2018年11月16日 (金)

ヴァレリー・アファナシエフ 4

ヴァレリー・アファナシエフでモーツァルトのソナタ。
ピアノ・ソナタ 第9番 イ短調 K.310
ピアノ・ソナタ 第10番 ハ長調 K.330
ピアノ・ソナタ 第11番 イ長調 K.331
2016年4月18-21日にベルリンのイエス・キリスト教会。
アファナシエフのモーツァルトは、以前のイメージだと
ちょっと重くて、強すぎる印象があったのだが、今回の
最新の演奏を聞くと認識を改めていかなければならない。
音楽の構造をことさら明確に示していきたい傾向があり、
すると低音がよりハッキリと響いてきて、それによって、
重厚なモーツァルト像が浮かび上がってくるのだが、
音楽の流れは自然体で思ったよりは違和感なく聞ける。
ひとつ大きな特徴は装飾音の扱いであろう。明瞭である。
これもここまで明確に独立させて聞かせている演奏は、
聞いたことがない。まさにアファナシエフならではである。
今回からベーゼンドルファー・インペリアルを使用して、
その音色でロマンティックな仕上がりでもあり、そして
長調の曲での澄み切った響きには何とも引き込まれた。
ベーゼンドルファーで弾くソナタ イ長調 K.331というと
ちょうどこの響きでグルダの演奏を思い出してしまう。
イ短調 K.310だが、以前は第8番で知られていたが、
国際モーツァルテウム財団の新モーツァルト全集では、
第9番となっているらしい。ニ長調 K.311が第8番。
後半のピアノ・ソナタも以前と順番が変わってしまって、
第18番だったヘ長調 K.533/494が第15番となって、
ハ長調 K.545が第16番、変ロ長調 K.570が第17番、
ニ長調 K.576が第18番と紛らわしくて、困ってしまう。

SONY 88985490042

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2018年11月15日 (木)

エフゲニー・キーシン 2

エフゲニー・キーシンでベートーヴェンの作品を聞いている。
ピアノ・ソナタ 第23番 ヘ短調 作品57「熱情」
(2016.12.18 アムステルダム・コンセルトヘボウ)
ピアノ・ソナタ 第26番 変ホ長調 作品81a「告別」
(2006.2.11 ウィーン楽友協会大ホール)
ピアノ・ソナタ 第32番 ハ短調 作品111
(2013.7.26 ヴェルビエ音楽祭コンビスホール)
この中では新しい2016年の「熱情」だが、精妙に聞かせるのと
エネルギーを豊かに発散させるのとで弾き分けが見事であり、
シャープに響くだけでない仕上がりがライブならではの魅力だ。
この「熱情」は本当に素晴らしい。こちらの三曲は音も安定して、
ピアノの音色も美しいし、ベートーヴェンの力強さも伝わって、
聞いていて間違いなく高揚する音楽体験である。キーシンは、
コンサートでもレコード制作でもベートーヴェンのソナタだけ、
という取り組みをしてこなかったので、今回も過去の記録から
寄せ集めという印象だが、これはライブ録音集でよかったけど、
きちんと完璧な条件を用意して、ベートーヴェンに集中して、
CDを作ってほしいと思ってしまう。演奏の密度は圧倒的で
スタジオ収録の完成度を求めたときにどうなるのか興味ある。

DG 479 7581

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2018年11月14日 (水)

エフゲニー・キーシン 1

エフゲニー・キーシンでベートーヴェンの作品を聞いている。
ピアノ・ソナタ 第3番 ハ長調 作品2-3
(2006.4.8 ソウル・アートセンター)
創作主題による32の変奏曲 ハ短調 WoO.80
(2007.7.17 モンペリエのル・コルム)
ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ヘ短調 作品27-2「月光」
(2012.5.3 ニューヨークのカーネギー・ホール)
2006年から10年間のキーシンのベートーヴェンを集めた
ライブ録音集で、演奏は少しの隙もない素晴らしさだが、
音の印象が作品によってあまりに違って、残念な仕上がり。
特にカーネギー・ホールの「月光」は会場の広さもあるのか?
マイクの位置が遠い印象でもあり、音の輪郭がぼやけている。
その一方で、創作主題による32の変奏曲が最高の出来で、
音の切れ味、鮮やかさ、スピード感覚、何もかもが完璧だ。
さすがにキーシンだと究極のベートーヴェン演奏が聞ける。

