2006年3月 7日 (火)

構造設計の偽造事件 11

久しぶりにこの話題である。
あれだけ世間を騒がせた「構造強度偽装問題」も
最近はニュースにもならなくなってしまって、
この辺で終わりなのかとそんな印象もあったのだが、
とはいえ、ここでの構造偽装に関するシリーズは、
一度まとめをしてから、最終回にしようと思っていて、
もう3月だし、そろそろというところで、そうしたら、
今回は札幌の設計事務所が偽装だそうである。
それも二級建築士だそうで、だとすれば、
建築基準法違反に建築士法違反も重なるのか?
この問題、やはりなかなか終われない。

どういう建築士がどんな建物を設計できるのか?
というのは、建築士法の第3条に書いてあったか、
用途と規模(床面積や高さ)そしてその建築物の構造によって決まり、
それによると木造アパートのようなものならば、
二級建築士でも設計できるかもしれないが、
鉄筋コンクリート造の場合、延べ床面積が300㎡超で
一級建築士でなければ設計できず、マンションの場合には、
多くの場合には二級建築士では設計できないであろう。

しかしならば、何で今回のようなことが起きるのか?
ということをご説明すると、みなさん、すでにご存知の通り、
構造設計は専門の構造事務所が担当するのであり、
確認申請や工事請負契約における監理者としては、
元受の(意匠)設計事務所の一級建築士の名前を記載するので、
下請けの設計事務所の名前や建築士氏名は、
表に出ないことが多いのである。
その辺で資格のない建築士が設計していた
などという事態が起きてしまうのである。
この件に関しては、まさにそのことに違法性が認められるケースであり、
しかし実務上の話では、すごく有名な(誰でも知っている)建築家が、
実は建築士の資格を持っていなくて、
申請上は他の建築士の名前で出しているという場合もあるし、
大手ともなれば、代表者の名前(例えば設計部長など)で申請して、
実際の担当者(建築士)の名前はどこにも登場しない、
そういうのはごく当たり前のことなので、
取り締まるべきというのとも少し違って、ちょっと難しい。
しかし責任の所在を明らかにしているのは事実だと思うのだが。

私はもちろん正真正銘の一級建築士である。
偽装をしていない一級建築士である。
ついでにもう少し書けば、元請けの意匠設計事務所であり、
構造は有名な構造家の先生にお願いしているので、
偽装のような愚かな問題とは完全に無縁なので、
その辺はどうかご安心いただきたい。

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2006年1月19日 (木)

構造設計の偽造事件 10

「構造強度偽装問題」に関する
今日は衆議院国土交通委員会の参考人質疑が行われた。
元請けの設計事務所や総研四ヶ所氏が質問に答えた。
先日の小嶋社長のときに比べれば、
ひとりひとりが自らの言葉で答えているので、
質疑としては、成立しているようにも思うが、
聞いていて、もうこうなってくると、
「誰が悪なの?」というのはよくわからない。
ここに登場している4人は、全員一級建築士か?
話している内容を聞いていると
答えられることに関しては、きちんと答えているような気がする。
偽証とか、極端におかしな発言もないように思うし、
むしろ質問している議員の方が、とんちんかんだったりして、
質問の仕方や言葉がおかしいので、
質問と回答のやりとりがちぐはぐになっている場面が多く、
つまりはここで登場の建築士は、
質問から想像できる範囲で、きちんと答えているようで、
結果的に質問の議員がそれを理解できないがために
「答えになっていない」と怒りだしたり、
質問の議員はもう少し、ある程度の知恵袋となる人を見つけるか、
建築の実務的な話も、本音と建前を理解したうえで、
知識を身につけてから質問に立った方がいいのではないだろうか。
問題の発覚からかなり時間がたっているので、答えるほうも、
保身となるニュアンスが多用されていることも事実であろうが、
しかし黒か白かの思い込みを捨てて、
客観的に話の内容を冷静に聞くならば、
間違っていることや身を守るための嘘(偽証)など、
そういう悪質な返答で自分を守っているという印象はない。
ということで「誰が悪か?」というとよくわからないのである。
そう書くと一般の方は不満に思うかもしれないけれど、
つまりは国会での追及はこの辺が限界なのかもしれない。
もし私がここで見事に作られた返答に騙されているとするならば、
そういう回答を用意して、国会に来たということだと思う。

