2019年9月17日 (火)

バイロイト音楽祭2014

バイロイト音楽祭2014から歌劇「タンホイザー」で
アクセル・コーバーの指揮で第3幕を聞いている。
2014年8月12日にバイロイト祝祭劇場におけるライブ録音。
アクセル・コーバーの音について、だいぶわかってきたが、
素朴な響きが特長とも書いたけれど、スコアに記された音に
非常に誠実であり、美しい音色は美しく、一方でザラっとした、
粗い質感には独特な存在感を与え、個々の要素を際立たせ、
意図的に作られた豊かさではない、自然と沸き起こってくる、
変化に富んだ音楽に引きつけられる。ここまでハマるとは、
私も予想していなかった。これまでの「タンホイザー」とは、
ちょっと違う音作りで、この解釈がバイロイト音楽祭にも
保守的なワグネリアンにも受け入れられたのって喜びだ。
2013年以降、アクセル・コーバーは継続的に出演しており、
この「タンホイザー」や初期の歌劇しか指揮していないが、
後の楽劇も担当してほしい。もっとメジャーになってほしい。
第3幕はウォルフラムで、マルクス・アイヒェが歌っている。
調べてみるとこのシリーズにおけるウォルフラムの出演は、<
2014年のみだった。しかし今年の「タンホイザー」から再び、
来年の上演でもウォルフラムを歌う。バイロイトの常連で
2007年のフリッツ・コートナー(マイスタージンガー)以来、
ドンナー(ラインの黄金)やグンター(神々の黄昏)で出演。
第2幕では威勢のよかったタンホイザーが、この後半で、
すっかり哀れな姿に成り果てて帰還するが、その対比で
惨めさと恨みがましく歌う切迫した印象がたまらない。

OPUS ARTE OA CD9044D

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2019年9月16日 (月)

バイロイト音楽祭2014

バイロイト音楽祭2014から歌劇「タンホイザー」で
アクセル・コーバーの指揮で第2幕を聞いている。
2014年8月12日にバイロイト祝祭劇場におけるライブ録音。
聞けば聞くほど、アクセル・コーバーの音作りって好印象だ。
非常に整理されていて、隅々にまですっきりと見通しよく、
ワーグナーの巨大な音楽をすべて明確に掌握したいという、
ワグネリアンの願望に応えてくれているかのようである。
細やかに透明感をもって描き出しているが、豊かさよりも
素朴な響きを大切にしているのであり、そこは丁寧である。
第2幕は歌合戦になり、タンホイザーはトルステン・ケルル、
そしてエリーザベトはカミラ・ニュールンドが歌っている。
演奏後の聴衆の反応もかなりよく、ブーイングはなくて、
それは演出への不満がないという表れかもしれないが、
演奏の魅力が大きいと思えてくる。私は気に入った。

OPUS ARTE OA CD9044D

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2019年9月15日 (日)

バイロイト音楽祭2014

バイロイト音楽祭2014から歌劇「タンホイザー」で
アクセル・コーバーの指揮で第1幕を聞いている。
2014年8月12日にバイロイト祝祭劇場におけるライブ録音。
アクセル・コーバーを知ったのは、バイロイトへの出演で
他ではあまり聞かなくて、日本では知られていないのでは。
2013年の「タンホイザー」が初登場で、翌年の2014年と
2年間、「タンホイザー」を指揮している。2015,2016,2018と
続く3年間は「さまよえるオランダ人」、そして2020年は、
再び「タンホイザー」、さらに「ローエングリン」を2公演。
「ローエングリン」はティーレマンの指揮だが、8月の半ば
スケジュールが押さえられなかったのか?15日と18日は、
アクセル・コーバーの指揮が予定されている。聞いてみると
非常にさっぱりとした音で広げずに真っすぐ鳴ってくる印象。
鳴りっぷりのいい重い音のイメージからは全く逆を行く音で
透明感があって、細やかな表情がきれいに聞こえてくる。
「タンホイザー」の牧歌的な音色は、素朴さを際立たせて、
これまでのバイロイトの歴史の中ではユニークな気がする。
軽く小さく響かせているような、圧倒される感覚はないが、
「タンホイザー」であるならば、この感じは意外に好ましい。
間違いなく「オランダ人」と「ローエングリン」はいいと思う。
この音色で「トリスタンとイゾルデ」を聞いてみたくなった。
アクセル・コーバーを調べてみたら、デュッセルドルフの
ライン・ドイツ・オペラの音楽総監督を務めているらしい。
2018/2019は「ジークフリート」と「神々の黄昏」を上演して、
今シーズンには、11月から来年4月にかけて「指環」を
連続上演するらしい。これはちょっと興味が湧いてきた。

