2020年8月15日 (土)

キース・ジャレット 59

1995年のキース・ジャレットを聞いている。
ECMのLa Scalaでミラノ・スカラ座でのソロ・コンサート。
1995年2月13日にミラノ・スカラ座でライブ収録。
パリ、ウィーンと来て、ミラノでのソロ・コンサートである。
このスタイルも完成されつつあり、音楽も深く感動的だ。
もちろん美しい響きで清らかに研ぎ澄まされた世界だが、
力が入るあまりにピアノの音色が濁ったり、ペダルの音、
踏み込む足音、キース・ジャレットのうめき声も含めて、
その生々しさが会場の空気をリアルに伝え、凄まじい。
クラシックのライブ録音以上に一期一会の空間であり、
奇跡なものを感じるし、CD制作された意義は大きい。
私はこちらもオペラも両方が好きなので、いいのだが、
ウィーン国立歌劇場(1991)やミラノ・スカラ座という、
最高峰の歌劇場でジャズのソロ・コンサートを開いて、
オペラ・ファンからの批判はなかったのであろうか?
スカラ座の常連客などは、音楽(特にヴェルディ)に
格別に厳しいそうだし、ウィーンも保守的な土地柄で
そういう中で実現できたことは、ちょっと驚きである。
20年以上前からこれらの録音が存在しているので、
考えたこともなかったのだけど、聞けることへの感謝。

ECM 1640 537 268-2

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2020年8月14日 (金)

パーヴォ・ベルグルンド 6

パーヴォ・ベルグルンド指揮ボーンマス交響楽団で
シベリウスの交響曲全集を収録順に聞いている。
交響曲 第5番 変ホ長調 作品82
交響曲 第6番 ニ短調 作品104
1973年6月14,24日にサウサンプトンのギルドホール。
鋭く、くっきりとした表現はメリハリを効かせているが、
まず感じるのは、明るい音色で親しみやすさである。
ベルグルンドの厳格な姿勢で向き合うシベリウスは、
研ぎ澄まされた精神で近寄りがたいような存在だが、
最初の全集ではそこまででもないように思えてくる。
この交響曲 第5番と第6番の風景は本当に美しい。
ベルグルンドは豊かな表情付けをする方ではないが、
その中で自然体に音楽が歌われている印象もある。
この数日の猛暑は、シベリウスの音楽に救われる。

EMI 9 73600 2

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2020年8月13日 (木)

ロリン・マゼール 55

ロリン・マゼール指揮ピッツバーグ交響楽団で
グローフェの「グランド・キャニオン」組曲
ハーバートの交響詩「ヘーローとレアンドロス」作品33
ハーバートによるオペレッタからの名曲集
1991年9月30日にピッツバーグのハインツ・ホール。
マゼールのガーシュインを聞いたので、その続きで
グローフェの「グランド・キャニオン」を聞いている。
あまりにも有名な曲だが、昔、音楽の授業で聞いて、
それ以来であろうか。日の出、赤い砂漠、山道を行く、
日没、豪雨という5曲からなっているが、いま思うと
音楽の時間に聞いたのって、山道の場面が中心で
他は記憶にない。嵐に遭遇のところは典型的だが、
もしかしたら省略されていたのかも。デジタル時代で
録音も素晴らしいし、美しい音色に引き込まれるが、
マゼールの情景作りや聞かせ上手は実に魅力的だ。
ヴィクター・ハーバートという作曲家は知らなかった。
アイルランド人で後にアメリカに渡り、ミュージカルが
有名であるらしい。後半のオペレッタ名曲というのは、
ミュージカル・ナンバーということか。ハーバートは、
ピッツバーグ交響楽団に所縁のある人でその選曲。

SONY 88697932382

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2020年8月12日 (水)