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2006年1月17日 (火)

構造設計の偽造事件 9

「構造強度偽装問題」に関する
衆議院国土交通委員会の証人喚問が行われた。
ヒューザーの小嶋進社長である。
あまりにもひどい。これまでで一番ひどい内容。
「刑事訴追の恐れがある」とほとんどの質問に証言を拒否。
これぐらい答えられるんじゃないの?という質問にも
いつもの「記憶にございません」が出そうな質問にも
とにかく証言を拒否し続けた。
この人は一体何のために国会へ来たのだろう?
この証人喚問に何の意味があるのだろうか?
以前の喚問でも偽証すれすれのあいまいな回答だったり、
明らかにとぼけているのか内容をずらしたりして、
質問の議員が「それでは答えになってないですよ」
と怒るシーンはよく見られたが、
そういうのがいいとはいわないが、
自らの言葉で答えようとはしているわけであり、
しかし今回の度重なる証言拒否を見ていると、
要するに「はじめから答える気がない」のであり、
これはさらにひどいのではないか。
質問している国会議員をあまりにもバカにしている。
国会を侮辱している。国民全員を侮辱している。
何でテレビのインタビューには喋り捲って、
国会ではだんまりを決め込んだのか?
そこにはどんな意味があるのだろうか?
疑惑は明らかにならず、ますます深まり、
ここには何の進展も存在しないことが明らかになった。

これまで建築の角度からこの問題を扱いたいと思ってきたが、
今回の証人喚問では証言拒否のこともあるし、
取り上げる内容すらないわけで、
それにマンションの販売会社が、
コストダウンの圧力はかけたとしても
構造の偽装をしろとか、鉄筋を抜けとか
そうした具体的なことに関係しているとは思えず、
当然、構造担当の建築士(姉歯元建築士)とも
接点があるとは考えられないわけで、
結果として質問の内容も主に「政界との癒着」に向けられていたようだ。
ここまでくると話についていけなくなってくるが、
この点についても「刑事訴追の恐れがある」と自らいっているわけであり、
グレーというよりも、もうこれは黒なのだろう。
ということを誰もが感じるような証人喚問であったと私は思う。

これと時期を同じくして
ライブドア・ショックで株が大暴落である。
新年ムードが抜けて、そろそろ本格的に動きはじめるのか
というこの時期に、その結果がこれである。
やっと明るい展望が見えはじめた?
という期待も一気に吹っ飛んでしまった。
短期的にはかなり厳しい状況に落ち込みそうだが、
しかし長期的に見れば、経済の健全化が図れるそうで、
長い目でそちらを望むことにしよう。
ここ数年で急成長を成し遂げた彼らだが、
儲ける人がいれば、損する人がいるわけで、
成長する会社があれば、その陰で多くの会社が倒産している。
のっとる人がいれば、のっとられる人がおり、
騙す人がいれば、騙される人がいる。
勝ち組といわれている彼らだが、
多くの人々の犠牲の上に今がある。
合法である(違法性はない)との主張だが、
人間としては、私は決してそういうのは好きになれない。
まじめに生きている人が、まじめに努力しただけ、
それだけ報われる社会であってほしい。
しかし今の社会はどうだろう。
まじめにしている人がどうも損をする。
こちらの問題もまた、最後はどこに行き着くのか?
私はきっちり見極めたいと思っている。

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2006年1月10日 (火)

