2019年7月23日 (火)

ミヒャエル・ギーレン 40

ミヒャエル・ギーレン・エディション(第8集)から
シェーンベルクの室内交響曲 第1番 作品9
(ウェーベルン編曲による室内楽版)
1954年8月24日にダルムシュタット・コングレスザール。
シェーンベルクのヴァイオリン協奏曲 作品36
ウォルフガング・マルシュナーのヴァイオリン独奏、
ギーレン指揮南西ドイツ放送交響楽団の演奏、
1957年3‐5月にロッフェナウの聖十字架教会で収録。
ギーレン・エディションだが、ここからは第8集である。
室内交響曲は、ウェーベルン編曲による室内楽版で
ヴァイオリン、フルート、クラリネット、チェロ、ピアノ、
という編成で、この編曲版はおそらくはじめて聞く。
ギーレンはピアノで演奏に参加している。27歳だ。
ヴァイオリン協奏曲は、30歳になる少し前の録音で
ひとつ年長のウォルフガング・マルシュナーとは、
ケルン放送交響楽団のコンサートマスターも務め、
歌劇で知られるハインリヒ・マルシュナーの末裔。
ベルクのヴァイオリン協奏曲に比べて、こちらは
難解なイメージもあったのだが、いまは慣れたし、
この演奏も十二音技法を魅力的に伝えている。

SWR>>music CD-No.SWR19063CD

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2019年7月21日 (日)

ミヒャエル・ギーレン 39

ミヒャエル・ギーレン・エディション(第7集)から
南西ドイツ放送交響楽団の演奏で
R.シュトラウスの交響詩「死と変容」作品24
2006年5月4日にフライブルクのコンツェルトハウス。
第7集もこれで終わりとなる。中では最も新しい録音。
聞き慣れた「死と変容」なのだけど、冒頭から驚きで
ギーレンの生み出す響きは聞いたこともない深みで、
元来のドライで研き抜かれたイメージからはかけ離れ、
どこかおどろおどろしい蠢きで本当にすごいのである。
この壮大な仕上がりはギーレンの後年のスタイルだが、
昔と比べ、かなり変わってきていることは明らかであり、
しかしそこで、細やかな表現はかなり緻密に設計して、
雄大な表現とは対称的なディテールはシャープであり、
ギーレンの到達したこの境地には感動してしまった。
数あるギーレンのライブ録音でも最高の名演だと思う。

SWR>>music CD-No.SWR19061CD

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2019年7月19日 (金)

アレクサンダー・クリッヒェル 2

アレクサンダー・クリッヒェルでラヴェルの作品。
クープランの墓、鏡、夜のガスパールを聞いている。
2016年8月9‐12日にレヴァークーゼンで収録。
アレクサンダー・クリッヒェルの演奏は、リストに続き、
聞くのはまだ二枚目なのだけど、本当に素晴らしい。
すっかり気に入ってしまった。楽譜に記されている音を
隅々まで丁寧に鳴らしている印象があって、感性とか
発想に流されることがなくて、音楽を大切に扱って、
この緻密な音作りに好感をもつ。クープランの墓では、
モーツァルト的な運動性により、しっかりとした響きで
意外な印象もあったのだが、ドイツのピアニストであり、
それも納得がいって、基本として落ち着いた音色だが、
鏡へと進むと響きはさらに精妙なコントロールとなって、
何とも心地のよい余韻の世界に引き込まれてしまう。
夜のガスパールでの超絶技巧にも実に安定感があり、
それが今回の演奏における特長かなと思うのだが、
無理がなく調和の中に伸びやかな音は何とも美しい。
最後の「スカルボ」だけど、これまで聞いてきた中でも
一番である。何とも私にとってはいい感じで好きだ。

SONY 88985377642

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2019年7月18日 (木)