DG 479 7581

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2018年11月12日 (月)

ダニエル・バレンボイム 33

ダニエル・バレンボイム指揮シュターツカペレ・ベルリンで
ブルックナーの交響曲 第4番 変ホ長調(1878/1880)
2010年6月にベルリンのフィルハーモニーでライブ収録。
バレンボイムが編み出した独特な演奏法も盛り込まれ、
ときにそうした場面がくっきりと浮かび上がる自由度が、
ここでの最大の特長だが、ライブ収録がそうした傾向を
よりクローズアップしているのかも。長年の実績に基づき、
バレンボイムの確信に満ちた音作りは説得力あるけれど、
より変化に富んだ仕上がりで引き締まっている感じはない。
テンポは速めに勢いよく聞かせているのだが、豊かに鳴り、
壮大な作りのようでもあって、その辺りが自在な可能性で
大きなうねりや動きを生み出して、興奮が伝わってくる。
元は映像収録された音源のCD化であり、それも大きい。

DG 00289 479 6985

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2018年11月 9日 (金)

ベルナルト・ハイティンク 34

ハイティンク指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団で
ベートーヴェンの交響曲全集を収録順に聞いている。
交響曲 第1番 ハ長調 作品21(1987.3.14)
交響曲 第3番 変ホ長調 作品55「英雄」(1987.4.27-29)
アムステルダム・コンセルトヘボウで収録されている。
力強く、引き締まった響きでこれはもう断然、素晴らしい。
当時のハイティンクのイメージというのは、きちっとして、
スタンダードな音作りながら、深い成熟が出てきたと
そういうことがいわれていたのだが、いま改めて聞いて、
堅苦しさはないし、勢いがあって、明るい躍動があって、
とにかく魅力的なベートーヴェンである。すでに30年が
経っているけれど、古くなった感じはどこにもなく、常に
新鮮な音楽がいきいきと鳴り響く。ちょうどこの時期に
コンセルトヘボウはリッカルド・シャイーと関係を深め、
ハイティンクはブルックナーをウィーンフィルで、そして
マーラーをベルリンフィルで録音しはじめるのだが、
そうした演奏もこの辺で聞き直してみたくなってくる。

DECCA 478 6360

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2018年11月 8日 (木)

ツィモン・バルト 8

ツィモン・バルトでシューベルトの作品を聞いている。
楽興の時 D.780-4,5,6とピアノ・ソナタ 第18番 ト長調 D.894
2007年11月29,30日にファルテルモント・コンサートホール。
まずは楽興の時の後半だが、最後の第6番には驚かされた。
瞑想である。極度の静寂と遅いテンポで一歩ずつ歩んでいき、
しかし自然な響きで、こうあるべき説得力でとにかく深い感動。
続く「幻想」ソナタも予想されるごとく、何とも止まりそうであり、
リヒテルの演奏などもあったので、こちらはわかりやすいが、
しかしツィモン・バルトの演奏の魅力は、ここでは沈黙でなく、
最大限の想いを込めて、優しい表情で語りかけてくるので、
とにかく美しいし、柔らかい光の中、程よい色合いの情景で
心地のよい空間が広がる。なんて素晴らしい世界であろう。
ツィモン・バルトで他のソナタも聞いてみたい。これを聞くと
ベートーヴェンもいいに違いない。本当に奇跡の響きだ。

CAPRICCIO C5028

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2018年11月 7日 (水)

ツィモン・バルト 7

ツィモン・バルトでシューベルトの作品を聞いている。
4つの即興曲 D.899(2008.9.19)
楽興の時 D.780-1,2,3(2007.11.29,30)
ファルテルモントのコンサートホールで収録されている。
聞いたこともないような極端に遅いテンポで弾かれるのは、
アファナシエフとよく似ているのだが、ツィモン・バルトは、
消えてしまいそうなギリギリの弱音で止まりそうになりつつ、
しかし信じられないような滑らかな流れで音楽を進めていき、
まさに天才、奇跡としか思えない演奏に引き込まれてしまう。
とにかく素晴らしい。このテンポで弾くとこうなるのか…という
すべてが発見なのであり、一般的常識というのはあるけれど、
どちらが正しいのか?というのが、わからなくなってしまう。
芸術である以上、正しいも正しくないもないのかもしれないが、
その意味では、ツィモン・バルトのシューベルトは、これこそ
真の芸術であり、どんな瞬間にも生命が吹き込まれている。
アファナシエフは音楽の構造とか造形に関心がありそうだが、
ツィモン・バルトはもっと個人的なところで音楽と深く関わり、
極度に感情移入して、作曲家と一体になり、そこで得られる
心の機微を演奏に反映させている気がする。なんと美しい。
この微妙なところに喜びを感じるというのも私も成長したし、
ツィモン・バルトが本当に好きなのだなと自分でも思う。