市長選挙の翌日開票

3月26日に予定されている横浜市長選挙で
開票作業を翌日にするそうである。
私はそれがいいと思う。
そうすることで3200万円の経費節減になるそうだ。
8時に投票を終えて、開票は深夜にまで及ぶのである。
大体これまで、すべての選挙区で票が開くのって、
翌日になって午前2時とか、そういう時間までかかっていた。
市の職員や選挙管理委員会が動員されるのか?
詳しいことは知らないが、
休日出勤で、深夜だから特別手当が出て、
それで帰れなくなっちゃって、タクシーチケットがでて、
そんな無駄な経費、本当にバカバカしい。
とにかく無駄は少しでも省くべき。
国としては、選挙はなるべく即日開票をして、
結果をいち早く有権者に示すべきという考えのようだが、
しかし作業をする人々だって、きっと、
誰が好き好んで、日曜の深夜に開票して、
やっと家に帰ったら、もう明け方で、
そんなこと好んでやりたい人なんて、そうはいない。
新聞の報道によるとやはり一番の理由は、
「市の財政難」によるものだそうである。
こんな時代にそんな無理なこと、わざわざする必要なし。
いろんな考え方があるのだと思うけど、
私は横浜市の現実を受け止めての判断は正しいと思う。

地方選挙と国政選挙では違うかもしれないが、
しかし私が住んでいるところなんて、
人口も多いのだろうけれど、
例えば、ここ何回かの衆議院選挙なんて、
12時すぎても、「当確」はでないし、
当然、他の都道府県ではとっくに結果がでていて、
大勢は決してしまって、まとめや今後の展望がはじまっている。
そのうち待ちきれなくなって寝てしまう。
たしか、地方選挙だって、そんな感じだった。
市長、県知事は差がつくので、
わりと「当確」が出るのは早いが、
市会議員とか、当選順位の5位、6位、7位あたりになると
最後までギリギリのところで票争いをして、
というのは結果的に500票差で決まったりするわけで、
それはそれは遅くなる。待っていられない。
現在はインターネットがあるので、
選挙管理委員会のホームページなどを見れば、
最新の途中経過も随時更新されているので情報はある。
でもそんなにあせらなくても、翌日になって、
明るいところでじっくりやってもらったほうがいいのではないか。
月曜の夕刊にも最終の結果は間に合わないかもしれないが、
でも大体の報告を知ることができれば、それで文句は出ない。

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2006年1月 7日 (土)

構造設計の偽造事件 8

久しぶりにこの話題である。
といって、新たな展開や話題があるわけではない。
むしろ新年を迎えて、「構造強度偽装問題」については、
新聞にちょっとだけ記事が載っている程度、
テレビにおいてはすっかり忘れられてしまったかの印象である。
NHKのニュースでも、新たな偽装物件が発覚するたびに
あれだけ毎日ニュースになっていたのに、
今ではもう過去の話なのか?
さすがに年末・年始のムードでかき消されてしまったのか、
しかしこうなることは最初からわかっていたこと。
年末に民主党の議員たちが、
「マンション・ルート」についても解明しなくてはならないと
なんとしても年内にもう一度証人喚問(参考人質疑)を行うんだと
大騒ぎしていたが、それは単なるパフォーマンスにすぎなかったのか?
数の上で自民党にはかなわないと
はじめからあきらめムードも漂っていたような気もする。
全国のマンションで補償問題がおきたなら、
国は崩壊しかねないと、この話題、葬り去られたのか?
1月中旬にヒューザーの小嶋社長の参考人質疑が予定されているが、
それでは遅すぎるというのはみなさんお感じのこと。

