2020年3月29日 (日)

ミシェル・プラッソン 3

ミシェル・プラッソンの指揮でフォーレの作品を聞く。
レクイエム 作品48、ラシーヌ讃歌 作品11
バーバラ・ヘンドリックス、ヨセ・ファン・ダムの独唱、
トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団の演奏で
1984年7月にトゥールーズ・グラン・ホールで収録。
いかにもフォーレのレクイエムにふさわしい音色で
柔らかく穏やかな響きに包まれ癒しの時間である。
音作りのバランスでオルガンやハープの音色が
豊かに聞こえて、つまりオーケストラの編成は、
小さめな印象なのと教会にいる空気感を出して、
やはりさすがに名盤だ。ヨセ・ファン・ダムがいい。

ERATO 0190295633578

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2020年3月28日 (土)

アンドレ・クリュイタンス 3

アンドレ・クリュイタンス指揮パリ音楽院管弦楽団で
ラヴェルのダフニスとクロエ(全曲)を聞いている。
1962年6月1,4-8日にパリのサル・ワグラムで収録。
色彩豊かに濃密に歌い込まれており、そこが感動的で
一方で同時に古きよき時代を少々感じる部分ではある。
泥臭い感がして、想いの詰まった表情が伝わってきて、
比べて現代の演奏は、洗練された感覚が追及されて、
シャープな仕上がりに移行していることを再認識する。
そちらの冷徹な響きは、コンサート・スタイルであって、
この熱気というのは、改めてバレエの表現と密接に
結びついていることを思うのである。舞踊の息遣いが
音楽に反映されて、そこに惹かれるのかもしれない。

ERATO 0190295651473

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2020年3月27日 (金)

キース・ジャレット 39

1985年のキース・ジャレットを聞いている。
ECMのStandards Liveでパリでの録音。
Stella by Starlight (Ned Washington, Victor Young)
The Wrong Blues (Alec Wilder, William Engvick)
Falling in Love with Love (Richard Rodgers, Lorenz Hart)
Too Young to Go Steady (Harold Adamson, Jimmy McHugh)
The Way You Look Tonight (Dorothy Fields, Jerome Kern)
The Old Country (Curtis Lewis, Nat Adderley)
1985年7月2日にパリのパレ・デ・コングレで収録。
ゲイリー・ピーコックとジャック・ディジョネットとのトリオで
この有名なトリオの世界各地でのライブ盤が存在する中、
その最初となったのがこの演奏である。全体としては、
それほど特別なものは感じられず、上質な普通というか、
その後の名盤がたくさんあるので、原点ということだけど、
ソロとしては、やはり三様に圧倒的に輝くものがあって、
コンサートの後半、ジャック・ディジョネットがすさまじい。
三人が絶妙に協調しつつ、そこでとんでもない個人技が
噴出する様子にライブならではの興奮と感動が存在する。

CDR969

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2020年3月26日 (木)

マルク・アンドレ・アムラン 22

マルク・アンドレ・アムランでアルカンの作品を聞く。
グランド・ソナタ「四つの時代」 作品33、
ソナチネ 作品61、舟歌 作品65-6、
イソップの饗宴 作品39-12(短調による練習曲)
1994年11月にロンドンのオール・セインツ教会。
アムランによるアルカンの作品を聞いているけれど、
アルカンは極端な超絶技巧と過度に華麗な芸風で
それはほとんど曲芸のようなイメージもあったので、
どうもそれほど好きではないと思ってきたのだが、
やはりアムランの深い理解と研き抜かれた表現で
すっかりはまり、アルカンの音楽に興味が湧いて、
この180度転換の変化には自分でも驚いている。
グランド・ソナタ「四つの時代」では、4つの楽章を
人の一生に例え、若々しく活発な20代の頃から
少々狂気の30代、落ち着きの出てくる40代、
老いの迫る50代と面白さもあるし、感動的だ。
「イソップの饗宴」は短調による12の練習曲から
最後の第12番で、アムランが驚異的鮮やかさで
華麗な表現なのだが、少しも派手なところはなく、
この完璧なコントロールと明瞭なバランス感覚が
他では聞けないアムランの最大の特長である。
アルカンの音楽は壮大であり、ショパンとリスト、
そしてベルリオーズの迫力が一つになったような、
聞けば聞くほどに面白く、遅ればせながら熱狂。

hyperion CDA66794

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2020年3月25日 (水)

スヴャトスラフ・リヒテル 14

リヒテルでベートーヴェンのピアノ・ソナタを聞く。
ピアノ・ソナタ 第19番 ト短調 作品49-1
ピアノ・ソナタ 第20番 ト長調 作品49-2
ピアノ・ソナタ 第22番 ヘ長調 作品54
ピアノ・ソナタ 第23番 ヘ短調 作品57「熱情」
1992年11月にアムステルダム・コンセルトヘボウ。
リヒテルの最晩年の演奏会ライブのシリーズから
昨日に続いて、ベートーヴェンのピアノ・ソナタを聞く。
発売当時の最初に聞いたときにも感じたことなのだが、
ますます巨匠的な雄大さの一方で、どうもリヒテルが
冴えがなくなっている気もする。コンセルトヘボウで、
会場の大きさにもよって、ピアノの鳴らし方も変わり、
演奏スタイルも変化するのかもしれないが、何か違う。
晩年のリヒテルであり、「熱情」も昔の演奏とは違って、
テンポが遅くなってもいいし、抑制の表現に移行して、
激しさだけでない静けさの音楽でもいいと思うのだが、
そこにリヒテルならではの存在感が出るはずであり、
しかしどうもここでは、特別なものが感じられない。
この演奏については、今回もまた結論は出なかった。
でも「熱情」の第2楽章以降では、集中力も深まり、
リヒテルも乗ってきたという感はある。昔のとは違う、
削ぎ落としていく表現でのそこに表れる凄みである。

