのかもしれないけれど、楽しそうならば
聞いている人も楽しいのであり、結果、それだけでいいのかも。
続いて小歌師匠が亡くなられた圓歌師匠の想い出をたっぷり。
自身の噺家人生五十年を振り返りつつ、そこに師匠が絡んで、
圓歌師匠の貴重な話も聞けたが、長かった。これが後に影響。
小満ん師匠が上がったのが13時40分。残り20分で「らくだ」。
もう無理だ…って印象だが、屑屋さんの月番さんとのやり取り、
八百屋との菜漬けの樽の件も説明のみ。大家さんのところで
かんかんのうを歌って、酒を三杯飲み、酔っぱらったところで、
お煮しめを食べるが、それで刺身が食いたい…って、魚屋で
出すの…出さねえのを云ったらかんかんのうを踊らせる…
というところでサゲ。でもすごくよかったのが、大家のところへ
屑屋さんが酒とお煮しめの催促をしに行き、らくだのことでは
話を聞きたがらない大家に「らくださんが死にました」というと
その途端、大家はにっこり、うれしそうな顔になって、婆さんに
「らくだが死んだとよ…」って、たった一言でのその変わり様に
こちらも思わず笑ってしまう。僅かなことだけど、見事だった。
14時03分の終演、23分の短縮版「らくだ」だったのだけど、
こういう場面を見られると…もうすっかり大満足なのである。

20170429

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2017年4月22日 (土)

黒門亭で小せん・小里ん・小ゑん

今日の黒門亭は「小せん・小里ん・小ゑん」という
最強のメンバーで、朝早くから黒門町に行ってきた。

第1部
林家彦星:子ほめ
三遊亭伊織:狸札
柳家小せん:夜鷹の野ざらし
柳家小里ん:碁泥
柳家小ゑん:燃えよジジババ

開口一番は彦星さんで、はじめて聞いたのだけど、
まず思ったのが、言葉の感じが正雀師匠に似ている。
やっぱり師匠の雰囲気が移るのだけど、面白かったのは、
毛布にくるまった赤ん坊の顔を見ようとして、その手つきが、
仏壇の扉を開けるようで、生まれて七日目を「初七日」って、
そこに通ずるのは、なるほどって思った。すべてが縁起悪く。
続いて伊織さんで、二ツ目に昇進してから、やはりはじめて。
登場のときに暗い雰囲気が漂って、ちょっとゾッとするような
陰気な空気感が客の方にも漂ってくるのだが、噺に入ると
勢いがあって、どんどん華やいでくる感じは何か独特である。
喜多八師匠の感じを目指しているのか?「狸札」はよかった。
小せんさんが「夜鷹の野ざらし」である。聞くのは二度目だ。
八つぁんが向島で、人骨野ざらしに酒を手向けているのを
陰で伺っているのが幇間でなく、夜鷹(まるで化物)であり、
それが赤い着物で訪ねてくるので(幽霊が)出た!って、
八つぁんは夜鷹を自分の部屋に閉じ込めてしまうのだが、
慌てて、隣の先生のところに逃げてくると赤い着物の本物で
娘さんが来ていたものだから、再び出た!って、目を回して、
壁の穴を塞がなかったからだ…というオチにつながって、
幽霊が穴から隣の部屋に移動してきたと思い込む展開で
これは実に合理的であり、いいのである。小説家の原作が
存在するようで、演じているのは許可のある小せんさんだけ
かもしれないが、これはひとつの型として、ぜひ残してほしい。
「馬の骨で太鼓(幇間)」のオチより説得力があるぐらいだ。
仲入り後は小里ん師匠で、「凝っては思案に能わず…」で
縁台将棋のマクラに入り、これは「笠碁」だな…って、まさに
思い込みなのだが、しかし噺に入ると「碁泥」の方であり、
予想が外れたことから新鮮な印象、その楽しかったこと。
碁に夢中になりながら煙草に火を点け、吸おうとする仕草が
入るのだが、その辺の小里ん師匠の所作は本当に見事で
そこに泥棒が加わり、ますます碁に夢中になってしまうところ
よかったのである。時間的には短い噺だけど、感動がある。
第1部のトリは、小ゑん師匠である。「燃えよジジババ」が、
圓丈師匠の作品であることは、何となく知っていたのだが、
聞くのは今日がはじめてだ。映画の「燃えよドラゴン」から
発想は来ているのだろうけど、まさに本当に「燃やす」で
火葬場が舞台の噺だなんて驚きであった。(小ゑん版)で
いろいろ改作されているのだろうけど、この驚きの展開は、
圓丈師匠らしい。そこに小ゑん師匠のマニアック・ネタが
入ってくるのだから、強烈な面白さでそれは無敵であった。
新作なので細かい内容は書かないけれど、会場は爆笑。
親族の内でも一際光る「バカ」というのが、キャラが最高!