私も施工(工事)関係の方々から、雑談の範囲ではあるけれど、
いろいろな話を聞いているが、
以前ここでも書いたが、マンション開発会社(不動産関係)とは
全く接点を持たずにこれまで来ているので、
今回はじめてわかったことも多いのだが、
知っている人に言わせれば、
「(ある意味)こんなの当たり前」
「先生、もっとアウト・ローを知らないと!」って
笑われてしまった。これ本当の話。
鉄筋が少なかったり、柱が細かったり、
(職人たちは)気づいていて、なんでそれで造るの?って
一般の方は思われるでしょう。
「だって、上の指示で、その上の人に仕事もらっているんですから、
仕事もらえなくなったら、明日からどう生活するんですか?」って
造った人は「マンションなんて、自分なら住みたくないね(苦笑)」
ということなのである。
もちろん日本中のマンションがそうではない(と願いたいです)が、
しかしこれから買おうとしている方々は、
やはり売っている人をよく見た方がいいのではないかと思うけど…。
買う前に建築士が立ち会うという方法もあるが、
建ってしまったら、基本的には「仕上げ」の話であり、
肝心な躯体(構造)は見ることができないのです。
鉄筋が少ないのか?シャブコンなのか?
その辺はすべて「仕上げ」で証拠隠滅ということです。
だから我々がやっているような
適切な建築士による「工事監理」が重要なのです。
しかしどうもこの考え方が伝わらない。
(建築主で)これを省こうとする人さえいるけれど、
それは「手抜き工事をやってください」といわんばかり。
みなさん、ここのところ、よく考えてください。

この問題、今後どうなるのでしょうか?
人の噂も75日というが、熱しやすく、すぐ忘れる日本人。
これまでの報道で「構造偽装問題」が発覚したのは、
10月下旬ということがいわれているが、
まもなく75日となろう。
最初の頃は日本中が「こんなことは許されない」と
住民の方たち(被害者)へ励ましや応援、
救ってあげたいという気持ちで満たされていたが、
今はどうだろう?関係なく済んだ人はそれでよしであり、
結局は「騙される人が悪い」ということになりかねない。
騙した者勝ち、騙した方が得なのか?
悲しいこと、そういう社会なのである。
これでいいのだろうか?

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2005年12月15日 (木)

構造設計の偽造事件 7

昨日の証人喚問における姉歯元建築士の証言以来、
建築士の立場の低さがマスコミでクローズアップされているが、
それについては書きたいことがある。

私は親しく協力している工務店はあるが、
これまで不動産業者とは一切付き合ってこなかった。
世の中すべての不動産業者を否定するものではないが、
結局は今回の構造強度偽装問題のように
これに似たり寄ったりのようなことになるのである。
それがわかっているから、私はそうした「構造」の中に身をおかずに
完全に独立して建築活動をしてきた。
設計は何らかの圧力の下で行ってはならない。
独立して公正でなくてはならないのだ。
開発業者(不動産業者)と施工者(建設会社・工務店)の間に入って、
それらが組んでしまっては、結果的に行く先は、
もうみなさんお分かりの通りである。

まわりを見回して、日々数多くの建築がなされている。
それで「建築は儲かるでしょう」とよく言われる。
しかしそれらのほとんどが、建売住宅や今回のようなマンションで
ぜひ今度、機会があったら確認してみていただきたい。
要するにそういう「構造」の中に属して、
つまりは開発業者たちの指導下になくては、仕事がないのである。
ないといったら極端だが、限りなく少ないのが現状だと思う。
私はそういう「構造」には属さずに、よって個人的に営業もしているが、
個人では極めて仕事を取りにくいというのが現実である。