ミヒャエル・ギーレン 51

ミヒャエル・ギーレン指揮南西ドイツ放送交響楽団で
シェーンベルクの5つの管弦楽曲 作品16
ハインリヒ・シフの独奏によるチェロ協奏曲 ニ長調
(マティアス・ゲオルグ・モンのチェンバロ協奏曲)
現代詩篇 作品50c、管弦楽のための変奏曲 作品31
1987年9月~1988年7月にSWRスタジオ5で収録。
ギーレン・エディションで新ウィーン楽派を聞いているが、
今日は別録音でシェーンベルクの作品を聞いている。
1987年というギーレンが前衛で冴えていた時代だが、
鋭く切り込んで、この明確に表現される心地よさは
圧倒的な存在感だけど、研き抜かれた響きが美しく、
深く踏み込んで描き出される音楽は感動的である。
チェロ協奏曲はヨーヨー・マの録音を知っていたが、
ハインリヒ・シフの演奏もあったのだ。楽しい曲だが、
たいへんな難曲だというし、ギーレンなので明瞭。

CDR976

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2020年8月11日 (火)

南西ドイツ放送交響楽団

シルヴァン・カンブルラン指揮南西ドイツ放送交響楽団で
ベルリオーズの交響曲「イタリアのハロルド」 作品16
ヴィオラ独奏はジャン・エリク・スーシ、
2002年1月14,15日にフライブルク・コンツェルトハウス、
劇的物語「ファウストの劫罰」 作品24
~ハンガリー行進曲、妖精の踊り、鬼火のメヌエット、
歌劇「トロイ人」~王の狩りと嵐
2007年7月5,10日にフライブルク・コンツェルトハウス。
昨日に続いて、ベルリオーズが聞きたくなってしまった。
特別にベルリオーズが好きということはなくて、その中で
「イタリアのハロルド」は昔から私は心地よいと思っている。
シルヴァン・カンブルランが、響きがきれいで、造形的にも
スタイリッシュに研き抜かれているので、本当に最高だ。
楽しい曲ばかりだが、演奏は鋭く、鮮やかに実に快調。
こうして聞くとベルリオーズの音楽は極めて革新的で、
リズムも音の重なりも複雑で、現代音楽を得意にして、
カンブルランが熱心に取り組んでいることも理解できる。
同じようにブーレーズもベルリオーズに関心があった。

Hanssler CD-No.93.241

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2020年8月10日 (月)

シュトゥットガルト放送交響楽団

サー・ロジャー・ノリントンの指揮による
シュトゥットガルト放送交響楽団の演奏で
ベルリオーズのレクイエム ト短調 作品5
2003年5月9日にシュトゥットガルトのリーダーハレ。
ベルリオーズの巨大な迫力のイメージがあるが、
ノリントンのピュア・トーンだと清らかな響きであり、
改めて宗教音楽なのであって、厳粛に感動的だ。
ベルリオーズの幻想交響曲は昔から親しみあるが、
こうした宗教曲の大作は敬遠してきたのだけど、
このところ関心も出てきて、好きになったのである。
ベルリオーズの声楽は、色彩的で華やかであり、
オペラのように聞こえてくる印象もあったのだが、
決してそうではない演奏もあったのだ。実にいい。
物足りない人もいるであろう。ノリントン好きなので
私は耳に心地よく、この新鮮さが楽しませてくれる。

Hanssler CD93.131

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2020年8月 9日 (日)

リッカルド・シャイー 3

リッカルド・シャイーの指揮でドヴォルザークを聞く。
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏で
序曲「謝肉祭」 作品92
交響曲 第9番 ホ短調 作品95「新世界から」
1987年1月5日にアムステルダム・コンセルトヘボウ。
このまとわりつく蒸し暑さで爽やかな気持ちになりたいと
ドヴォルザークを聞きだしたのだが、シャイーの演奏は、
やはりなかなか熱い。コンセルトヘボウの音色も明るく、
積極的な表現で、アクセントも力強いし、独特な印象だ。
ドヴォルザークのひんやりとした音楽は聞かれない。
でもシャイーの魅力はよく出ているし、1980年代後半に
シャイーの躍進がはじまっていくアムステルダムでの
初期の象徴的な録音で、なんとも懐かしい存在である。