OPUS ARTE OA CD9044D

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2019年9月 5日 (木)

バイロイト音楽祭2013

バイロイト音楽祭2013から歌劇「さまよえるオランダ人」で
クリスティアン・ティーレマン指揮で第2幕の途中から第3幕。
2013年7月25日にバイロイト祝祭劇場におけるライブ録音。
第2幕はゼンタとエリックの二重唱が続き、そうしたところで
ティーレマンは美しく細やかな表情を生み出して、これまでの
骨太な響きとは全く違って、このメリハリというのが圧倒的だ。
ダーラントに連れられてオランダ人が登場するが、ゼンタと
オランダ人の対話になり、ワーグナーの後の楽劇とは違い、
まさにオペラ的な雰囲気で、歌手の存在が実に引き立つ。
オランダ人はサミュエル・ヨンで、写真を見るとアジア系の
演出の上でも異国感をより強調しているのかもしれないが、
音では低声の魅力に痺れる。あまり前に出すぎることはなく、
舞台の情景に調和している印象かも。そして第3幕になり、
水夫の合唱となって、ティーレマンはここぞと豪快な音色で
重い足取りで進めていくが、恐ろしい幽霊船の情景となって、
嵐の響きとなるとまた絶妙なコントラストで流麗さを出して、
とにかくティーレマンの自在な操作術に聞きほれてしまう。
でも思うのは、今日のティーレマンは、重さを場面によって、
際立たせるのが、自身の演奏スタイルとなって、全体では
かなり動きがよくなって、響きもスッキリと整理整頓されて、
すべてにおいて重厚さがあふれていたかつての演奏とは
変化して研き抜かれている。もっと渋い音だったと思うが、
いまは眩しいばかりの輝きも聞かれて、とにかく音が美しい。
ティーレマンのワーグナーは無敵の存在だ。ずっとそれは
思い続けてきたことではあるが、聞くたびに思い知らされる。
ちなみに聴衆の反応はというと、珍しくブーイングがなくて、
大絶賛の盛り上がりのようで、そこは映像を見ろ!という、
ちょっとここまで受け入れられていると興味が湧いてくる。


バイエルン放送の映像を見るとダーラントはスーツ姿で
会社の経営者であり、ボートに乗っている。オランダ人が
スーツケースを携えて現れ、娘のゼンタと結婚させる…
というよりは、商談をまとめ、契約を結ぶという雰囲気だ。
どういう会社かというと、紡ぎ歌の場面で乙女たちは、
倉庫会社の社員で扇風機をダンボールに梱包している。
舞台上には無数のダンボールが並んでいるという情景。
第3幕になって、元の設定の船乗りたちはセールスマン。
全員、揃いのグレーの背広姿である。そこに黒の一団が
ゾンビのように現れて、幽霊船だからそれでいいのだが、
最後はゼンタがオランダ人を追って、ふたりは抱き合い、
すると扇風機が、ふたりの姿の電気器具に変わって、
それがダンボールに収められ出荷されるという演出。
ゼンタの自己犠牲により、オランダ人の呪いが解けて、
つまり救済されるということを意味しているのであろう。

OPUS ARTE OA CD9043D

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2019年9月 4日 (水)

バイロイト音楽祭2013

バイロイト音楽祭2013から歌劇「さまよえるオランダ人」で
クリスティアン・ティーレマンの指揮で第2幕の途中まで。
2013年7月25日にバイロイト祝祭劇場におけるライブ録音。
2012年から2016年と2018年の6年間に上演された
ジャン・フィリップ・グローガー演出による「オランダ人」で
2013年の録音である。7月25日、8月3,6,13,20,24日の
全6回が上演されて、その初日で音楽祭の開幕公演。
ティーレマンの音は基本的に骨太で、ドイツの響きであり、
荒々しさや素朴ともいえる渋い音色、しかしその一方で
現在のティーレマンの魅力となっているのが、しなやかで
自在な動きを手に入れているのであり、この上ない感動だ。
素っ気なく鳴り出すと思えば、突如、絶妙な歌わせ方であり、
ティーレマンほどワーグナーをわかっている人はいないし、
この演奏ならば、いつまでも聞き続けていたいと思わせる。
先日も聞いたアンドリス・ネルソンスの「ローエングリン」など、
本当に素晴らしい演奏だが、ライブだと音楽と舞台の間で
どうも噛み合っていないところがあって、しかしここでは、
そういう場面というのが、ほとんどない。ティーレマンは、
ワーグナーを知り抜いて、バイロイトを知り抜いている。

