2019年2月15日 (金)

クリストフ・フォン・ドホナーニ 25

クリストフ・フォン・ドホナーニ指揮ウィーンフィルで
R.シュトラウスの楽劇「サロメ」を聞いている。
1994年4月11-18日にウィーン・コンツェルトハウス。
しなやかで音楽は非常にスムーズに流れているけれど、
元々、ドホナーニは色彩を際立たせて描く人ではないが、
この作品のどぎつさは感じられない。音だとなお一層。
細部まで明瞭に鋭く表現していく手法も薄まっており、
自然体な仕上がりだが、するとスタンダートな印象で
ドホナーニの主張は控えめ。ウィーンフィルの音色を
より前面に出し、美しくまとめることに集中したのかも。
レコード制作で音のみの表現だとその中で物語を伝え、
舞台のイメージも頭に広がるような、そんな仕上がりも
可能ではあるけれど、このときは、実際の上演もあり、
ロンドンでの公演が、後に映像にも残されているが、
舞台があって、それに寄り添っての音楽というのでは、
やはり違うのかもしれない。このプロダクションは、
ザルツブルク音楽祭での上演とある。翌年の収録。

DECCA 444 178-2

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2019年2月14日 (木)

クリストフ・フォン・ドホナーニ 24

クリストフ・フォン・ドホナーニ指揮ウィーンフィルで
ワーグナーの歌劇「さまよえるオランダ人」
1991年3-11月にウィーン・コンツェルトハウスで収録。
いまになって気付いたのは、「フィデリオ」と同時進行で
録音されていたのだ。「さまよえるオランダ人」については、
その後もいろいろと聞いてきたけれど、このドホナーニで
久しぶりに聞いてみると本当に素晴らしい。私は好きだ。
この後にドホナーニは、ウィーンで「指環」も指揮しており、
当時、その批評も出ていたけれど、記憶に残っているが、
ドホナーニの独特のイメージがあって、しかし改めて、
音が薄いという印象もないし、響きが軽いこともなくて、
非常に力強い音作りで、ワーグナーが記した構築性を
緻密に細部にまで、精妙に音にしていくことによって、
立体感のある表現と緊張感を生み出しているのは、
とにかく感動的である。すべての音が明瞭に聞こえ、
この独特の音作りが、先入観を与えてしまうのかも。
しっかりと歌い込まれて、たっぷりと鳴り響いている。
ウィーンフィルの細部の描写力が、音楽と効果的に
結びついたときの完成度というのは驚異的なのであり、
この感触、この精密さは、やはりドホナーニ以外には、
考えられないかもしれない。交響曲からオペラまで
次々とドホナーニの録音が出ていたこの1990年代は、
本当によい時代だった。それを振り返ることも重要だ。

DECCA 436 418-2

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2019年2月13日 (水)

クリストフ・フォン・ドホナーニ 23

クリストフ・フォン・ドホナーニ指揮ウィーンフィルで
ベートーヴェンの歌劇「フィデリオ」を聞いている。
1991年4-11月にウィーン・コンツェルトハウスで収録。
久しぶりに出してみたが、やはりドホナーニは大好き。
クリーブランドではなく、ウィーンフィルというところに
オペラの録音なので、特別な企画が感じられるけれど、
この時代には、ウィーン国立歌劇場の上演にも密接に
ドホナーニが関わっていたということである。最高だ。
重い音は出さないけれど、響きには力強さがあって、
すべてが見通しよく、細部にまで緻密に明瞭である。
ウィーンフィルの明るい音色は美しく、透明感もいい。
ドホナーニは、立体的で緊張感のある音を引き出して、
この頃のウィーンフィルって、現在とも少し違うような。

DECCA 436 627-2

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2019年2月 8日 (金)