アンジェラ・ヒューイット 12

アンジェラ・ヒューイットでバッハのパルティータ
パルティータ 第3番 イ短調 BWV827
パルティータ 第5番 ト長調 BWV829
パルティータ 第6番 ホ短調 BWV830
1997年1月にハノーヴァーのベートーヴェン・ザール。
作品も変わると昨日の健やかに晴れ渡るような響きから
短調の作品では、厳粛に深く彫りの際立った音色となって
これはまた感動的である。でもどうも私はバッハの作品は、
明るく朗らかな曲調の方が好きであり、そこにバッハへの
苦手意識がいつになっても克服できていないのであって、
その点では、第5番 ト長調の明るい弾力性は心地いい。
アンジェラ・ヒューイットはピアノの特性を全面に引き出して、
もちろん奏法も心得ているけれど、考えずに心で感じて、
魅力があふれる時間が流れるのであって、素晴らしい。
そしてやはり第6番 ホ短調は、何といっても最高である。
ワイセンベルクの演奏で、はじめて聞いたパルティータが
この曲だったもので、いまも特別な存在で心に染みる。

hyperion CDA67191/2

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2019年7月17日 (水)

アンジェラ・ヒューイット 11

アンジェラ・ヒューイットでバッハのパルティータ
パルティータ 第1番 変ロ長調 BWV825
パルティータ 第2番 ハ短調 BWV826
パルティータ 第4番 ニ長調 BWV828
1996年6月にハノーヴァーのベートーヴェン・ザール。
これまでアンジェラ・ヒューイットの弾くフランス音楽や
ロマン派の作品を聞いてきたが、定番のバッハを聞く。
まずその濁りのない角の取れた明朗な響きに感動する。
音色の点でも奏法、解釈ともに実に心地よいバッハだ。
しっかりとしたリズムだが、重くならずにピアノの弾力性で
いきいきとした表情を生み出して、シンプルな世界にも
豊かな情景を描き出している。アンジェラ・ヒューイットは、
ファツィオリを弾くピアニストというイメージがあるけれど、
もう慣れたし、魅力的ではあるのだが、まだこの時代で
1990年代の後半にはスタインウェイが使用されており、
私はやはりそちらがいいかなとそれは好みの問題で。

hyperion CDA67191/2

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2019年7月16日 (火)

ヴァレリー・アファナシエフ 15

ヴァレリー・アファナシエフの2010年の東京公演。
シューベルトのピアノ・ソナタによる演奏会から
ピアノ・ソナタ 第18番 ト長調 D.894「幻想」
2010年11月20日に紀尾井ホールでのライブ録音。
余白に即興曲 D.899‐1、D.899‐3、D.935-2を収録。
昨日も聞いたスイスでの録音から直後の来日である。
ここでの「幻想」ソナタが、コンサートの後半の演奏で、
前半は楽興の時であった。楽興の時は、ルガーノで
スタジオ・レコーディングされているので、ここではなし。
しっかりとした響きでよく鳴りきっており、気合いも入り、
幻想的といった雰囲気ではない。前回のCD録音で
1992年の演奏も同様だったのかもしれないけれど、
左手の伴奏音型がよく聞こえて、強固な骨格である。
アファナシエフにとっては、幻想の響きというよりは、
もっとシューベルトの音楽と真剣に向き合い、必死、
格闘しているような激しさが伝わってくる。表面上の
この作品の優しさを連想させる仕上がりを超越して、
内在する強い意志やそこに潜む熱気を示している。
即興曲に関しては、そこまでではなくて、より自然に
滑らかな表現だが、もし本腰で取り組むときには、
また新たな表現が生まれてくるに違いないであろう。
割と普通の印象で重くも深くもあるが親しみやすい。

WKLC 7010

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2019年7月15日 (月)

ヴァレリー・アファナシエフ 14

ヴァレリー・アファナシエフでシューベルトの作品。
楽興の時 D.780とピアノ・ソナタ ニ長調 D.850
2010年9月にルガーノのスイス放送局で収録。
独特な粘りのある表現で、先へと進もうとすると
残してきたものに後ろ髪を引かれ、振り返りつつ、
振り返りつつ、一歩ずつ歩んでいく、まさにこれは、
アファナシエフならではのシューベルト演奏である。
リズムが際立ち、しかしそれは少しの重みをもって、
強いアクセントが、激しい亀裂を生み出すのだが、
その緊張感に聞き手は深く引き込まれるのである。
という楽興の時であった。しかし後半、ソナタでは、
このニ長調はシューベルトでも明るく健やかであり、
珍しく前向きな進行で音楽の推進力が感じられる。
とはいっても、アファナシエフの解釈も一時のような、
止まりそうな時間の停滞というのはなくなっており、
流れは自然で、合理的な響きの構成が聞かれて、
ここまで力強く鳴りきっている演奏というのも貴重。

