2017年6月24日 (土)

アンドレ・プレヴィン 20

アンドレ・プレヴィン指揮ロサンゼルス・フィルによる
ドヴォルザークで序曲「謝肉祭」作品92にはじまり、
交響曲 第9番 ホ短調 作品95「新世界から」
1990年4月30日にUCLAのロイス・ホールで収録。
落ち着いた響きでどっしりとした構えはドイツ的であり、
重厚なイメージもあったのだが、今回は少し違って、
細やかな表情付けやしなやかな動きが聞こえてくる。
こちらの気分やそのときのコンディションでも変わり、
やはり時間を空けて、聞き直してみることは重要だ。
プレヴィンが非常に丁寧に音を扱っているのである。
穏やかで自然体な運びは独特であり、それもあって、
緩急のメリハリはそれほど強調されていないことも
仕上がりの特徴に繋がっていると思う。録音の点で
さらにクリアだったなら、印象もまた違ってくるし。

TELARC CD-80238

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2017年6月23日 (金)

マティアス・ゲルネ 1

マティアス・ゲルネの歌うブラームスの歌曲集。
クリストフ・エッシェンバッハのピアノと共演で
プラーテンとダウマーによるリートと歌 作品32、
ハイネの詩による歌曲が5曲、歌われて、
夏の夕べ 作品85-1、月の光 作品85-2、
死は冷たい夜 作品96-1、花は見ている 作品96-3、
航海 作品96-4、4つの厳粛な歌 作品121
2013年4月、2015年12月にベルリンでの収録である。
渋い選曲であり、なんとも深みがあって、夜の世界だ。
暗く、モノトーンだけど、こんなにも心に響いてくることは、
そうはなくて、今回も本当に素晴らしい。ここでの作品で
よく聞いて親しみあるのは、最後の4つの厳粛な歌だが、
エッシェンバッハのピアノはかなり自由であり、合わせて、
マティアス・ゲルネも心のこもった歌で、これは感動した。

Harmonia Mundi HMC 902174

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2017年6月22日 (木)

マルティン・シュタットフェルト 1

マルティン・シュタットフェルトでショパンの練習曲集。
練習曲集 作品10と作品25の24曲の練習曲だが、
調性の異なるそれぞれの曲をつなぐ間奏曲のような
即興演奏ということだが、シュタットフェルトによる
曲が挿入されている。2016年7月25-29日に
ベルリンのイエス・キリスト教会で収録されている。
挿入のないところでも曲は連続して演奏されるし、
全体がひとつの流れに途切れることなく進むように
シュタットフェルトは意図して弾いているようである。
その点でも音楽的に響くように練習曲としての性格は
完全に失われて、技巧的な面をここまで打ち消して、
優しく、柔らかく聞かせた演奏は聞いたことがない。
しかしだからこその魅力であり、何と表現すべきか、
シューマンの子供の情景を弾くつもりで練習曲を
弾いたような、かわいらしい仕上がりは何ともいい。
角の取れたソフトなタッチで、すべては丸い音で、
全く新しい世界を描き出すことに成功している。
これまでの常識とあまりにもかけ離れているが、
もう天才としかいいようがなく、私は好きである。
そう、これは練習曲集というより、詩集なのだ。

SONY 88985369352

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2017年6月21日 (水)

クリスティアン・テツラフ 1

クリスティアン・テツラフとラルス・フォークトによる
ブラームスのヴァイオリン・ソナタ 第1番 ト長調、
第2番 イ長調、第3番 ニ短調とスケルツォ ハ短調。
2015年8月24-26日にブレーメンのゼンデザール。
期待はしていたのだけど、ここまで並外れて感動的に
これまでの中でも最高の名演に仕上がっているなんて、
正直、驚かされた。ブラームスの完成された音楽に
まだこんなにも豊かな表現が生み出される可能性が
残されていたなんて、これを驚かずにいられようか。
テツラフは弱音を駆使して、繊細な表情を基本として
かなり自由な印象に聞かせている。そうした音作りに
多大な影響を与えているのがラルス・フォークトである。
どう聞いても伴奏というべきところに豊かな響きを与え、
いきいきと語り出し、最弱音から豪快な和音にまで
表現の幅が信じられないぐらいに大きいのである。
本当に素晴らしい。こんな演奏は聞いたことがない。
このふたり、何かを掴んで、抜け出したようである。

ONDINE ODE1284

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2017年6月20日 (火)

ジャン・ジャック・カントロフ 7

ジャン・ジャック・カントロフでバッハを聞いている。
無伴奏ヴァイオリン・パルティータ 第2番 BWV1004
無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第3番 BWV1005
無伴奏ヴァイオリン・パルティータ 第3番 BWV1006
1979年11月に荒川区民会館で収録されている。
昨日に続いて、やはり非常に辛口なバッハなのである。
独特の張り詰めた空気に緊張感があり、厳しさがあり、
こういう仕上がりは嫌いではないが、一方で覚悟がいる。
心地よい疲れどころではない…叩きのめされる感じで
しかしそれだけの魂のこもった強さに心の底から感動。
私は、バッハはほとんど聞かないので、たまに聞くには、
これだけの凝縮された演奏の方が、ありがたいのだが、
優雅な安息の時間はここには存在しない。それこそが
カントロフのバッハなのであり、当時は最先端であったと
そして40年近くが経過した現在も全く色褪せていない。
話は変わるけれど、荒川区民会館で収録されており、
この時代、音響のいい会場で知られていたのだろうか。
高橋悠治もいくつか荒川区民会館で録音を残している。

DENON COCO-73158,9

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2017年6月19日 (月)