20170422

落語はこの辺にして、品川から京急で神奈川新町まで来て、
九州ラーメン「たまがった」で遅い昼食。九州のとんこつが、
たまに無性に食べたくなる。もちろん麺の硬さはバリカタ。
横浜高島屋で北海道展をやっていて、大混雑だったけど
六花亭だけ寄って、マルセイのバターサンドを買ってきた。

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2017年1月 7日 (土)

黒門亭で右女助・きく麿・小満ん

今日は小満ん師匠を聞きに今年最初の黒門亭。
第1部のトリが菊之丞さんの「文七元結」だったので、
遅くなるだろう…つまり開場時間が遅れるというのは
わかっていたのだが、それにしても黒門町は寒かった。
最後の頃は、冷え切ってしまって、死ぬかと思った。

20170107a

第2部
柳亭市若:元犬
三遊亭時松:河豚鍋
桂右女助:真田小僧
林家きく麿:歯ンデレラ
柳家小満ん:御慶

今年の最初の一席は「元犬」だった。開口一番は市若さん。
「元犬」は短くて、前座さんでもよく聞くけれど、面白いし、
いまになって、いい噺だな…って思うのである。軽くていい。
時松さんが幇間の噺で「河豚鍋」だったのだが、その後の
右女助さんが今日は「二番煎じ」を準備してきたそうで、
すると猪鍋で…いろいろ付くからということで「真田小僧」に。
時松さんは「幇間」を演りたくて、右女助さんは「火事」だけど、
結果的に「鍋」で付くという意外な展開。落語って、面白い。
その「真田小僧」は、去年の大河「真田丸」に合わせて、
昨秋、準備してあったそうで、年が変わってしまったけれど
ということだが、「真田小僧」の後半で講釈のところだけど、
「真田丸」を見た後で聞くと…なるほど、まるで印象が違う。
きく麿さんが、老人ホームでの落語会のマクラから新作で
「歯ンデレラ」という…ガラスの靴でなく、入れ歯なのであり、
これが面白かった。きく麿さんの新作は、私は好きである。
新作なので内容は書かないけれど、書きたくなってしまう。
小満ん師匠の「御慶」は三回目なので、安心して聞けたが、
今日はちょうど30分ほどで、思い返すとコンパクトだった。
私は最初の頃から「御慶」という噺が大好きだったのだけど、
正月に寄席に行かないので、なかなか聞けなかったのだが、
小満ん師匠が「棚卸し」や「小満んの会」で演じてくれたので、
聞いたことのある噺になって、今年の正月も聞けて、幸せ!
オチは「恵方詣りに行ってきた」だが、最近、知ったのは、
江戸時代には、その歳の恵方にある神社にお参りをする
「恵方詣り」だったのであり、現在の「初詣」の考え方は、
明治になって、鉄道が発達してから…ということは、昨年、
朝日新聞の記事に見付けたのだが、この正月二日にも
ブラタモリの「成田山」を見ていて、京成と国鉄の競争で
成田山への正月参拝客が増えたと紹介されて、同じことは
京浜急行(明治時代は京浜電気鉄道)で行く川崎大師にも
当てはまるけれど、現在の初詣のあり方は明治以降であり、
つまり「御慶」では、「恵方詣り」でなくてはいけないのだ。