CAPRICCIO C5028

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2018年11月 6日 (火)

ジョルジュ・プレートル 2

ジョルジュ・プレートルの指揮によるミラノ・スカラ座で
レオンカヴァッロの歌劇「道化師」を聞いている。
1983年にミラノ・スカラ座で映画制作用に音源収録。
昨日の歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」に続いて、
主演はプラシド・ドミンゴで主役のカニオを歌っている。
ジョルジュ・プレートルの音作りは、ゆったりと大らかで
あまり緊迫感はないが、それがどこか劇場的でもあり、
そうした中で細やかな表情付けがいきいきと素晴らしく、
色彩的で艶やかなスカラ座管弦楽団の魅力もあって、
すっかり夢中になってしまう。しかしプレートルの音って、
昨日から思っているのだけど、イタリア的というよりも
やはりフランス風な印象で独特の仕上がりではあるか。
深刻な感じがなく、劇中劇のこの作品をそのまた外で
穏やかに眺めていることのできる余裕は、劇場鑑賞。
悲劇的な感覚はなくて、あまり感情移入は求めずに
楽しんで観る、聞くことを我々に望んでいるのかも。
有名な「衣装を付けろ」も淡々と進んでしまう感じで、
アリアが独立してしまうことなく、歌劇の一部であり、
物語の進行を考えて、これが本当なのかもしれない。

DECCA 478 4174

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2018年11月 5日 (月)

ジョルジュ・プレートル 1

ジョルジュ・プレートルの指揮によるミラノ・スカラ座で
マスカーニの歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」
1983年にミラノ・スカラ座で収録されている。
プラシド・ドミンゴの主演で映画制作された音源である。
ミラノ・スカラ座の本場イタリア的な音色が特長的だが、
ジョルジュ・プレートルの軽やかでしなやかな音作りが
見事にひとつになって、昔から広く知られる名盤だけど、
やはり感動的だ。この明るい輝きって、実にプレートル。
同じスカラ座でもカラヤンの演奏は全く別な仕上がりだし、
ムーティとも印象は違っていて、独特の歌わせ方である。
いかにも歌劇場の職人気質といった手堅い指揮振りで
しかしそれこそが、今となっては魅力にも感じられる。
トゥリッドゥのドミンゴはもちろん一番に耳に残るのだが、
この1980年代の存在感はやはり格別かもしれない。
そしてアルフィオのレナート・ブルゾンの歌声も最高。

DECCA 478 4174

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2018年11月 2日 (金)

ゴットフリート・ラブル 4

ゴットフリート・ラブル指揮ウィーン放送交響楽団で
エゴン・ヴェレスの交響曲全集を収録順に聞いてきた。
交響曲 第3番 作品68(1949-1951)
交響曲 第5番 作品75(1955-1956)
2004年にORFフンクハウスのゼンデザールで収録。
時代としては、第二次世界大戦後の復興期の作品だが、
エゴン・ヴェレスの作風はますます充実している感じで
素晴らしい交響曲である。ブルックナー風の重厚な響き、
マーラーからシェーンベルクへの新ウィーン楽派の音色、
とりわけここでは、ベルクの雰囲気を音楽に感じるが、
時代的ないろいろな影響を受けつつ、一方で独特の
エゴン・ヴェレスの音楽も色濃く現れてきて感動する。
同じ頃、ブーレーズやベリオ、シュトックハウゼンなどは
前衛的な手法で活躍をはじめていたわけで、比べると
懐古的であり、保守的な作風かもしれないが、そこに
魅力があることも事実で聞けば聞くほど惹かれてくる。

CPO 777 183-2

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