しかしこの「構造」だが、何もこれらの悪質開発業者のみならず、
これはもう今のこの「社会」全体の問題だと思う。
施主(建築主)が自分の建築に対して、
同様の圧力を加えてくることもあるからである。
以前の話だが、今でも思い出すだけで腹が立ってくるが、
こんなことがあった。
ひとつの敷地に姉妹で二軒の家を建てるという話で、
私はその妹の方から依頼を受けて話に参加していたのだが、
私が建築の構想を作り、工務店には資金計画を作ってもらい、
煮詰まってきたところで、初めてその姉妹がそろったのだが、
そうしたらその姉のほうが、とんでもない話だが、
要するに予算オーバーということで、設計・監理料に関して、
「あんた若いんだから、赤字でやりなさいよ」って、
一体何を言い出すのである?耳を疑った。
「何で知りもしないあなたのためにただでやらなきゃならないんですか」
頭にきたので、言い返してやった。
言い合いになったので、そこにいた工務店の社長が
「まあまあ」という形で治めたが、
しかし私はこんな人と仕事はできないと感じた。
こんな人たちと決して付き合えない。
しかしそういう場面になった場合に
私のように引き下がる(仕事から下りる)のか、
それとも「ごもっともです」といって、いい顔をして、
裏で鉄筋を抜くのか?どちらかなのだ。
よく考えてほしい。
建築は人と人との信頼の上に成り立ち
その信頼がない場合に偽造か手抜きが行われる。
私は「仕事は選ばないが、人は選ぶ」ことにしている。

その他いろいろな話はあるが、
とにかく世の中が価格競争になっているので、
まず人の足元を見てくるというのが常識になっている。
それが困る。無理難題が多い。
とても不可能な予算を提示されることもある。
「設計事務所はあんたのとこだけではないんだよ」というやつである。
そういう場合、仕方ないので、
「無理に今回やらなくてもいいんじゃないですか」と
自然に話が納まるようにするのか、
正規の見積(予算オーバー)を持っていって、
相手の方から断ってもらうか、どちらかである。
よく考えてほしい。ここでも。
その金額でも進んで仕事を引き受けてしまうところがでてくるのである。
やはりここでも、裏で鉄筋を抜いたり、手抜きをするか、
結局はそういうことなのだ。
やるか、やらないかである。

こんなことで私はこの何年かでずいぶん仕事を逃したし、
そして良心的にということでやっていると仕事がない。
それでさらに今回の構造強度偽装問題である。
一級建築士の信頼が失われた。
正直なところ、今のこの社会で、
私はこれからの未来に対して、極めて不安だ。
何も良いことを思い描けない。
もう年末だけど、来年は良い一年になってほしいと思う。
しかしこの今回の問題、これはこれだけでは済まされないであろう。

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2005年12月14日 (水)

構造設計の偽造事件 6

今日は朝から国会の国土交通委員会証人喚問だった。
「構造強度偽装問題」である。
建築に携わる者として、たいへん興味があったので、
その成り行きを見届けずにはいられず、ずっと見てしまった。
しかし衝撃的な展開があったわけでもないし、
新事実が発覚したわけでもなく、そして残念ながら
今回もすべての真実が究明されたわけでもないように思われる。

とはいえ午前の質疑で姉歯元建築士がついに公の場に姿を現し、
自らの口から多くが語られたということは大きな進展といえるだろう。
内容的には特別なことはないように思われるが、
実際に偽造を行った本人により事実確認が行われたということだと思う。
姉歯元建築士についてはすでに覚悟を決めて、
真実が語られていると信じたいが、事実解明はまだこれがはじまりであり、
しかしながら、姉歯元建築士が実際の現場において接点をもっているのは、
工事担当者レベルの話であり、本当の意味での背後関係は、
そこからは真実が出てこないのかもしれない。

午後の質疑では、ますます建築的な内容での事実究明からは遠ざかり、
その内容は耳をふさぎたくなるようなものだったのだが、
真実と偽証の間での微妙なニュアンスを多用して、
結局は二時間に及ぶ質疑を切り抜けてしまうという
人間の執念というか、ひたすらの忍耐というか、
恐ろしいものを見せられたような気がした。
木村建設の木村社長の途中からの
「聞こえない」「理解できない」という
ついには逃げ出してしまっているのに対して
それを追い詰めることのできないむなしさ。
木村建設東京支店元支店長についても、
偽証にならないギリギリの線での答弁をひたすら繰り返し、
ついには逃げ切ってしまったようにも思われる。