ECM 2215 476 4580

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2019年7月12日 (金)

マリア・ジョアン・ピレシュ 6

マリア・ジョアン・ピレシュでベートーヴェンを聞いている。
ピアノ協奏曲 第3番 ハ短調 作品37
ピアノ協奏曲 第4番 ト長調 作品58
ダニエル・ハーディング指揮スウェーデン放送交響楽団で
2013年10月9-11日にストックホルムのベルワルド・ホール。
ピレシュの演奏は基本的にはシンプルで、それを活かして、
細部の表情をいきいきと独特の透明感によって音も美しい。
ハーディングの音作りも同じ方向性だし、ピリオド的な解釈も
ところどころに入っているが、スウェーデン放送交響楽団が
元々の透明な響きによって、調和に満たされた感覚である。
熱気は感じられず、静寂に瞑想的な時間も流れるけれど、
いかにも近年のピレシュの傾向だとそれは魅力的である。
ロンドン交響楽団で第2番の録音はあるが、ピレシュは
ベートーヴェンの他の協奏曲は録音を残しているのか?
第1番は弾いていてもおかしくないので、「皇帝」の存在は、
ということになるけれど、引退してしまったので、この先は
もう叶わない。この春、ルプーの代役でベルリンフィルに
急遽、出演して、そこで弾いたのが、ここでの第4番だが、
ピレシュにはまだ弾いてほしいと世界の誰もが願っている。

ONYX 4125

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2019年7月11日 (木)

エマーソン弦楽四重奏団 14

エマーソン弦楽四重奏団のベートーヴェンを聞いている。
弦楽四重奏曲 第11番 ヘ短調 作品95「セリオーソ」
1987年5月にトロイ貯蓄銀行音楽ホールで収録
ハイドンの弦楽四重奏曲 ハ長調 作品76-3「皇帝」
1988年10月にケルンのドイチュラント・ラジオで収録
弦楽四重奏曲 第16番 ヘ長調 作品135
1988年12月にニューヨークの芸術・文学アカデミー。
エマーソン弦楽四重奏団によるベートーヴェンの
弦楽四重奏曲全集を聞きたいと思っているのだが、
今日は全集とは別に前に録音された演奏である。
シューベルトとの組み合わせによって発売されたが、
そちらはすでに聞いているので、残りを集めてみた。
切れ味よいこのシャープな仕上がりはとにかく最高。
現代的な感覚にあふれているけれど、もう30年前。
エマーソン四重奏団の演奏って、新鮮さを失わない。

CDR943

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2019年7月10日 (水)

ウラディーミル・アシュケナージ 23

アシュケナージでチャイコフスキーの作品集を聞いている。
18の小品~瞑想曲 作品72-5、
少し踊るようなポルカ 作品51-2、熱い告白、
18の小品~やさしい非難 作品72-3、子守歌 作品72-2、
四季 作品37a~1月 炉端にて、2月 謝肉祭、
3月 ひばりの歌、4月 松雪草、5月 白夜、6月 舟歌、
7月 草刈人の歌、8月 収穫の歌、9月 狩りの歌、
10月 秋の歌、11月 トロイカ、12月 クリスマス
1998年9月26,27日にアテネのメガロン・コンサートホール、
1998年12月12,13日にベルリンのテルデックス・スタジオ。
力強くしっかりとした響きが基本なのだが、じっくりと歌って、
その中で非常に繊細な表情も美しく、チャイコフスキーへの
愛情がひしひしと伝わって、アシュケナージは素晴らしい。
この時代のアシュケナージのピアノって、私は好きである。
その前も後もいいのだが。アシュケナージが指揮者として
活躍が際立った頃でピアノの独奏はこうした録音でないと
聞けなくなってしまった。その点では、すっかり力が抜けて、
穏やかに自然な仕上がりである。深い余韻に感動する。

DECCA 466 562-2

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