PHILIPS PHCP-5153

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2020年3月24日 (火)

スヴャトスラフ・リヒテル 13

リヒテルでベートーヴェンのピアノ・ソナタを聞く。
ピアノ・ソナタ 第30番 ホ長調 作品109
ピアノ・ソナタ 第31番 変イ長調 作品110
ピアノ・ソナタ 第32番 ハ短調 作品111
1991年10月にルートヴィヒスブルク・オルデンスザール。
リヒテルの最晩年のライブ録音のシリーズで、演奏から
しばらくして発売になっていると思うのだが、それ以来、
ときどき出しては聞いているのだけど、時間が経過して、
聞けば聞くほどにその深さに感動するし、味わいがある。
リヒテルの巨大な響きは完全に消えて、シンプルであり、
極めて平坦な中で音楽の核心だけをひたすら追求する。
今年はベートーヴェンの記念の年で、それに釣られて、
いろいろと聞き直してみたくなるものも出てくるのだが、
聞いていればこそ、リヒテルの存在は偉大なものとなる。
ライブ録音のミスタッチはあるが、衰えは感じられない。

PHILIPS PHCP-5119

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2020年3月22日 (日)

ギャリック・オールソン 11

ギャリック・オールソンによるブラームスの作品で
7つの幻想曲 作品116、3つの間奏曲 作品117、
6つの小品 作品118、スケルツォ 作品4
2017年11月12-14日にワイアストン・エステイトで収録。
ブラームスの変奏曲集の続編で後期の傑作が聞ける。
ギャリック・オールソンの心のこもった表現が魅力だが、
美しい表情付けと一方にある重厚な音楽も心に響いて、
いつもながら感動的だ。技巧的なところでリストのような、
そういうところでもギャリック・オールソンは余裕綽々で
困難な印象を与えず、何でも角を作らず聞かせるのは
特技というか、特長だなと思うのである。とはいっても
沈黙や瞑想でもなく、とにかくすべてに親しみを感じる。
ブラームスを聞くと思うけど、シューマンの録音がなく、
ショパンなどは、かつて全曲録音を完成させているのに
そういえば、この穏やかさと丸みのある音色というのは、
やはりリストの方向ではなく、シューマンなのであろう。
ギャリック・オールソンにシューマンを録音してほしい。

hyperion CDA68226

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2020年3月21日 (土)

ヴァレリー・アファナシエフ 23

ヴァレリー・アファナシエフの2007年の東京公演から
シューマンを特集したコンサートのライブ録音で
子供の情景 作品15、交響的練習曲 作品13
2007年12月7日に東京オペラシティ・コンサートホール。
ライブ収録なので、録音の特徴なのかもしれないが、
しっかりとした響きでくっきりと聞かせる表現なので、
子供の情景などは、もう少し柔らかさが欲しいとも
思ってしまうのだが、つまりはこの感触というのは、
交響的練習曲では、実に深みのある音色となって、
すべてはここでの音楽の流れで、アファナシエフの
物語が創作されているのである。ということで後半に
それに気付かされる感動は大きい。交響的練習曲は
もちろん独特なテンポ感による全く個性的な音楽が
創造されているので、遺作変奏の配置は興味深い。
しかしアファナシエフは、決して音楽を崩さないし、
形式や構造はむしろ深く追求されるところもあって、
その点では、自由な想像力を求めるのであれば、
やはりポゴレリチ、そしてツィモン・バルトであろう。
アファナシエフは硬派であり、強く意志を貫く人だ。

WAKA-4133

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2020年3月20日 (金)

エミール・ギレリス 12

エミール・ギレリスによるベートーヴェンで
エロイカの主題による変奏曲とフーガ 作品35
ピアノ・ソナタ 第7番 ニ長調 作品10-3
1980年9月12-15日にベルリンのイエス・キリスト教会。
昨日の「悲愴」「月光」と同じときの録音である。
音楽がスッキリと聞こえて、なんて明瞭な演奏か。
これらのCDを手に入れたのは、30年前になるが、
当時からギレリスのベートーヴェン演奏は最高だと
私はずっと信じてきているけれど、改めて聞いても、
本当にギレリスは偉大な存在だ。決して揺るがない。
このとき、レコード2枚分の5曲が録音されているが、
当時はソ連の時代であり、いくらギレリスといっても
海外を自由に行き来することはできなかったであろうと
ベルリンに来ては、まとめて録音していたということだ。
ついに実現しなかったこのピアノ・ソナタ全集であるが、
残された5曲(作品2-1, 14-1, 54, 78, 111)についても、
ギレリスがもう一年生きていてくれたなら、もしかしたら
完成したのかも。そう思うとファンは残念で仕方ない。

DG 423 136-2

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2020年3月19日 (木)

エミール・ギレリス 11

エミール・ギレリスによるベートーヴェンで
ピアノ・ソナタ 第8番 ハ短調 作品13「悲愴」
ピアノ・ソナタ 第13番 変ホ長調 作品27-1
ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調 作品27-2「月光」
1980年9月9,17日にベルリンのイエス・キリスト教会。
ギレリスが残したベートーヴェンのピアノ・ソナタで
1970年代のアナログ時代の録音を聞き直したが、
ここからは1980年代に入り、デジタル録音による
ギレリスの晩年の演奏を聞いていきたいと思う。
独特の硬質な響きはますます冴えて、精緻に
音楽の構造を鮮やかに聞かせて、感動的だ。
この演奏は昔から大好きである。最初のうちは
ドライな印象もあるのだが、魅力に気付いたなら
このシャープな感覚は、聞くほどに快感となる。
技巧と精神が一体となり、まさに充実の極みだ。

DG 400 036-2

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