さらに驚きが最後の内河所長(総合経営研究所)への質疑であった。
業界ではカリスマだそうで、昭和8年生まれという高齢にもかかわらず、
現在も自ら陣頭指揮をとり、凄まじい人のようである。
とにかく弁が立つ。自分から出向いて説得し、
交渉、契約を成立させるそうである。
今日の証人喚問質疑でも、ああ言えば、こう言う、
何でも答えられる話術があり、頭もフル回転しているようだった。
しかし後半、さすがに疲れも見えはじめたのか、
民主党の馬渕澄夫議員の追及も見事で、
少しずつ崩れていっているようにも見受けられた。
しかし結果的には時間切れであり、追い詰めるにはいたらず、
逃げられてしまったようにも思われるが、
今後新たな追及はどういう展開があるのだろうか?
気になるところである。

今回の質疑では、マンションの話題からかなり遠ざかってしまった。
住民の間では、ますますの不安や怒りが募っていると思う。
マンション関連についても今後関係者の質疑が行われると思うが、
やはりそちらからも事実究明が行われないことには、
国民もまた怒りが治まらない。

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2005年12月 7日 (水)

構造設計の偽造事件 5

また一週間で今回の事件の中心人物がずいぶん変わった。
先週はマンション販売会社「ヒューザー」の小嶋社長が、
過去の職歴から歌手デビューまで
とにかく何でもかんでもニュースになっていたが、
今週はまた変わり、本当の黒幕という感じで報道されているが、
姉歯建築士、木村建設などの親玉でもある
コンサルタント会社の総合経営研究所が的になっている。
しかし今日の国会参考人質疑では、
その中心人物である姉歯建築士と
総合経営研究所の内河所長が欠席して、
質疑を聞いていたが、真相究明については大した進展はない。

今回も詳しくは報道されないことをひとつ
ここで補足しておきたいと思う。
「計画変更」についてである。
一年半前の「隠蔽」疑惑についてだが、
構造設計に欠陥が見つかり、
それを「計画変更」で修正し、実際に建築された。
その流れについては、はっきりいって、
何も特別なことはなく、逆にいえば、
これはごく当たり前の毎日行われているような話であると思う。
決して「隠蔽」ではない。手続きに問題はない。
そこに悪意ある偽造を見抜けなかったことは残念であるが。
「計画変更」も審査があり、費用がかかるので、
決して進んでやりたいことではない。
私のような個人で活動して、物件も個人住宅のようなものであれば、
確認申請の前にしっかり隅々まで設計して、
出来上がったものを提出するので、
「計画変更」のような変更や申請手続きは避けるのだが、
このようにマンションやホテルの設計においては、
物件が巨大な規模であることもあり、
大手の設計事務所やゼネコン設計部のやり方だと
工事着工の日程も迫っていたりで
とりあえずの確認申請用の図面で確認を下ろし、
その後、工事の進行と共に計画を詳細に検討し、
コストやデザインの方針も煮詰めて、
最終的に確認図面と竣工図面の違いを
計画変更によって、届け出るのである。
適切な建築士の行う設計であるならば、
その確認申請用の図面というものが、
何も偽者ということではないので、それは付け加えておく。
これは偽造や悪意ある行為ではなく、
きちんとした倫理観に基づいて、適切な「完了検査」を受け、
そしてそれによって建築主に引き渡すという
よくある(といっていいのかわからないが)そういうプロセスなのである。
また工事中においても、建築主の様々に変化する希望や諸事情など、
そうした要求に設計者がしっかりと対応し、
確認機関に対しても、責任をもってそれを通告するという行為である。
今回の参考人質疑において、
質問議員がまさに「隠蔽」であると決め付けての追及で、
民間確認機関「日本ERI」も「イーホームズ」も
追い込まれているかのような印象を受けたので、
その点については、私は補足しておきたいなと感じた。