DECCA 483 4266

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2020年8月 7日 (金)

ミハイル・ルディ 3

ミハイル・ルディでラフマニノフを聞いている。
ピアノ協奏曲 第1番 嬰ヘ短調 作品1
ピアノ協奏曲 第4番 ト短調 作品40
マリス・ヤンソンス指揮サンクトペテルブルク・フィル、
1993年9月17-20日にサンクトペテルブルクで収録。
交響曲 第2番の翌日から続けて録音された一枚で
ミハイル・ルディのピアノ協奏曲はこれで完成となる。
ピアノの切れ味よく聞かせる鮮やかさも素晴らしいし、
引き締まった印象ながら豊かに歌うヤンソンス指揮の
オーケストラの充実は感動的である。これは名演だ。
作品1という初期の第1番とずっと後年の第4番が
組み合わせとしてすごく調和しているのだが、それは
後になって、出来に不満を感じていたラフマニノフが、
第2番、第3番の後で、この第1番の改訂を行って、
現在の形になったのが、1917年なのである。その後、
ロシアを離れ、演奏活動に集中していたラフマニノフが、
1924年から作曲を再開し、第4番は1926年に完成。
広く親しまれている第2番と第3番に比べて、こちらの
第1番と第4番は地味な存在だが、実は同格に傑作。
第4番などは、漆黒の輝きが魅力的で昔から好きだ。

WARNER 0825646278275

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2020年8月 6日 (木)

マリス・ヤンソンス 9

マリス・ヤンソンス指揮サンクトペテルブルク・フィルで
ラフマニノフの交響曲 第2番 ホ短調 作品27、
スケルツォ ニ短調、ヴォカリーズ 作品34-14、
1993年9月13-16日にサンクトペテルブルクで収録。
ラフマニノフの独特の甘美に歌い込まれているのだが、
ヤンソンスは響きをスッキリと精妙にコントロールして、
引き締まった音楽なので、いつもながら好きである。
じっくり歌い上げると緩慢になりがちな作品なのだが、
ヤンソンスは非常にシンフォニックに深いところまで
鋭くえぐり出すように描いていくので、緊張感がある。
滑らかにまとめるのではなく、激しくときに嵐のような、
緊迫した展開が素晴らしい。メリハリが効果的である。
レニングラード・フィルからサンクトペテルブルクへと
1991年に改称されて、ムラヴィンスキーの時代の
雰囲気が色濃く残っていた時代であり、ヤンソンスも
巨匠からの多大な影響を受けて、力強い表現である。

WARNER 0825646278275

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2020年8月 3日 (月)

パーヴォ・ベルグルンド 5

パーヴォ・ベルグルンド指揮ボーンマス交響楽団で
シベリウスの交響曲全集を聞いていきたい。
交響曲 第7番 ハ長調 作品105
交響詩「タピオラ」 作品112
1972年5月7,8日にサウサンプトンのギルドホール。
私がパーヴォ・ベルグルンドの大ファンになったのは、
ヨーロッパ室内管弦楽団との3度目の全集を聞いて、
これは究極だと一気にのめり込んでしまったのだが、
有名なのはヘルシンキフィルとの1980年代の演奏で
その原点ともいえるのが、ボーンマス交響楽団との
こちらの演奏か、その明瞭度、確信に満ちた響きは
やはりすごいのである。パーヴォ・ベルグルンドは
1929年4月の生まれで、このとき43歳なのだが、
その完成度は驚異的だ。劇的な展開は努めて避け、
平坦に精緻な感覚のみを突き詰めているけれど、
これこそが本物のシベリウスだと思ってしまうのは、
我々の勝手なイメージかもしれないが、この演奏が、
そうした演奏スタイルを確立したといえるのであろう。

EMI 9 73600 2

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