20170107b

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2016年12月18日 (日)

黒門亭で蔵之助・時蔵・小ゑん

師走の日曜日、今年、最後の黒門亭である。
昨年に続いて、黒門亭の楽屋噺の会に行ってきた。
企画口演なので早い時間から行列ができたのだが、
前に並んでいた年配の女性が、大きな声で喋って、
日曜日の朝で、まだ静かな町内なのに…近所迷惑。
落語協会のお向いも斜向かいも個人住宅であり、
注意してやろうか!と内心イライラしていたのだが、
他人を嫌な気持ちにさせるのは、避けたいところで
ぐっと堪えていたのだが、その年配の女性二人が、
後から来た友達というのを割り込ませようとしたのだ。
さすがに我慢の限界で「割り込まないでください!」と
注意してやった。みんな、きちんと並んでいるのに
一体、どういう神経なのだろう。その後も次から次に
遅れてきたという友達がやってきて、注意しなかったら
何人の割り込みを許すことになったのか?というので
朝から気分は最悪。ルール違反はやめてほしい!

第1部 今、明かされる!
三遊亭あおもり:堀ノ内
橘家蔵之助:猫と電車
林家時蔵:目薬
柳家小ゑん:ミステリーな午後
鼎談「志ん朝・談志の楽屋噺」

大入りで開演したけれど、この不愉快な気分はさらに続く。
最後に入場した中年男性が、隙間のあった高座の横に
座布団を持っていって陣取り、開口一番のあおもりさんから
マクラの話しにいちいち口を挟んで、とにかく大迷惑である。
蔵之助師匠にも同じことをしていたから…さすがにそこで
「町内会で話してるんじゃないから黙っててください!」って
注意されていた。落語というのは、ひとりで喋る話芸なので
噺家さんは意外と対話で進めていくのが苦手な人もいて、
予想外のタイミングで会話を挟まれると真っ白になってしまい、
落語が続かなくなってしまうことも起きかねない。危険である。
その中年男性には、蔵之助師匠の注意なんて通じないので、
落語の台詞にいちいち、うんうん…って、声を出して頷いて、
気になって仕方がない。つられるということがあるのだろうけど、
隣りのおばさんまで、台詞に反応して、いろいろと喋り出すし、
ちっとも噺に集中できないのである。こんな状況ははじめてだ。
演目ボードには、あおもりさんは「たらちね」となっていたけれど、
今朝の夢の中で「たらちね」の言い立てを稽古して、演じたのは
「堀ノ内」であった。隅から隅まで面白い噺なので、時間があって、
じっくりと丁寧に演じられれば、もっと楽しい仕上がりになるはず。
蔵之助師匠が今回の企画の趣旨を説明して、初代の権太楼が
演じていたという猫シリーズから「猫と電車」である。大好きな噺。
といっても蔵之助師匠でしか聞いたことがないが、幇間の金八が
猫を連れて、路面電車に乗り込み…という、時代感覚が味わい。
時蔵師匠が短く「目薬」だが、かな文字の「め」は「女」の変形で、
「めしりにつけるへし」を「女しりにつけるべし」と読んでしまうのは、
実は起りうることでもあって、こちらも時代性を考えると面白い。
小ゑん師匠は「ミステリーな午後」で寿司ネタのギャグ満載だが、
寿司桶の偽装を見事に成功させたのだけど、ばれてしまうのが
やっぱり落語であり、係長さんを応援したい気持ちで一杯だから
情景に引き込まれるのである。小ゑん師匠のキャラ作りが魅力。
そして鼎談である。面白い話題ばかりで大いに楽しんだのだが、
なかなかネットに出せないことばかりであり、志ん朝・談志という
ライバル関係の二人が、実は互いに認め合っていたのであり、
しかしそれを外に出せないシャイな両師匠であって、その結果が
優しく美談ばかりの志ん朝師匠とヒールの談志が生まれるという
本質では素晴らしいお二人の人柄が伝わってきたところでお開き。
最後に三本締めをして解散。この一年もありがとうございました。

20161218

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