OPUS ARTE OA CD9043D

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2019年8月30日 (金)

バイロイト音楽祭2011

バイロイト音楽祭2011からアンドリス・ネルソンス指揮で
歌劇「ローエングリン」より第3幕を聞いている。
2011年8月14日にバイロイト祝祭劇場におけるライブ録音。
アンドリス・ネルソンスはいきいきと流れよく音楽を進めて、
それが最大の魅力ではあるのだが、勢いに乗りすぎたか、
舞台の方が遅れ気味であり、第1場の婚礼の場面でも
合唱が噛み合っていない。追いついていない気がする。
続く、ローエングリンとエルザの対話の場面で、エルザが
名前を問うてしまうところ、どうしても力が入るのだろうけど、
アネッテ・ダッシュも遅れる。重要なところで、その点では、
クラウス・フロリアン・フォークトは息もぴったりなのであり、
楽に声が出ている印象があって、いくらでも対応できそう。
独特な雰囲気のあるローエングリンであり、素晴らしい。
ここでの最大の特長といってよく、爽やかなのを越して、
繊細すぎるほどであり、これで騎士なのかと思ってしまう。
パルジファルも歌っているがそちらの方が合っていそうだ。
しかしこの第3幕では、クラウス・フロリアン・フォークトを
聞いているだけでも価値があって、その歌声に浸って、
あまりの魅力には、あっという間に時間が過ぎてしまう。
来年のバイロイト音楽祭ではついにジークムントを歌う。
追手から必死に逃れる第2幕とかはよさそうである。
「ローエングリン」を堪能した。白鳥の音色が実にいい。

OPUS ARTE OA CD9034D

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2019年8月29日 (木)

バイロイト音楽祭2011

バイロイト音楽祭2011からアンドリス・ネルソンス指揮で
歌劇「ローエングリン」より第2幕を聞いている。
2011年8月14日にバイロイト祝祭劇場におけるライブ録音。
「ローエングリン」のこの第2幕は大好きである。前奏曲から
不気味な響きのおどろおどろしい空気に引き込まれてしまうが、
第1場で強い恨みを訴えるテルラムントは強烈な存在であり、
それを陰で操っているのが妻のオルトルートで、ふたりで歌う
復習の二重唱は迫力だ。ワーグナーの独特な世界観であり、
こうした恨みの込められた音楽は最高である。後の指環でも
アルベリヒやハーゲンに関するところで重要な要素となる。
テルラムントはユッカ・ラシライネンが歌って、バイロイトにも
長年、出演していたが、トマーシュ・トマッソンの代役らしい。
2005年のオランダ人でバイロイトに初登場、その翌年から
アンフォルタスを2年、クルヴェナールで4年間、出演して、
2015年には再び「ローエングリン」でテルラムントを歌った。
どうも私は「ローエングリン」のテルラムントでいいと思うと
その歌手のファンになる。テルラムントを歌っている人は、
クルヴェナールやアルベリヒで指環に出ていることも多い。
一方のオルトルートはペトラ・ラングで、こちらも有名人だ。
2005年にブランゲーネで初登場だが、オルトルートを経て、
2016年から今年までの4年間は、イゾルデを歌っていた。
いま調べたら来年の予定が発表されて、新演出の指環で
ブリュンヒルデになっている。でも「ワルキューレ」のみで
「ジークフリート」ではダニエラ・ケーラー、「神々の黄昏」は、
クリスティーネ・ゲルケとそれぞれ別の歌手が歌うらしい。
ちなみに「タンホイザー」は、アクセル・コーバーが復活で
ゲルギエフのバイロイトの出演は一年で終わった。残念。
今年の「タンホイザー」で成功すれば、この先、他の演目も
発展していくのではないかと期待したのだが、まあ無理か。
来年は、最後の8月30日に第9の演奏会があるらしい。
マレク・ヤノフスキの指揮が予定されている。素晴らしい。

OPUS ARTE OA CD9034D

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2019年8月28日 (水)