ロリン・マゼール 42

ロリン・マゼールの指揮によるウィーン国立歌劇場で
プッチーニの歌劇「トゥーランドット」から第3幕
1983年9月1,4,9日にウィーン国立歌劇場で収録。
あまりにも素晴らしい第3幕をじっくり聞いている。
パヴァロッティのカラフが有名だが、メータ盤であり、
カラヤンの「トゥーランドット」ではドミンゴが歌い、
そしてマゼールのこの上演が、ホセ・カレーラスだ。
当時のスターでそれぞれ録音が残されているのが
うれしいし、それだけ重要な演目ということであろう。
うっとりするような美しいメロディと悲劇的な和音が
見事に共存して、ときに極端な不協和音が鳴り出し、
マゼールがそうした要素をクローズアップしながら
非常に実感のある音で、濃密に進めていくので、
会場も異常な盛り上がりを録音に残しているが、
たしかにこの場にいたらすごかっただろうと思う。
スタジオ録音でとことん精妙に収録したならば、
ウィーンフィルで、さらにさらにしなやかで繊細に
違った仕上がりを見せただろうけど、これもまた
聞いていて熱くなれる偉大な公演記録である。

CDR937/938/939

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2019年2月 7日 (木)

ロリン・マゼール 41

ロリン・マゼールの指揮によるウィーン国立歌劇場で
プッチーニの歌劇「トゥーランドット」から第1幕と第2幕
1983年9月1,4,9日にウィーン国立歌劇場で収録。
シーズン開幕の新演出上演のライブだそうである。
録音としては、劇場の雰囲気を感じる大迫力だが、
聞き込むとマゼール独特の描き込みは魅力である。
中国のイメージを音楽に盛り込んでいくというのは、
バルトークの「中国の不思議な役人」にも通じて、
リズムも際立つと現代音楽のような印象もあるが、
この時代のマゼールはシャープな感覚を重んじて、
生々しい感触が不思議な緊張感を生み出している。
前半はリューがいいが、カティア・リッチャレッリで
第2幕ではカラフとトゥーランドットの問答の場面が、
マゼールがすごい情景を描き出して、感動的だ。
カラフはホセ・カレーラスが歌っている。素晴らしい。

CDR937/938/939

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2019年2月 5日 (火)

カルロ・マリア・ジュリーニ 6

カルロ・マリア・ジュリーニ指揮ウィーンフィルによる
ヴェルディの歌劇「リゴレット」から第2幕と第3幕。
1979年9月にウィーン楽友協会大ホールで収録。
ウィーンフィルのしなやかな響き、細部の精妙な表現で
本当に素晴らしい演奏だ。ヴェルディの「リゴレット」は
ストーリーも面白いし、実に悲劇的な結末に導かれるが、
得意の不条理による後味悪さ、それと暗く苦しい音色が
一体であり、聞く人を熱狂させるものがある。感動的だ。
マントヴァ侯爵の能天気さには、何とも腹が立つのだが、
リゴレットとの関係性では、まさに勝ち組、負け組であり、
それがあまりにもハッキリとして、光と影なのであって、
どこまでも幇間であり続けないといけない道化の怒り、
それが生命力の源である。実際に呪い、怒りという
負の要素が核心であり、ヴェルディの音楽の本質だ。
とはいいながら、やはりドミンゴの輝きには魅了される。
ジュリーニの音作りが、後の遅いイメージと全く違って、
圧倒的な鮮やかさであり、その明確で切れ味のよさは、
どこかクライバーのような感覚で、不思議な例えだけど、
そういう気がするのだから、仕方ない。これぞ名盤だ。

DG 457 753‐2

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2019年2月 4日 (月)

カルロ・マリア・ジュリーニ 5

カルロ・マリア・ジュリーニ指揮ウィーンフィルによる
ヴェルディの歌劇「リゴレット」から第1幕を聞いている。
1979年9月にウィーン楽友協会大ホールで収録。
ジュリーニの好みだと思うけど、音がなんとも美しい。
華麗なウィーンフィルの音色をきっちりと引き締めて、
色彩も抑え気味に実に研き抜かれた仕上がりである。
ジュリーニとウィーンフィルの相乗効果とはまさにここ。
細やかな表現での冴えは圧倒的で夢中にさせられる。
活躍のマントヴァ侯爵は、ストーリー上は嫌な役だが、
歌っているのは、プラシド・ドミンゴでやはり絶品である。
リゴレットは、ピエロ・カプッチルリで、こちらも最高だ。
第1幕第1場の終わりで呪いを歌うモンテローネ伯爵、
そして第2場になり、陰から現れるスパラフチーレも
殺し屋稼業を歌い、まわりも個性の強い役ばかりで
ヴェルディの暗い和音と一体に独特の世界である。

