2019年11月11日 (月)

バイエルン放送交響楽団

マリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団で
マーラーの交響曲 第1番 ニ長調「巨人」
2007年3月1,2日にヘルクレスザールで収録。
素晴らしい演奏だ。録音が優秀で距離感や陰影、
濃淡、細やかな表情付けまで、実に精密である。
ヤンソンスの音は、ここでもスッキリと透明であり、
しかし表現の描き込みに関しては、何とも濃密だ。
繊細な響きにこだわって、濃厚な印象にはならず、
これまで通りの明瞭で、研き抜かれた仕上がり。
それにしても響きが美しい。この輝きは圧倒的。
ヤンソンスの「巨人」は、オスロフィル(1999年)、
ロイヤル・コンセルトヘボウ(2006年)に続いて、
3種類目である。時期的にはコンセルトヘボウと
重なっているが、かつての録音は聞き直さないと
ハッキリしたことはいえないが、思い出したけど
20年前の録音となるオスロフィルの演奏でも
その当時、非常に感動したのであった。そうだ。
この2007年の演奏も最高。すると近年のが、
聞きたくなってしまう。すでに10年以上が経過。

BR 900901

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2019年11月10日 (日)

キース・ジャレット 25

1976年のキース・ジャレットを聞いている。
サンベア・コンサートから11月18日の札幌公演。
1976年11月18日に札幌厚生年金ホールで収録。
日本ツアーの最終日であり、サンベア(日熊)という、
この由来となったのが札幌についての話なのである。
全体に穏やかな時間で、破壊的な瞬間はないのだが、
美しい響きに歪みが表れ、調性が崩れていく様子は、
不安であり、混沌としているのであり、しかしそれこそ、
天才的な要因が宿っている気がして、感動的である。
追い詰められている感覚や激しい緊迫感がなくなって、
それは集中力が落ちているということでは決してなくて、
より自然体にキース・ジャレットの中から湧き出てくる、
音楽、旋律、さらには音そのものが素直に鳴りだして、
その時間や空間を録音が見事に捉えて、夢中になる。
全8公演の内、11月6日の福岡、10日のNHKホール、
16日の横浜が未発表となっているのだが、気になる。
勝手な推測だが、NHKホールと神奈川県民ホールだと
会場が大きいので、他と少し様子が違っているのかも。

CDR953/954

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2019年11月 7日 (木)

タカーチ四重奏団 2

タカーチ四重奏団でシューベルトを聞いている。
弦楽五重奏曲 ハ長調 D.956
弦楽四重奏曲 ハ短調 D.703「四重奏断章」
2012年5月18-21日にワイアストン・エステイトで収録。
チェロのラルフ・カーシュバウムが参加している。
録音の特長かもしれないけれど、左右の分離がよくて、
非常にシンフォニックな仕上がり。音も研ぎ澄まされて、
もちろん美しい響きであり、感動的なシューベルトだ。
シャープではあるが、歌にあふれて、豊かさが魅力。
ゆったりと穏やかな表情と対比から生まれる激しさで
実に緊張感のある展開は、現代の最高峰という印象。

hyperion CDA67864

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2019年11月 6日 (水)

リッカルド・ムーティ 27

ムーティ指揮フィルハーモニア管弦楽団で
ヴェルディの歌劇「ナブッコ」から第3幕と第4幕。
1977年7月10-20日と1978年2月5-8日に
ロンドンのキングズウェイ・ホールで収録されている。
「ナブッコ」は音楽が素晴らしい。若々しい輝きであり、
ヴェルディの後年の深みのある暗さや渋さはないが、
何より聞いて楽しい。それに比べて、物語はというと
国同士の争いや王位継承をめぐる騒動というのは、
よくわかるけれど、そこに旧約聖書の理解がないと
どうしても表面的で、踏み込めないのは残念である。
最後の場面で第4幕第2場は、神を讃えるところで
厳粛な空気となって、威勢のよかったアビガイッレが
許しを乞いながら死んでいくところは感動的である。

Warner 0190295945886

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2019年11月 5日 (火)

リッカルド・ムーティ 26

ムーティ指揮フィルハーモニア管弦楽団で
ヴェルディの歌劇「ナブッコ」から第1幕と第2幕。
1977年7月10-20日と1978年2月5-8日に
ロンドンのキングズウェイ・ホールで収録されている。
毎回、書いているが、ムーティのきびきびとした音が、
圧倒的鮮やかさで切れ味のいい展開がたまらない。
何という力強い響きで合唱の迫力にも大興奮である。
ヴェルディの初期の傑作で大成功を収めた作品だが、
この「ナブッコ」の物語は、旧約聖書からの出展で
なかなか理解が難しい。音楽はすぐに引き込まれる。
「ナブッコ」は溌溂として、明るい活気を基調として、
音楽の魅力が全開である。物語の感じからすると
もっと暗く、陰気な展開になってもおかしくないのだが、
ヴェルディの若々しい音楽があふれ出てくる感じだ。
ムーティもそれにぴったりで、本当に気持ちがいい。

Warner 0190295945886

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2019年11月 4日 (月)