確認機関の答弁としては、審査は法的に適切に行われていると
一般の方には、正直それが責任逃れのようにも聞こえていると思うが、
私の建築的な知識からすると、現在の建築確認のシステムからいって
決して間違ったことを述べているのではなく、言い訳でもなく、
むしろこれが現状であるとも、そういう印象を受けた。
その現状のシステムを肯定するものではない。
今後改善しなくてはいけないところは改めなくてはならないだろう。
今回の「イーホームズ」藤田社長の答弁で、
法的に民間確認機関がどこまで踏み込めるのか、
その範囲についての説明を行って
「ご理解ください」という場面が多々あったが、
それについては、私も勉強になった箇所もあり、
民間機関は特定行政庁の指導下に成立しているので、
どこまで権限を発揮できるのか
というのは微妙なところでもあろう。
また設計の内容については、
確認申請を委託されている設計事務所が決定したものではなく、
建築主である施主によるものなので、
確認機関が設計者に対して変更を求めるという性格のものでもなく、
民間機関ならば、特にそれを言い出しづらいということもあるだろうし、
それは自治体が確認を下ろす場合においても変わらない。

あまり書きすぎると自分で自分の首を絞めるようなことになってしまうが、
しかし参考人質疑を聞いていて、
専門的に知らない議員が正義感に基づいて質問を行い、
日々法律(建築基準法)相手に生活している確認機関が、
その法律によって説明を行ったとき、
専門的に知らない一般の多くの人々は、
誤解をするというより、さらに議論がまた違う方向へと
勝手に一人歩きしてしまうのではないかと
その辺が気になったので、少し書いておくことにした。

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2005年12月 2日 (金)

構造設計の偽造事件 4

ニュースや新聞を読むかぎりでは、
その後大きな動きがあったわけではないが、
来週の姉歯建築士の国会参考人質疑が行われて、
そこで新しい事実が発覚するのか、
爆弾発言が出るのか、それが注目である。

しかし民間確認機関「イーホームズ」藤田社長の発言以来、
「日本ERI」が何かとニュースに名前が出るようになって、
決して良い内容ではないので、私は気が気ではない。
というのは、日本ERIに知っている方がいらして、
以前には、日本ERIでまとめた設計者(建築士)向けの
確認申請の手引書「目からウロコの確認申請」の出版の際に
編集の手伝いで3年ほどERIに関係していたのだ。
いろいろと勉強もさせてもらったし、ずいぶんお世話になった。
我々設計事務所だと建築確認を申請する側なのだが、
建築確認における審査というものを少し知ることができたと思う。
最近の世間の評価は厳しく、民放の一部の番組では、
「隠蔽した」というのにはじまり、かなり一方的な報道をしているけれど、
私が知る限り(もちろんすべてを知っているわけではない)、
ERIの確認検査員の方たちは、建築に対して非常にまじめに、
ひとつひとつの物件に対して、真摯に取り組んでいた。
建築というのは、敷地が違えば、条件も様々に異なっており、
建築的にも法律(建築基準法)的にも、
本当に一件ずつ全く異なってくるのである。
それらを過去の様々な案件に照らし合わせて、
検査員同士が勉強して、協議して、
それではじめて、確認が下りるのである。
すでにテレビでもいわれている通り、
確認の期間が非常に短いために難しいというのは事実だが、
毎日押し寄せてくる申請者(設計者)の接客に追われながら、
私の知っている方などは、暇を見つけては図面をチェックして、
申請者(建築主)の日程、予定に見合うように
毎日かなり遅くまで残業をしていたようである。
図面を審査するというのは、そういうことなのだ。
確認申請の頃には、その直後に工事の着工が控えているので、
どうしても日程の都合を合わせたいといわれれば、
確認検査員は、接客のない、ゆっくり時間の取れる休日に出勤して、
図面の審査をしていたりもした。
民放の番組などでは、自治体も民間も確認検査機関が、
偽造を見過ごしたということで、
悪に加担した一味みたいな捉え方をしているように思うけれど、
もちろん偽造を見抜けなかったことは最悪な展開ではあるが、
確認機関の検査員のすべてがそうということではないので
そこを強調しておきたい。
「ノーチェック」や「手抜き」などは最悪であり、
しかしそれは特殊なケースである。