ジャン・ジャック・カントロフ 6

ジャン・ジャック・カントロフでバッハを聞きたい。
無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第1番 BWV1001
無伴奏ヴァイオリン・パルティータ 第1番 BWV1002
無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第2番 BWV1003
1979年11月に荒川区民会館で収録されている。
激しさもあるし、作品への強い想いが伝わってきて、
集中力ある演奏に引き込まれる。実に辛口なバッハで
ト短調、ロ短調、イ短調という、厳格で格調高い世界に
こちらも気持ちが引き締まってくる。表面的な美観は
すっかり排除して、ひたすら核心に迫っていくような
崇高な領域に足を踏み入れて、やはり名盤である。
明日は後半のBWV1004-1006を聞きたいと思う。

DENON COCO-73158,9

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2017年6月17日 (土)

マリア・ジョアン・ピレシュ 3

マリア・ジョアン・ピレシュのピアノでモーツァルトを聞く。
ピアノ協奏曲 変ホ長調 K.449とニ長調 K.537「戴冠式」
クラウディオ・アバド指揮ウィーンフィルとの協演である。
K.537は1990年4月にザルツブルク祝祭大劇場でライブ、
K.449は1992年3月にウィーン楽友協会大ホールで収録。
久しぶりに出してみたが、25年以上も昔の演奏なのであり、
時間を空けて聞いてみると改めてわかることもあるのだが、
この頃のピレシュはしっかりとしたタッチで、力強い表情で
モーツァルトをくっきりと描き切っていると実に明快である。
「戴冠式」のライブは、ルドルフ・ゼルキンの代演だったと
たしかそう記憶しているが、よりしなやかに自在な動きで
このライブの方が断然素晴らしい。ウィーンフィルも絶品。

DG 437 529-2

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2017年6月16日 (金)

ウィグモア・ホール 2010

ウィグモア・ホールのライブ・シリーズから
マシュー・ポレンザーニの歌曲リサイタル。
シューベルトの春に D.882、漁師の歌 D.881
孤独な男 D.800、夜曲 D.672、シルヴィアに D.891、
ベートーヴェンの歌曲集「遥かなる恋人に」作品98、
ブリテンのミケランジェロの7つのソネット 作品22、
アーンのヴェネツィア方言による6つの歌「ヴェネツィア」、
アンコールは、伝承「ダニー・ボーイ」
ピアノは、ジュリアス・ドレイクである。
2010年5月1日にウィグモア・ホールでライブ収録。
冒頭のシューベルトで一瞬に引き込まれてしまった。
リリック・テノールだが、なんて心地のよい歌声だろう。
前半はシューベルトとベートーヴェンできっちり選曲だが、
後半はガラッと変わって、ブリテンとアーンが歌われる…
その構成も魅力的でなんて素晴らしいコンサートだ。
ブリテンが実によくて、ジュリアス・ドレイクのピアノが
私は大好きなのだが、ブリテン自らがピアノを弾いて、
ピーター・ピアーズと演奏することを考えていたことが
よく伝わってくる。その雰囲気があって、聞き惚れる。

Wigmore Hall Live WHLive0048

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2017年6月15日 (木)

アルバン・ベルク四重奏団 29

アルバン・ベルク四重奏団のメンデルスゾーンで
弦楽四重奏曲 第1番 変ホ長調と第2番 イ短調
第1番は1999年3月にウィーン・コンツェルトハウス、
第2番は2000年6月にハノーヴァーのフンクハウス、
どちらもライブ録音である。独特の音色で美しい演奏だ。
作品に関しては、短音階で書かれている第2番の方が、
メンデルスゾーンの魅力が率直に出ている気がして、
私は好きだけど、あまり聞いてこなかったので勉強中。
まだ10代でメンデルスゾーンの若いときの作曲だが、
この頃、ベートーヴェンの後期の弦楽四重奏曲に
夢中だったそうで、様々な形で影響されているという、
そう思って聞くと親しみが増してくる。ところどころに
ここだなという発見があって、そうしたツボはうれしい。

Warner 0825646090280

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2017年6月14日 (水)

エマーソン弦楽四重奏団 13

エマーソン弦楽四重奏団でベルクの抒情組曲、
抒情組曲より悲嘆のラルゴ(ソプラノ独唱付き)
エゴン・ヴェレスのE.B.ブラウニングによるソネット、
エーリヒ・ツァイスルの来たれ、汝甘き死のときよ
2014年6,8,12月、2015年2月にニューヨークで収録。
ソプラノの独唱でルネ・フレミングが参加している。
私は昔からベルクの抒情組曲が大好きなのだが、
ラサール四重奏団やアルバン・ベルク四重奏団が
定盤なのであり、今回、エマーソン弦楽四重奏団の
新しい録音で聞いているが、これがまた最高だ!
とにかく明瞭な響きでこの上なくシャープなのであり、
音色は明るく、結果的に音楽がわかりやすいのである。
好きだとはいっても新ウィーン楽派のモダンな作風であり、
容易い作品ではないが、驚くほど親しみやすく、感動した。
そして選曲にエマーソンならではのセンスを感じるのだが、
エゴン・ヴェレスの作品に以前から興味があったのだけど、
なかなか聞く機会がなくて、こうして紹介してくれるのは、
実にありがたい。9曲の交響曲があるのだが、他にも
どうやら弦楽四重奏曲もあるようで、ぜひ聞いてみたい。
ウィーンの出身でシェーンベルクに学んだが、ユダヤ人で
ナチスから逃れ、イギリスに渡っている。1974年に死去。

DECCA 478 8399

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