DG 457 753‐2

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2019年2月 3日 (日)

ヴァレリー・アファナシエフ 8

アファナシエフでベートーヴェンのピアノ協奏曲全集
ピアノ協奏曲 第4番 ト長調 作品58
ユベール・スダーン指揮モーツァルテウム管弦楽団
2002年3月20,21日にモーツァルテウムで収録。
この第4番は、アファナシエフ向きの作品かもしれない。
柔らかい響きの弱音が何とも効果的で、細部にまで
実に丁寧にそれを実現させるのは、遅いテンポだが、
やはりこの表現には理由があるし、説得力がある。
細心の注意で隅々まで丁寧に描き込まれているが、
この細やかな表情付けには、すっかり引き込まれて、
とにかく感動した。澄み切った空気と清々しい透明感、
アファナシエフのベートーヴェンへの想いの深さに
奇跡のような演奏が生まれている。天才的と思うが、
それよりもアファナシエフの音楽への誠実さの表れ、
ただ純粋に音の一つ一つに向き合った結果であり、
そこには雑念は存在せず、個性的なもの、自己主張、
自らの存在をも消し去ろうとしているのが感じられる。

OEHMS OC513

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2019年2月 1日 (金)

ニューイヤーコンサート2019

今年のニューイヤーコンサートをCDで聞いている。
第1部は、ツィーラーのシェーンフェルト行進曲、
ヨーゼフ・シュトラウスのワルツ「トランスアクツィオネン」、
ヘルメスベルガーの妖精の踊り、ポルカ「特急ポルカ」、
ワルツ「北海の絵」、ギャロップ「速達郵便で」、
第2部は、喜歌劇「ジプシー男爵」序曲、ポルカ「踊り子」、
ワルツ「芸術家の生活」、ポルカ「インドの舞姫」、
エドゥアルト・シュトラウスのポルカ「オペラ座の夜会」、
喜歌劇「騎士パスマン」の動機によるエヴァ・ワルツ、
喜歌劇「騎士パスマン」からチャールダーシュ、
エジプト行進曲、ヘルメスベルガーの幕間のワルツ、
ポルカ・マズルカ「女性賛美」、ワルツ「天体の音楽」、
アンコールは、ポルカ「突進」、ワルツ「美しく青きドナウ」、
ラデツキー行進曲という2019年のプログラムである。
クリスティアン・ティーレマン指揮ウィーンフィルによる
元日のウィーン楽友協会大ホールにおけるライブ録音。
今年は、ティーレマンの指揮なので、私は大興奮だが、
重い感じにはならない中でじっくりと歌い込まれており、
これはやはり感動的である。昔のティーレマンでは、
あまり考えられなかったのが、速い曲での加速感や
よい意味での滑りのよさ、勢い余ったときの滑らかな
手綱捌きなど、ウィーンフィルのコントロールは絶品。
「ジプシー男爵」序曲やパスマンのチャールダーシュなど、
民族色やハンガリー風メロディでの劇的な展開も最高。

SONY 19075902822

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2019年1月31日 (木)

オイゲン・ヨッフム 6

オイゲン・ヨッフム指揮ベルリン・ドイツ・オペラによる
ワーグナーの楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」
第3幕第3場の途中から後半の歌合戦の場面である。
1976年3,4月にベルリンのイエス・キリスト教会で収録。
ワルターが歌った詩を書き留めたものをベックメッサーが
盗み出し、その上機嫌は実に滑稽なところだが、面白い。
続いて、訪ねてきたエヴァにワルターが完成した歌を披露し、
それをドミンゴが歌っているのだから、とにかく最高である。
でも最近のクラウス・フロリアン・フォークトの印象もあって、
ヘルデンではないリリックなワルターが好まれているので、
ひと昔前とまではいわないにしても従来の仕上がりか。
それにしてもオイゲン・ヨッフムの音作りが本当に魅力。
想いが込められて、暖かみがあって、表情豊かであり、
40年経っても最高の名盤であると思う。この1970年代は
カラヤンが録音して、それにショルティが続き、ほぼ同時に
ヨッフムの指揮でスター歌手が集められ、実現したわけで
すごい時代である。70年代の巨匠って、やはり聞くべき。

DG 00289 477 7559

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