12月(師走)に入ったが、何だか忙しくて、余裕がない。
(忙しいからといって、儲かっているわけではない)
今日もなんだが、ちっとも予定通りに進まない。
今年も時間がなくなってきたけれど、
ひとつひとつを順番にこなしているだけだ。
「ラーメン製作所」関係でいうと、
メニューの改定を頼まれているのだが、
まだ手もつけていない。ヤバイ!
この後、これからやろうと思っている。
日曜の午前中(営業前)に届けたいと思っているのだが。

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2005年11月29日 (火)

構造設計の偽造事件 3

先週と今週とで、事件の真相そして責任の追及の矛先が変わってきた。
先週は構造計算書の偽造を実際に行った問題の建築士に
世間の関心が集中していたが、今週に入って、
マンションを販売した開発業者の動向へと注目が移っている。
このあたりも想定どおりであり、これだけの問題に、
建築主たるマンション開発会社が関与していないとは考えにくい。
今回の一件について、建築士ではないが、
同じ建築業界で長年生きてきた方と雑談したのだが、
やはり共通の見解(これはすぐに思うこと)として
構造強度を低く計算する、そして特に「鉄筋を抜く」などということは、
通常の場合、建築士として、自ら進んでするとはとても思えないのである。
なぜならば、設計者としては、何のメリットもないのだ。リスクだけが残る。
ならばどうして行われたのか?
何らかの圧力があったとしか思えないのである。
すでに話は出ているが、「仕事を出さなくする」とのプレッシャーをかけ、
そして一度手を染めてしまえば、もう抜け出せない。
しかし誤解のないように、普通の建築士、普通の人間ならば、
構造強度の偽造など、そんな危険を伴なう話、人の命に関わる話、
まず絶対にやらないのである。
これは極めて特殊なケースである。
しかし聞くところ、今回のようなマンション開発をはじめ、
一部の利益追求型の開発行為においては、
このような違法行為も少なからず行われていると聞く。
そういうこともあるので、以前から指摘している通り、
今後の展開が恐ろしくもあり、注目し続けなくてはならないのである。
マスコミも「これは氷山の一角か?」としているが、
もしこの話題がこれから簡単に消えていくようであるならば、
それはどこかでこの問題が抹殺されているとしか思えないのである。

今日の午後、衆議院の国土交通委員会参考人質疑は、
想像を絶する衝撃な展開に驚きを隠せなかった。
私は外出していたので、車の中で聞いていたのだが、
聞いていて、ゾッとした。
内容については、お聞きになってのとおりなのだが、
深く突き詰めていくと、今後建築業界全体に対して、
多大な影響を及ぼし、波紋を広げ、
これまでに築き上げられてきた「建築」というものが
その根源から音を立てて崩れ去ってもおかしくない
そんなことをここに感じ取ったのである。

民間確認検査機関の「イーホームズ」藤田社長の口からは、
なんと「日本ERI」の名前もあがってきた。
私はERIにはよく存じ上げている方もいらして、
ERIは早速記者会見で「事実無根である」と反論しているが、
今回問題になっている確認検査の手順について、
それについては、民間も自治体も共通に、
様々な不備があったのは事実で、今後改善すべきことはある。
しかしひとつどうしてもいいたいのが、
今回の一件については、このように、
これまでまじめに建築に取り組み、
真剣に建築に関わってきた人々に
多大な迷惑を及ぼしているのである。
最大の被害者は、構造偽造マンションの住民である。
しかしこの問題は、関係者だけにはとどまらず、
すでに社会全体に大きな影響を及ぼし始めているということを
ここで指摘しておきたいのである。
また今後の展開により取り上げたい。

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