バイロイト音楽祭2011

バイロイト音楽祭2011からアンドリス・ネルソンス指揮で
歌劇「ローエングリン」より第1幕を聞いている。
2011年8月14日にバイロイト祝祭劇場におけるライブ録音。
アンドリス・ネルソンスは2010年から2014年まで5年連続で
「ローエングリン」を指揮して、ハンス・ノイエンフェルス演出の
このシリーズの2年目の録音である。2011年は、7月27日、
8月2,8,14,20,26日の6回上演されて、4日目の公演となる。
ちなみに最後の年の2015年は、アラン・アルティノグルに
交代したのだが、バイロイトへの登場は2015年のみだった。
アンドリス・ネルソンスの指揮は、音の鳴り方が自然であり、
音がよく通って、無理に出している感じがなく、独特の魅力。
いきいきと音楽が躍動し、隅々までしっかり描かれているが、
たっぷりと豊かに響いて、聞いている側の充足度というのが、
極めて高いように思われる。ローエングリンを歌っているのは、
クラウス・フロリアン・フォークトで、そちらも大きな魅力だが、
2010年は、ヨナス・カウフマンの登場で話題になったけれど、
バイロイトへはその一年で終わってしまった。エルザの方は、
アネッテ・ダッシュがずっと歌っており、さらには今年(2019)、
ティーレマン指揮の「ローエングリン」でも再び出演している。
しかしそれにしても白鳥に導かれてローエングリンの登場で
クラウス・フロリアン・フォークトの清々しさは圧倒的であり、
音楽もまた滑らかに清らかな音色を奏で、これは感動する。

OPUS ARTE OA CD9034D

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2019年8月20日 (火)

バイロイト音楽祭2009

バイロイト音楽祭2009からペーター・シュナイダー指揮で
楽劇「トリスタンとイゾルデ」より第3幕を聞いている。
2009年8月9日にバイロイト祝祭劇場におけるライブ録音。
ペーター・シュナイダーは前奏曲からじっくりと聞かせており、
深い響きに何とも感動してしまう。このところ、速めの演奏を
聞いていたということかもしれないが、かなり遅く感じられて、
でもこれが不思議なぐらいに素晴らしい。第1場における
トリスタンとクルヴェナールのやり取りに一気に引き込まれ、
ユッカ・ラシライネンのクルヴェナールもまたいいのである。
ゆったりとした運びが豊かさを生み出して、音そのものは、
さっぱりと軽めの響きで明るいのだが、苦悩の場面には
独特な陰影がある。それによって、第1場から第2場への
イゾルデの到着の場面は、圧倒的な喜びの表現となる。
「タンホイザー」や「ローエングリン」では、そういうことは
あまりないのだが、これだけを永遠に聞き続けたいような、
そういう恐ろしい陶酔に陥るので、今回はこの辺にする。
ペーター・シュナイダーのウィーンやミュンヘンでの歌劇が
ライブ録音でいろいろありそうだけど、なぜ出ないのだろう。
ワーグナーとR..シュトラウスに関しては、必ずあるはずだ。

OPUS ARTE OA CD9033D

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2019年8月19日 (月)

バイロイト音楽祭2009

バイロイト音楽祭2009からペーター・シュナイダー指揮で
楽劇「トリスタンとイゾルデ」より第2幕を聞いている。
2009年8月9日にバイロイト祝祭劇場におけるライブ録音。
ペーター・シュナイダーの明るく眩しい音色がぴったりに思え、
この第2幕は特に素晴らしい。抑制の効いた速度感の中で
音楽の表情を非常に丁寧に扱い、細やかなところにまで
舞台の隅々にまで配慮が行き届いて、本当に感激する。
トリスタンが登場してからの長大な第2場の時間の流れは、
まさに夢の世界であり、過剰な盛り上げはなく、どこかに
冷静な距離感を保ちつつ深く引き込まれていくのは職人技。
ロバート・ディーン・スミスが大好きで、そのトリスタンだが、
イゾルデはイレーネ・テオリン、ローベルト・ホルのマルケ王、
とにかく感動的な第2幕である。マルケ王の軍の登場も
激しさはないし、着実な展開であり、マルケ王のモノローグ、
それに応えるトリスタンの語りで第2幕の後半も驚くほど、
軽やかに淡麗な響きだが、聞けば聞くほどに最高である。
バイロイトの重厚な響きからこの繊細さと柔らかな感触を
引き出したのって、まさにペーター・シュナイダーならでは、
奇跡のように思えてくる。近年では貴重な存在であった。

OPUS ARTE OA CD9033D

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