バイエルン放送交響楽団

マリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団で
ワーグナーの歌劇「タンホイザー」序曲、
歌劇「ローエングリン」~第1幕への前奏曲、
楽劇「神々の黄昏」~ジークフリートのラインへの旅
2009年3月16日にルツェルン文化会議センター、
楽劇「トリスタンとイゾルデ」~前奏曲と愛の死
2007年4月26,27日にヘルクレスザールで収録。
緻密なコントロールと研き抜かれた響きの美しさで
まさにコンサートの仕上がりだが、これは素晴らしい。
逆にいえば、演奏会形式で楽劇の全曲を録音して、
「ワルキューレ」の第1幕など聞けたら、なんと幸せ。
「ジークフリートのラインへの旅」を聞いていると
そのまま第1幕へと続けてほしいと思ってしまう。
「トリスタンとイゾルデ」はヘルクレスザールでの
通常の演奏会だが、繊細な音色ながら、音楽は
ゆったりと大きな流れで、ワーグナー的である。

BR 900903

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2019年11月 1日 (金)

キース・ジャレット 24

1976年のキース・ジャレットを聞いている。
サンベア・コンサートから11月14日の東京公演。
1976年11月14日に中野サンプラザ・ホールで収録。
これだけの短期間に集中して、日本の各都市を廻り、
連日のソロ・コンサートで、キース・ジャレットの演奏も
滑らかに技も優って、手慣れている感もあるのだが、
それは聞く側にとっても同じことであり、器用なよりも
苦悩や格闘の中に生み出される方が衝撃度も高く、
その点では安定感がある。第1部は盛り上がって、
高揚の中で、前半の音楽を終えるのは素晴らしいし、
第2部は最後に破壊が存在して、そこは感動した。
この後、11月16日が神奈川県民ホールであり、
最後が11月18日の札幌で厚生年金会館である。

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2019年10月31日 (木)

バイエルン放送交響楽団

サー・サイモン・ラトル指揮バイエルン放送交響楽団で
マーラーの交響曲「大地の歌」を聞いている。
独唱は、メゾ・ソプラノのマグダレーナ・コジェナー
テノールのスチュアート・スケルトンが出演している。
2018年1月25-27日にヘルクレスザールで収録。
ラトルの音作りもずいぶん変わってきており、かつての
ひたすら雄弁に歌い上げる感じはなくなって、さっぱりと
より自然な響きに仕上がっている。濃厚さはなくなった。
バーミンガム時代の異常な細部へのこだわりからすると
現在はシンプルだ。ベルリンフィルの時代にもラトルは、
かなり頻繁にマーラーを指揮してきたが、その先にある、
この響きが到達点だと思うと興味深く、感動的である。
スチュアート・スケルトンが冒頭から力強い歌声であり、
アルト独唱のところをコジェナーが歌っているので、
最初は声が高いと独特な印象だが、そこはやはり
コジェナーなのであり、すっかり引き込まれてしまう。
歌手との緻密な音楽作りもラトルのこだわりである。
繊細になったが、細やかな表情付けはやはり最高。

BR 900172

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2019年10月30日 (水)

クラウディオ・アバド 55

クラウディオ・アバド指揮ミラノ・スカラ座で
ヴェルディの歌劇「シモン・ボッカネグラ」から
昨日に続いて、第2幕と第3幕を聞いている。
1977年1月3‐10日にミラノのCTCスタジオで収録。
アバドの音作りは透明感のある研き抜かれた感覚が、
聞いていて実に気持ちいいのだが、この音というのは、
ヴェルディの音楽に特化するものではなく、すべての
あらゆる音楽に魅力を発揮するアバドの普遍性であり、
その辺がムーティとの違いなのであろうと納得する。
ピエロ・カプッチルリが歌っているシモン・ボッカネグラ、
アメーリアにはミレッラ・フレーニ、他にホセ・カレーラス、
ニコライ・ギャウロフ、ジョゼ・ファン・ダムも出演して、
この名演を再現するのは、永遠に不能とまでいわれ、
緊張感のある展開であり、まさに隙なく感動的である。
フィエスコとの和解、そしてアメーリアとガブリエーレの
二人の未来を切り開いて、自身は裏切りによる毒殺で、
静かに死んでいくシモン・ボッカネグラの悲劇性であり、
ヴェルディの作品の不条理への熱狂は特有である。

DG 479 0379

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2019年10月29日 (火)

クラウディオ・アバド 54

クラウディオ・アバド指揮ミラノ・スカラ座で
ヴェルディの歌劇「シモン・ボッカネグラ」から
プロローグと第1幕を聞いている。
1977年1月3‐10日にミラノのCTCスタジオで収録。
「シモン・ボッカネグラ」というと昔からこのアバド盤が
有名だと思うのだが、華麗で色彩的な音色の一方で
音楽の骨格は引き締まって、抑制が効いているのに
アバドらしさを感じて、引き込まれる。この作品もまた
バリトンが主役を歌い、脇もバスなど低声が固めて、
重苦しい物語を濃密に聞かせるのに感動させられる。
ヴェルディの中期の作品ではあるが、初演は失敗で、
その後の上演に恵まれず、後に台本から音楽まで、
大幅に改定されて、「オテロ」や「ファルスタッフ」の
後期の作品と並ぶ完成度となっている。緻密であり、
アバドがそうした響きを誠実に丁寧に音にしていき、
派手な効果より物語と一体の音楽は流石の印象。

DG 479 0379

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